特定の色が付いてしまうと嫌
〈real local 金沢〉を運営する有限会社E.N.N.の事務所
―― 〈real local〉全体の運営体制は分かりました。その一端を担う〈real local 金沢〉のコンテンツづくりについて聞かせてください。
サイトを見ると月に数本の新着記事が公開されています。人であったりイベントであったり不動産情報であったり、さまざまな金沢(石川)の情報が扱われています。
これらの記事の企画はどのようなプロセスで生まれるのでしょうか? 企画を考える人は主に小津さんですか?
小津:「こんな記事があったらいいな」「こんな人を取り上げたいな」という企画を創刊時は、山のようにパソコンに書き込んでリストアップしていきました。
しかし今では、内部会議で決めています。先ほどもちょっと話があったように、笠原の他にも編集部員が本来は居るのですが、産休中なので笠原と話し合いながら今は企画を考えていきます。
笠原:後は、外部のライターさんと会議する中で「今どのような話題に興味があるか」などと話して企画を考えます。
会議のイメージ。
―― 外部のライターさんは何人くらい出入りしているのですか?
笠原:中心となって書いてくださる方は1人です。
小津:この方も富山の氷見出身ですよ。
―― コンテンツのタイトルは誰が決めるのでしょう?
小津:基本は書いた人が決めて他の人が調整します。
―― 1本の記事で文字数は決まっているのでしょうか?
小津:あるウェブメディアを参考に長いコンテンツを最初はつくろうとしていました。
しかし、実際にやってみるとちょっと長いなと。時間のある人であればいいのかもしれませんが、想定する読者はそこまで付き合ってくれないと思って、もっとコンパクトに1,500文字~2,000文字を意識しています。
―― さらっと読まれるウェブの記事は確かにその程度の文字数ですよね。
小津:もちろんそれだけの文字数に制限してしまうとインタビュー記事などは「これ使いたかったのに」という言葉までカットしなければいけなくなってしまいます。
1,500文字や2,000文字でどうしても収まらない場合は前編と後編に分けるなどの工夫をしています。
読者層のバランスがいい
―― real local 金沢の場合はコンテンツごとのPVが表示されていますが、読者層はどのような状況なのでしょうか?
メディアの成り立ちから考えると関東圏の移住希望者が中心になるのでしょうか?
小津:石川の地元の人たちが1/3、東京方面の人たちが1/3、それ以外の地域の人たちが1/3といった感じです。
地元に目線が向いたメディアはそれこそたくさんあるのでreal localは外に向かった目線を最初から意識しています。
しかし、結果として地元の人たちにも読まれているので読者層のバランスはいい状態だと自負しています。
―― real localの成立過程を考えると確かに理想的な構成ですね。記事の広め方についてはどうしているのですか?
例えば、外部サイト2 への配信契約を結ぶとかSEO(サーチエンジン最適化)を徹底するだとか、ウェブメディアが自分たちの拡散力を高めようとした場合にセオリーとなる方法が幾つかあります。
小津:もちろん外部配信先からの誘いはありますが、特定の色が付いてしまうと嫌なので一切やっていません。
その意味で広める手法として記事の担当者などがSNS(会員制交流サイト)を使って発信しています。
―― PV(ページ・ビュー)を稼げばいいという単純なスタンスではなく、広まり方も含めてreal local 金沢らしさを貫いているのですね。
(副編集長のコメント:広まり方って大事ですよね。
有名なプラットフォームで取り上げられるとページ・ビューが一気に増えます。
しかし、ページ・ビュー欲しさに、プラットフォームに向けたコンテンツをつくるようになってしまってはメディアの色が消えてしまいます。
ニュースメディアとの連携をHOKUROKUでも過去に検討しましたが、結局連携しませんでした。
ローカルメディアを同じく運営する者として共感する内容でした。)
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