界 加賀編。泊まる楽しみはもっと深い。新・北陸の宿
北陸3県にあるすてきな宿を取り上げ、小旅行を地元でもっと楽しんでもらおうと考える本連載。
過去には、近場の旅で非日常を楽しむためのキーワードとして「宿を消費する」ではなく「宿に関与する」といった言葉が出てきました。
「宿に関与する」とは、お客さん意識丸出しの受け身の姿勢ではなく、旅慣れた粋な上客を自ら演じて1箔2日、あるいは連泊を楽しむ能動的な姿勢を意味していました。
そこで、星野リゾート(軽井沢)が全国展開する宿の1つ〈界 加賀〉(加賀市)を舞台に「宿に関与する」過ごし方を今回は実践してみます。
界 加賀とは、北陸の地場の旅館ではないですが、星野リゾートが全国に構える温泉旅館ブランドの1つで、津軽・日光・箱根・熱海・別府などと共に、石川県の加賀市にも展開しています。
連載の担当は〈HOKUROKU〉プロデューサーにして〈水辺の民家ホテル〉(射水市)や〈金ノ三寸〉(高岡市)〈湯の里いけもり別館 AMAZA〉(氷見市)などの宿を運営、およびプロデュースする明石博之です。
日本中のホテル・宿を年間100泊程度のペースで泊まり歩いた経験もある明石が、星野リゾートの温泉宿をどのように楽しむのか。
自分にも他人にも、場所づくり・体験づくりでは厳しくなる明石なので内容を先に言えば、手放しに「わー、すてきー」と褒めちぎって感動しまくり状態の宿泊体験記にはなりませんでした。
しかし、界 加賀で働く若いスタッフたちの意識の高さに心底感動したという明石の心の動きが色濃く読み取れる内容になっています。
結果としてできた原稿は「積極的に楽しみにいくゲスト側の姿勢の大切さ」など、近場の山代温泉で非日常を楽しむヒントに満ちあふれた読み物にもなっています。
光と影の輪郭を語ったり、玄関ホールのモダンさを解析したりと、明石の言葉は縦横無尽に展開していきます。宿泊業を営む人だとか、空間や場所づくりを手掛ける人だとか、クリエイティブな仕事や生き方をする人もぜひご一読ください。
ちなみに、写真のすてきな女性は〈界 加賀〉総支配人の須道玲奈さんです。須道さんについての詳細は関連記事でどうぞ。
HOKUROKU編集長・坂本正敬