ダスキンの「Gメン」に聞く。古民家リノベのゴキ〇リ対策。

2020.11.17

vol. 01

家に出るクロゴキブリと、お店で増えるチャバネゴキブリ。

取材現場の古民家へと移動する〈HOKUROKU〉取材班とダスキンの皆さん。

前書き。

今回の古民家におけるゴキブリ対策を学ぶ取材は、実際の古民家を利用して行われました。

 

しかも一般住宅として使われる古民家と飲食店など商業利用される古民家では、対策も異なってくると事前打ち合わせで知ります。

 

そこで北陸某所の古民家住宅(リノベーション前)と、古民家をリノベーションした飲食店の2カ所で行われました。

 

インタビューが行われた古民家1階の茶の間。窓の外に中庭が見える。

それにしても「ロケ場所」探しは大変でした。扱う内容から個人住宅のオーナーも飲食店のオーナーも、なかなか協力してくれなかったわけです。

 

しかし前者の一般住宅については場所の特定が行われない形で利用を認めてくれた勇気あるオーナーと出会いました。

 

後者の飲食店については〈HOKUROKU〉プロデューサーである明石博之がオーナーを務める富山県射水市の人気カフェ〈cafe uchikawa 六角堂〉の利用が認められました。

 

明石いわくcafe uchikawa 六角堂は工事の段階からミリ単位でゴキブリの侵入経路をふさいだそう。オープン後のゴキブリ対策も徹底していると言います。

 

対策には自信がある上にプロの人にチェックしてもらえれば、お店にとってもプラスだとロケ地としての利用を認めてくれました。

 

古民家をリノベーションして生まれた〈cafe uchikawa 六角堂〉。年間で2万人が訪れる人気のカフェ。

プロデューサーの責務なのかもしれませんが、HOKUROKUの取材にためらいもなく場を提供してくれた明石博之には身内ながらあらためて感謝を表明します。

 

取材はまず北陸某所の一般住宅の古民家(リノベーション前)で行われ、次に富山県射水市にあるcafe uchikawa 六角堂(古民家をリノベーションした建物)で行われました。

 

話の内容は孫子の言葉「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」どおり、ゴキブリの生態を学ぶところから始まって、古民家を住居・飲食店として使う際の注意点に及びます。

 

目次ページでも書いたように文中には1匹もゴキブリの写真は登場しません。最後まで安心して読んでくださいね。

飲食店は「チャバネ」に注意。

 

坂本:はじめまして。HOKUROKU編集長を務める坂本正敬と申します。

 

今日は取材現場にプロデューサーである明石博之と副編集長の大坪史弥も同席させてもらっています。

 

特に明石はこれまで古民家のリノベーションを手掛け、さまざまな商業施設をプロデュースする立場です。

 

個人的に聞きたい話がいっぱいあるそうですので、インタビューの途中に急に横入りするかもしれませんが、お願いします。

 

今日話を聞かせてもらう「先生」は、株式会社ダスキン高岡のケアサービス事業部に所属する瀧川祐市さんです。

 

他にもダスキン高岡の支店長、さらにダスキン本部の方にも来てもらっています。

 

左(手前)からHOKUROKUプロデューサーの明石博之、株式会社ダスキンの笠原大輔さん、編集長の坂本正敬、株式会社ダスキン高岡の瀧川祐市さん。

皆さんのスケジュールを考慮しながら取材場所を選定し、日程調整する作業の苦労はなかなかでした。

 

何しろ内容が内容だけに取材場所が二転三転してしまったからです。

 

それでも今日は貴重な話が聞けると思って楽しみにしています。瀧川さん、よろしくお願いします。

 

瀧川:よろしくお願いします。

 

坂本:最初にちょっと企画の意図を整理させてください。

 

個人的な話になりますが、前に京都にある長屋タイプの古民家に暮らす知人と話していた時、古民家暮らしはゴキブリとの同居状態だと知りました。

 

古民家と言えばリノベーションしてカフェにしたり宿にしたりする物件として人気ですよね。

 

北陸でも古民家をリノベーションして商業施設や住居として使っている人をたくさん見ます。

 

