ローカル・WEBマガジン・レポート〈real local 金沢〉編。

2021.06.24

第4回

人を扱った記事は息が長い。

 

坂本:次は初めて〈real local 金沢〉を知った人に、まず読んでもらいたい代表的な記事を3本選んでもらえますか?

 

HOKUROKUでも「まずはこれから読んでね」という特集ラインアップを先の創刊1周年に当たって出しました。

関連:初めての人はここから。「HOKUROKUらしい特集」の特集。

同じようにreal local 金沢らしい記事を小津さん・笠原さんそれぞれにチョイスしてもらいたいのです。

 

「らしさ」の切り口は何でも構いません。企画が「らしい」のか、タイトルが「らしい」のか、コンテンツのクオリティが「らしい」のかお任せします。

 

笠原:とても悩みますね。

 

小津:そうですね。迷います。

 

坂本:real local 金沢の創刊は2014年(平成26年)ですよね。現在に至るまで合計で何本くらい記事を出してきているのですか?

 

小津:ちょうどこの前〈Excel〉に整理したので分かります。だいたい400本程度です。

 

坂本:その中から「これぞreal local 金沢」という記事を3本選んでください。

 

小津:ぱっと思い浮かぶ記事としては、金沢の芸妓(げいこ・げいぎ)さんのお仕事紹介記事です。

 

芸妓は夜のコンシェルジュ あなたも金沢芸妓になりませんか?」2014年(平成26年)11月17日リリース。

坂本:2014年(平成26年)とありますから、創刊から間もないタイミングで出した記事ですね。

 

小津:real local 金沢は金沢に移住を希望する人たちに仕事の情報を届ける目的も持ちます。

 

仕事という意味では芸妓さんも仕事の1つで、もしかすると芸妓さんになりたいという人に移住してもらうきっかけになるかもしれないと思って制作しました。

 

坂本:実はHOKUROKUでも金沢の茶屋街を扱ったコンテンツを制作した経験があります。

関連:実録・北陸人のための金沢「茶屋遊び」入門。

ただこの時はお茶屋さん探しにかなり苦労しました。

 

最終的にはHOKUROKU運営メンバーの1人が茶屋遊びに親しむ金沢の経済人を知っていたので、その方にご協力いただき、ひがし茶屋街のお茶屋さんの特別な計らいで取材が実現しました。

 

その意味で小津さんらも取材の実現がなかなか大変だったと思うのですが、いかがでしたか?

 

小津:私の場合は金沢出身ですし、金沢に暮らしているとどこかしらでお茶屋さんにはつながりができるので、その縁で取材させてもらいました。

 

坂本:やはり金沢の人は自然にお茶屋さんとのつながりが暮らしの中で生まれるのですね。

 

HOKUROKUの取材で聞いたのですが、新しい芸妓さんがデビューすると市長がお祝いのコメントを寄せるみたいですね。この辺りの文化が実に金沢らしくてすてきだなと思います。

場所を取り上げるにしても立ち上げた人の背景に注目している。

 

坂本:他にはいかがでしょうか?

 

小津:工芸作家の竹俣勇壱さんを取り上げた記事でしょうか。

 

美しさを運ぶ『使いづらい』スプーン 彫金師 竹俣勇壱さん」2015年(平成27年)4月22日リリース。

金工作家としてスプーンをつくる竹俣さんの記事は、掲載から数年が経った今でも定期的にPV(ページ・ビュー)の数字が跳ねます。

 

坂本:早速読んでみましたが「物にはいろいろな面があって、使いやすさはそのうちの1つに過ぎない」的な言葉が印象に残りました。

 

小津:例えば不動産の紹介記事は誰かが契約したら終わりで、それ以上は読まれません。しかし人を扱った記事は本当に息が長いと思います。

 

笠原:やはりreal local 金沢では人がキーワードなのだと思います。例えば新しいカフェが金沢にできたというだけでは私たちは記事にしません。

 

しかしカフェの店主とお話してみて、想い・背景・哲学に興味がわいたらまた話は変わってくるはずで、どこかの場所を取り上げるにしてもその場所を立ち上げた人に注目しているのだと思います。

まちを舞台に仕事している以上、独り勝ちはない。

 

坂本:小津さんが選ぶ最後の3本目は何でしょうか?

 

小津:2020年(令和2年)5月の「コロナ禍」において〈MotionGallery〉で実施したクラウドファンディングの記事もreal local 金沢らしいのかなと思います。

 

金沢の愛すべき“商い”を未来券で応援!『勝手に、かなざわ商興会』」2020年(令和2年)5月1日リリース。

「勝手に、かなざわ商興会」と銘打って「未来のお会計を先払い」して地域の商店を支援する「未来券」発行のクラウドファンディングをreal local 金沢が実施しました。

 

坂本:内容を見ましたが、これはしびれる企画ですね。

 

「クラファン」では50近く「未来券」発行プロジェクトに参加したお店が名乗りを上げており、421人の寄付者から合計3,368,000円のお金が集まっています。

 

このプロジェクトを通じてreal local 金沢を初めて知った人も居たと思えば、自分たちを起点とした地域貢献が自分たちの存在をアピールする機会にもなる一種のお手本のような企画だと思います。

 

小津:新型コロナウイルス感染症が拡大して地域の個人商店が危機に直面する中で、自分たちの本業である建築設計の仕事も一時期完全になくなってしまいました。

 

小津さんがリノベーション設計を手掛けた八百屋〈松田久直商店〉。事務所と同じ商店街の一角にある。※撮影は店主の許諾を得ています。

まちを舞台に仕事している以上独り勝ちはないし、まちが元気でなければ自分たちも生き残れないとあらためて感じた時期でした。

 

せっかくメディアを持っているのですから、メディアだからこそできる役割りを真剣に考えた時に生まれた企画です。

 

坂本:「勝手に、かなざわ商興会」というネーミングもすてきですよね。「勝手に」の言葉遣いとか「金沢」を平仮名に開いて「かなざわ」にしていたり。

 

スペイン風邪以来人類が100年ぶりに直面する混乱に満ちた状況下だったと思いますが、一方で悲壮感一辺倒ではない肩の力が抜けたクリエイティブなマインドも感じられて、素晴らしい取り組みだと思います。

 

地に足のついたメディアをやる以上、具体的なアクションをともなう地の利を生かした企画をどんどんやっていきたいと私もHOKUROKUで考えています。

 

 

(副編集長のコメント:「まちを舞台に仕事している以上独り勝ちはない」とはしびれる一言です。

 

人が居るからまちがあり、まちがあるから地域に独自性や新規性を生みます。

 

個性豊かなローカルメディアが成立するのは人とまちがあってこそ。メモしておきます。)

〈Yahoo!ニュース〉〈SmartNews〉〈gunosy〉など。

クラウドファンディングのプラットフォームの1つ。

この記事を書いた人

Avatar

関連する記事

オプエド

この記事に対して、前向きで建設的な責任あるご意見・コメントをお待ちしております。 書き込みには、無料の会員登録、およびプロフィールの入力が必要です。