ローカル・WEBマガジン・レポート〈real local 金沢〉編。

2021.06.25

第5回

行政と民間の中間組織的なメディアのあり方。

 

坂本:笠原さんが選ぶ〈real local 金沢〉らしい記事と言えば、どれになるでしょうか?

 

笠原:とても迷いますが、1本目は「あんこの個性を守ることは、“人のつながり”を守ること。」です。

 

あんこの個性を守ることは、“人のつながり”を守ること。」2019年(令和元年)8月30日リリース。

real localは「実際にその土地に住んでいる人が生活者の目線で一人称で書く(個人的な想いや感じたことも書く)」を大切にしているメディアだと感じています。

 

そうした一人称の記事の集積によってリアルな金沢が見えてくる状態を目指しているのだと私は解釈しています。

 

この記事は担当したライターの柳田さんが日ごろから並々ならぬ愛を持っているあんこ・和菓子について〈戸水屋〉の戸水さんとの雑談で聞いた話に危機感を持ち、記事化したと聞いています。

 

和菓子から見えてくる金沢の暮らしやコミュニティ事情、失われそうな多様性など、示唆に富んだ記事だと思っています。

 

戸水さんのお話の深みと、こういった話を引き出せる柳田さんとの信頼関係、そこに柳田さん自身の熱量も相まっているところが好きです。

 

 

坂本:記事を読んで初めて知ったのですが、誰かをもてなしたり誰かに贈ったりするための「きちんとした」和菓子をつくる和菓子屋と、もちやまんじゅうなど日常的なお菓子をつくる和菓子屋は本来分かれていたのですね。

 

この辺りの貴重な情報をさらっと引き出す取材担当者さんの人柄も伝わってくる記事だと思います。

 

小津:確かにこの記事もすごくいいんですよね。温度感を感じる一人称での語りはreal localを始めてからこだわっている部分です。

 

坂本:他にはどうでしょうか?

 

笠原:「金沢移住、そして「時間持ち」という選択【前編】【後編】」です。

 

金沢移住、そして「時間持ち」という選択【前編】【後編】」2017年(平成29年)3月3日リリース。

こちらは移住(Uターン)された外部ライターさんの記事です。

 

文章も素晴らしいのですが、移住にあたって感じていた・感じている不安や移住後の気付きを素直に書いてくださっているので実感がこもっていて、何度読んでもじーんと来てしまいます。

 

移住をPRしようとすると、どうしても金沢のいいところの列挙に終始してしまいますが、本当はこういった生の声や体験が移住を考える方の背中を押すのではないかと思っています。

 

最終的に「日常的なもの」という金沢に限らない普遍的な価値に着地しているところもとても好きです。

 

坂本:正直に言うとしょせん引っ越しに過ぎない国内の「移住」体験を、さも意味ありげに書くコンテンツがあまり好きではないのですが、この記事に関しては子どもが著者を裏山の「ほんとのゴール」まで連れ出すエピソードに引き込まれました。

 

小津:この記事は文章もさることながら、日常を独自の目線で観る・書くところが素晴らしいですよね。

 

坂本:金沢や石川の日常を独自の目線で眺めながら温度感のある一人称の語りで書く、そんな記事がいわばreal local 金沢らしいと言えるのかもしれませんね。

ローカル・エコノミーが大事。

 

坂本:小津さんと笠原さんがチョイスする記事を通じて、かなりreal local 金沢らしさが分かってきたと思います。

 

最後にちょっとだけ抽象的な質問というか、real local 金沢の未来予想図を教えてください。

 

この先real local 金沢はどのような方向に進んでいく予定なのでしょうか?

 

小津:ローカルで一番新鮮な情報をどこが持っているかと考えると、実は行政だと思っています。

 

例えば地域の最新の空き家情報を各自治体が「空き家バンク」のような形で持っていますよね。

 

しかし「空き家バンク」が成功ばかりという状況ではないように、行政と民間がいまひとつつながれていない気もしています。

 

だからこそ行政と民間の中間組織的なメディアのあり方をreal local 金沢が模索しながら実現できれば、もっとおもしろい解決策が世の中に出せるのではないかと思っています。

 

自分たちは本来金沢の外に向けて発信するウェブメディアですから、結果として関係人口の増加にもつながっていくはずです。

 

 

先ほどの「クラファン」の記事でも語ったとおり、自分たちはまちを舞台に仕事をしている以上、元気なローカル・エコノミーが大事になってきます。

 

real local 金沢だけではなく各地のreal localの運営者たちとも話し合って、行政と民間をつなぐメディアのあり方を模索しながら動いています。

 

坂本:ある自治体の会議でちょうど先日似たような議論を耳にしました。

 

行政が幾つもアカウントを持ってウェブサイトをつくり対外的に自分たちで情報を発信していくのではなく、「外」の視点を持った、情報発信にたける民間のスペシャリストに情報発信をどんどん任せるべきだという考えです。

 

小津さんの言う中間組織的なメディアのあり方とは、この議論にも通じる話だと思います。

 

読者を性別や年齢などの属性ごとに分けて、全国の人たちに広く情報を発信していくナショナル・メディアとは違う、地域に根差したローカル・メディアらしい活動のあり方だと感じました。

 

今回の取材はHOKUROKUとしても勉強になる点が多かったです。今日は本当にありがとうございました。

 

 

(副編集長のコメント:以上、ローカル・ウェブマガジン・レポートの第1弾をお送りしました。

 

今後も気になるローカル・ウェブ・メディアに声を掛けていきます。各メディアの編集長の皆さま、どうぞよろしくお願いします。

 

ちなみにreal local金沢さんがHOKUROKUを取材する話もあがっているそうです。今回とは逆の構図ですね。

 

記事化された際はHOKUROKUでもお知らせしますので、どうぞお楽しみに。)

 

文:坂本正敬

写真:山本哲朗

編集:大坪史弥・坂本正敬

編集協力:明石博之・中嶋麻衣

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