私の大好きな北陸のカフェの多くは、そうした古民家をリノベーションしたお店だったりします。

 

ここに居るHOKUROKUのプロデューサーである明石博之も今までに北陸の古民家を500件以上内見し、カフェにしたり・宿にしたり・バーにしたり・オフィスにしたりとリノベーション工事をしてきたプロフェッショナルでもあります。

関連:「買いたい」の古民家。「買ってはいけない」古民家。

その明石に「古民家のリノベの物件って、ゴキブリって出るの?」と聞くと、「出るどころか、しっかり対応しなければ経営に差し支える」と言われ、びっくりしてしまいました。

 

個人的なイメージとして、古民家をリノベーションした商業施設は工事の段階でいろいろ奇麗にしているから、ゴキブリやネズミなどネガティブな害虫獣とは無縁だろうと勝手に考えていたのです。

 

ダスキン高岡の瀧川祐市さん。

私と同じイメージを持つ利用者は少なくないはずです。古民家の宿泊施設でゴキブリが発生したために、インターネット上で低評価を付けられたという事業者を実際に知っています。

 

この利用者の思い込みは本当に身勝手で「どこまで潔癖なんだ」と自分自身にも突っ込みを入れたくなるのですが、一方で経営者にとっては無視できない期待値だと思います。

 

北陸3県を舞台とするウェブメディアHOKUROKUのミッションは「北陸の暮らしを豊かにする」です。

 

その豊かさの中には楽しさも含まれていて、その楽しさの中には「休日のお出かけ先に困らない世の中づくり」も含まれているわけです。

 

私たちの媒体では過去に愛される場所づくりや次のお店のつくり方など、商業施設をオープンしたい経営者たちに役立つ情報も繰り返し届けてきました。

関連:GNLの明石さん×BnCの山川夫妻と考える。「愛される場所」のつくり方。

 

HUM&Go#とAmacaで考える。「次のお店」のつくり方。

北陸にすてきなお店をつくりたいと願う経営者たちが、近い将来に直面するであろうゴキブリ問題に先回りして何か有効な情報を出せないか、そう考えて今回の特集を企画しました。

 

そこで今日は、お掃除会社として暮らしや働く環境の衛生管理を総合的にサポートし、害虫獣の駆除も行うダスキンの皆さんに、実際の古民家まで来ていただいたわけです。

 

取材の流れとしては古民家に住み着くゴキブリの概論をまず教えてもらいます。

 

その上で古民家をリノベーションした後に住居として利用したい、あるいは商業施設として利用したい読者向けの情報を教えてもらえればと思います。

 

瀧川:分かりました。

 

坂本:それでは古民家に暮らすゴキブリの概論から質問させてください。

 

ゴキブリは日本に何種類か存在しているものの、一般住宅と飲食店で見かけるゴキブリは種類が限られていると聞きました。

 

ゴキブリの生態が解説されたダスキンの資料。

瀧川:その通りです。日本に生息しているゴキブリは細かく言うと40種類くらい居るのですが、建物に入ってきて問題になるゴキブリは4種類です。

 

その中でも北陸など気温が比較的低い地域では、チャバネゴキブリとクロゴキブリが問題になってきます。

 

坂本:チャバネゴキブリとクロゴキブリの違いは何でしょうか?

 

瀧川:見た目の違いは名前の通り、黒く大きなゴキブリがクロゴキブリです。一般家庭で見るほとんどのゴキブリがこれです。

 

飲食店に住み着くゴキブリはチャバネゴキブリが多く、小さくて名前の通り茶色い見た目です。

 

クロゴキブリは一般的にマンホールの下など外に暮らしていて、食べ物などを求めて家の中に入ってきます。

 

一方のチャバネゴキブリは飲食店にある冷蔵庫や食器洗い機といった電気製品のモーター付近など熱源を好み、店内に住み着いて繁殖します。

 

えさとなる食べ物や水が豊富にあるだけでなく、暖かい場所を好むチャバネゴキブリにとって什器のモーター部分などに熱源もある飲食店は最高の環境です。

 

また両者の違いとして、繁殖力の強さが挙げられます。クロゴキブリよりもチャバネゴキブリの方が繁殖力は強く、卵しょう(卵の入ったさや)から30~40匹の幼虫が生まれ、2カ月ほどで成虫になると言われています。

 

仮にクロゴキブリの卵が近くにあったら食べてしまうくらい繁殖力が強いので、それだけ飲食店はチャバネゴキブリに注意したいです。

数ミリのすき間があれば、簡単に侵入が可能です。

取材が行われた古民家の布基礎の部分。

坂本:そもそもチャバネゴキブリ・クロゴキブリは、どうやって家の中にやってくるのでしょうか?

