「すんずら」とスノーシューとホットチョコレート
ケベック・シティの中心部にある公園。撮影:坂本正敬
まちの中心部に暮らす人たちがスキー板を持って家から公園に出掛けるなんてすてきな光景ではないですか?
フィンランドなど北欧の取材でもスキー板を担ぎトラムに乗り込む若者をまち中で見ました。
その姿を目の当たりにして、日本人である私(〈HOKUROKU〉編集長の坂本)は「格好いい」と素直に感動してしまうわけです。
同じように北陸でも、スキー板を担ぐ人がまち中を歩いて、福井市や富山市でトラムに乗り込むようになったら、他の地域の人たちが「北陸、格好いい」と言い始めるはずです。インターネット上では大騒ぎになりますよね。たぶん。
「スキーは、ちょっとハードルが高過ぎる」という人はスノーシューから始めてみてもいいかもしれません。
スノーシューとは、簡単に言えばスポーティーなかんじきです。「西洋かんじき」とも言われるらしく、深い雪の上を沈まずに歩ける便利な道具です。
私・坂本もカナダで手ほどきを受けました。ケベック・シティではないですが、同じケベック州のモントリオールのまち中にモン・ロワイヤル公園という山の公園があります。都市との距離感も標高も福井市の足羽山のような感じです。
スノーシューでその公園内を歩きました。長靴を履いた子どもが水たまりに好んで飛び込む感覚をその時に不意に思い出しました。
普段ならちゅうちょするくらい降り積もった雪の上へスノーシューを履くと好んで踏み出したくなったからです。
ケベック州のモントリオール。撮影:坂本正敬
定められた歩道を歩かされる現代人にとってその自由さは快感です。さらに、そのスノーシュー姿は、日本だと異彩を放つはずです。
2021年(令和3年)に北陸を襲った大雪時にSNS(会員制交流サイト)を見ていると、富山市のまちなかでスノーシューを肩にぶら下げて歩く若者を目撃した知人が「格好いい」と感動のコメントを投稿していました。
やっている本人はきっと、自分で楽しんでいる(あるいは必要に駆られた)だけです。しかし、周りからは格好良く見えるわけですね。
いしかわ四高記念公園。平坦な空間が広がる。撮影:山本哲朗
幸い、足羽山(福井市)・奥卯辰山健民公園(金沢市)・呉羽山(富山市)など、北陸のまち中にも十分な起伏があります。
楽しめるフィールドが北陸の都市の場合そこかしこに用意されているわけです。スノーシューは1万円前後で買えます。早速購入してみてはいかがですか?
ブレイクにホットチョコレート
ケベック州のモントリオールにあるモン・ロワイヤル公園。撮影:坂本正敬
プラスして、スノーシューを楽しむ場合はホットチョコレートを持参してもいいかもしれません。
モントリオールでスノーシューを体験した際、真空断熱構造の水筒から出したホットチョコレートを現地のガイドが小休止の際に飲ませてくれました。
「コンビニやスタバへKeepCupを持ち込んでみる。『コーヒータンブラー』のある暮らし(始まりのメルボルン編)」の特集では、福井県鯖江市にある土直漆器の〈URUSHI MOBOLE TUMBLER〉を紹介しました。
〈URUSHI UMBRELLA BOTTLE〉というステンレスの水筒もラインアップに含まれていましたね。
右から2本の水筒が〈URUSHI UMBRELLA BOTTLE〉。撮影:山本哲朗
福井にあるLOFTの担当者からは〈ポケトル〉というポケットサイズの水稲も教えてもらっています。
砂糖入りの乳飲料を水筒に入れ長時間保管すると衛生問題が懸念されます。砂糖の入るホットチョコレートの場合はすぐ飲み切れるサイズの容器の方が適しているかもしれません。
〈ポケトル〉。撮影:山本哲朗。
見慣れた・通い慣れた近所の大きな都市公園でスノーシューを履いて、お気に入りの容器に入れたホットチョコレートを飲む。地元に大きな公園がある幸せにあらためて気付けるはずですよ。
(副編集長のコメント:人が歩けるくらいにかちかちに凍った雪の状態を富山県の西部では「すんずら」と言います。
いつもの通学路ではなく田んぼのすんずらを歩いて通学する朝が小学生の時には何よりも楽しみでした。
スノーシューもすんずらを歩く感覚に近いです。ただ雪の上を歩くだけなのに一歩一歩がとても愉快です。お気に入りのタンブラー片手にぜひお試しください。
世界を旅する編集長が北陸の活気ある冬の暮らし方を次回の最終回で考えます。)
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