古民家リノベの「ゴキ〇リ対策」をダスキンのGメンに聞く

2020.11.18

vol. 02

75対25の法則

 

明石:編集長、瀧川さん、ちょっと横からいいですか。すみません。

 

〈HOKUROKU〉プロデューサーの明石と申します。

 

古民家をリノベーションして商業施設をつくる中で僕は徹底してゴキブリ対策します。なぜなら僕自身がゴキブリが大っ嫌いだからです。

 

自分がゴキブリになったつもりで、どういった侵入経路を伝って入りたくなるのか、いつも想像して対策を立てているのですが、そもそもの疑問があります。

 

クロゴキブリは行動範囲が広いという話が先ほどありました。マンホールの裏などに暮らしているという話もありましたよね。

 

それならゴキブリはわざわざ危険を冒してまで人間の住みかになんで入ってこようとするのですか?

 

写真奥が明石博之。教えを請う正座の構え

人間の住居に入れば人間との遭遇も増え人間に殺される可能性も高まりますよね?

 

瀧川:ゴキブリが人間の住居に侵入する理由は、ゴキブリの好む環境が挙げられると思います。ゴキブリは暗くて狭い隠れ家をまず求めます。

 

それだけなら人間の住居に入ってくる必要はないのですが、75対25の法則があります。ゴキブリは1日のうち日中を中心に75%の時間はじっとしていて、25%の夜間にえさと水を求めて動き始めます。

 

もともとが熱帯原産で暖かい地域に暮らしていた虫なので27℃を適温にその前後の温度を好みます。

 

その全てがそろった快適な場所が人間の住宅なわけです。

 

また、マイナス30℃まで下がるような北海道にはゴキブリは居ないとされてきました。

 

しかし、最近の温暖化とともに、高気密高断熱の建物の増加、暖房器具などの発達で北海道でもゴキブリは確認されるようになっています。

 

―― ゴキブリは、1日のうち75%の時間じっとしていて、25%の夜間で動くという話がありました。

 

動いている時の印象が強すぎるので、ゴキブリは終始動き回っているように思っていました。

 

では、彼ら・彼女らの移動中にばったり遭遇してしまったとします。

 

プロとしてはその場合、どのような対処法が理想だと思いますか?

 

瀧川:近くに殺虫剤がなければつぶして、病原菌に注意しながら死がいを処理・清掃してください。

 

―― ゴキブリが卵を持っていた場合、つぶすと飛び散って余計に繁殖するみたいな話を聞いた覚えがあるのですが。

 

瀧川:つぶせば卵もつぶれます。殺虫剤で瞬間的に殺せなかった方がむしろ問題です。

 

―― 何が問題なのでしょうか?

 

瀧川:殺虫剤で殺しきれなかった場合、最後のあがきでゴキブリが卵のさやを切り離してくる可能性もあります。

 

―― 漫画〈ドラゴンボール〉でピッコロ大魔王が孫悟空に倒される直前、口から卵を吐き出すイメージですね。

 

瀧川:おっしゃるとおりです。

 

―― 瀧川さんのようなプロになると、例えば、握りこぶしでちゃぶ台をどしんとたたくように、ゴキブリをつぶせるのですか?

 

瀧川:それはさすがに無理です(笑)踏みつぶします。

 

―― 足の裏で直接踏みつぶすのですか?

 

瀧川:それも汚いので板のような何かを被せて踏みつぶします。

 

 

―― ゴキブリは確実につぶす、このオーソドックスな対処法が結局は一番効果的なのですね。

 

ちなみにすごく余談なのですが、現在の会社に入社以来ずっと瀧川さんはゴキブリ駆除を担当しているのでしょうか?

 

瀧川:いえ、違います。違う部署に前は居ました。異動で今の部署に居ます。

 

―― 異動の辞令が出た時「やったー」という感じでしたか?

 

瀧川:いえいえ(笑)ゴキブリは皆さんと同じくすごく苦手でした。

 

―― しぶしぶ辞令だから受け入れたと。

 

瀧川:業務の中で次第に慣れてはきましたが、今でも決してゴキブリを好きにはなれません(笑)

ゴキブリの都市伝説

―― 「つぶせば卵が飛び散る」みたいな都市伝説は他にもありますよね。

 

例えば、ゴキブリはハーブに弱いという話があります。

 

瀧川:そのような話を確かに聞きます。しかし、ハーブだけで防げる簡単な害虫ではないと現場を見ていて思います。

 

―― 他にもあります。ゴキブリそのものは完全に無菌で汚い生き物ではないといった話です。こちらはいかがでしょうか?

 

瀧川:研究実験用のゴキブリなど無菌状態で育ったゴキブリに関しては確かにそうなのかもしれません。

 

しかし、自然界に存在するゴキブリに関しては無菌状態で育つなど不可能です。われわれが実社会で遭遇するゴキブリは衛生的では決してありません。

 

―― どのような菌を例えば持ち歩いているのでしょうか?

 

瀧川:食中毒の菌などを持ち歩いている可能性があります。そのゴキブリが飲食店などで調理器具・食器類に触れると食中毒を発生させる恐れなどが出てきます。

 

―― ファミリーレストランでアルバイトしていた友人が、お店で出していたカットサラダの中に小さなゴキブリを見たと昔言っていました。

 

恐らくチャバネゴキブリですよね。このように料理への混入も考えられるわけです。

 

瀧川:チャバネゴキブリは什器の熱源を好んで繁殖します。

 

飲食店を営む場合、予算を抑えようと中古で什器を購入する場合もあるはずです。

 

お話にあったようなお店の什器を購入し、チャバネゴキブリの卵がその什器に残っていれば、自分のお店で納入後に繁殖して料理に入ってしまう可能性も考えられます。

 

―― このチャバネゴキブリは一般家庭の家電には繁殖しないのですか?

 

瀧川:基本的にはほとんどありません。ただ以前、家庭用炊飯器の内部の熱源にチャバネゴキブリが繁殖していたケースがありました。

 

取材場所に置かれていた炊飯器。写真はイメージです。炊飯器の背部にある網の奥にチャバネゴキブリが繁殖していたケースを瀧川さんは知っているという

中古の什器・家電を購入する場合は使い始める前にしっかりとクリーニングをお勧めします。

 

―― クリーニングといっても具体的には何をすればいいのでしょうか?

 

瀧川:分解までしてしまうと元に戻せなくなり什器や家電が壊れてしまう恐れもあります。

 

目に見える部分をまずは徹底的に掃除して、簡単に取り外して戻せる部分、例えば、冷蔵庫なら扉のパッキンなどを取り外して奇麗にするといった対策が効果的だと思います。

 

―― 恐ろしい話ですね。中古什器や家電を買った人のほとんどがこの話を聞けば掃除するようになると思います。

 

副編集長のコメント:インターネットで中古の料理家電を買う人も増えています。使う前には必ず洗いましょう。

 

プロが行うゴキブリ生息調査の方法や費用について次回は聞きます。プロに頼むと高そうなイメージですが実際はお幾らぐらいでしょうか……?)

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