 

瀧川:クロゴキブリとチャバネゴキブリを比較した場合、飛べるゴキブリはクロゴキブリだけです。

 

クロゴキブリはそのために活動範囲が広く、よそから家の近くにやってきて、すき間を見つけては家の中に入り込んできます。

 

「ゴキブリを1匹見つけたら他に何十匹も居る」といった話をよく聞きますよね。

 

チャバネゴキブリの場合には当てはまるのですが、例えばクロゴキブリが1匹で外から飛んできて、すき間を見つけて家の中に入ってきただけとなれば、他にはまだ居ない可能性も考えられます。

 

それだけ行動範囲が広く動き回っているとも言い換えられます。

 

坂本:すき間とは、どの程度のすき間でしょうか?

 

瀧川:数ミリのすき間があればゴキブリは侵入が簡単に可能です。

 

今回の話で言えば、古民家はどうしてもすき間が多くなります。基礎にしても、べた基礎ではなく布基礎が基本です。

 

その意味で家の下から入り込んでくる侵入経路が考えられます。

 

坂本:べた基礎と布基礎について整理させてください。べた基礎とは住宅の底面を全て鉄筋コンクリートで覆ってしまう土台のつくり方ですね。

 

一方の布基礎は本当に布を使うわけではありませんが、建物の骨格部分に沿って「┴」字型の断面をした鉄筋コンクリート造の土台をつくるだけなので、建物の下の地面はむき出しの状態になります。

関連:「買いたい」の古民家。「買ってはいけない」古民家。

古民家=すき間風・寒いというイメージがあるように、老朽化した住宅は基礎から床にかけてすき間が目立つ場合もあるので、クロゴキブリが入り込む余地がたくさんあるという話ですね。全て明石から聞いた話ですが。

 

チャバネゴキブリに関してはどうでしょうか?

 

瀧川:お店に定住するチャバネゴキブリがよそから侵入してくる場合、納入品にゴキブリの卵が付いているケースが考えられます。

 

ビールケースだとか飲食物が入った段ボールだとか。

 

こうした入れ物に卵が付着していて、知らずにお店の中に入れてしまい繁殖するリスクが考えられます。

 

坂本:お店側の対策としては何をすればいいのでしょうか?

 

瀧川:少なくとも納入時に利用したケースや段ボールを放置しないで、すぐに処分・外に出すといいです。

 

例えば段ボールにしてもプラスチックの箱やかごが安く売っています。

 

段ボールで商品を納入したら中身をすぐに自前のケースに移して、外から持ち込んだ段ボールは処分するという作業を徹底してもらえればと思います。

 

(副編集長のコメント:ダンボールの処理はお店に関わらず一般家庭でも後回しにしがちではないでしょうか。

 

取材後すぐに私もため込んだダンボールを捨てに行きました。

 

それにしてもゴキブリはなぜ人の家に入ってくるのでしょう? 次の回では根源的な質問にGメンが答えます。)

チャバネゴキブリ、クロゴキブリの他に、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリも存在しているが、ワモンゴキブリとヤマトゴキブリに関して言えば、日本の中でも温かい南の地域で多く見られる。北陸では基本的に見られない。

住宅の基礎の1つで、建物の底面全体に鉄筋コンクリートの土台をすき間なく設ける。布基礎と比較した場合、建物の底面全体が鉄筋コンクリートで覆われるため、地面からの害虫の侵入が防げる。

木造建物の骨格部分の下に設けられる┴字型の断面をした鉄筋コンクリート造の土台。一戸建て住宅で最も普及しているが、建物の下の地面はむき出しになる、基礎の部分に害虫が侵入できる。

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