すみません。HOKUROKUを「Wikipediaに掲載」しちゃいました
vol. 02
Wikipedia(ウィキペディア)ってなんだ?
〈Wikipedia〉に項目を増やす前に、Wikipediaとはそもそも何なのかを整理しなければいけない。
ライター・翻訳家・編集者の筆者がWikipediaと聞くと「文章を書く際の参考文献にはできない」と考える。
Wikipediaは従来の百科事典と違って責任編集制・責任執筆制を採用していない。要するにその道の「権威的な」学者や専門家が実名を出して書いていない。
何かの記述に情報源が示されていないケースもあり、情報源そのものが裏付けを欠いた場合もある。
それなりの媒体に記事やコラムを書く際の情報源として、以上の理由からWikipediaは業界的に認められていないのだ。
だからといって従来の紙の百科事典に間違いが含まれていないのかといえば、そうではないらしい。
英〈ネイチャー〉誌に掲載された2005年(平成17)年の記事「Internet encyclopaedias go head to head」には、興味深い指摘が掲載されている。
科学分野の42項目について英〈エンサクロペディア・ブリタニカ(ブリタニカ百科事典)〉とWikipediaを調べてみたら、間違いの数はそれぞれ123対162だったという。要するに正確性にはそれほど差がないと分かった。
この結果にはブリタニカの側から猛烈な反発があった。しかし従来の百科事典の良さも民主主義的なWikipediaの良さも等距離で考えられる世代の筆者からすれば、「Wikipediaもすごいんだなあ」という心持ちである。
世界で有数のインターネットサイト
Wikipediaのホーム画面を画像キャプチャーし挿入
Wikipediaの歴史は手元にあるAndrew Lih著〈The Wikipedia Revolution〉に詳しい。その本によればWikipediaは2001年(平成13年)の1月にスタートした。
Wikipedia本体にもその歴史を教えてもらおう。日本語版Wikipediaで「ウィキペディアの歴史」と検索してみると、さまざまな情報が出ていた。
同年1月にスタートしたWikipediaは3月にドイツ語版が生まれ、その後も多言語展開していく。
掲載される項目数も右肩上がりで増えていき、2003年(平成15年)には英語版で10万本の記事、ドイツ語版で1万記事を突破する。
100の言語版に掲載された記事を合計すると、2004年(平成16年)には総数が100万本以上に達した。
2006年(平成18年)には英語版だけで記事数が100万本を超える。
創刊から10周年にあたる2011年(平成23年)には英語版だけで380万本以上の記事が書かれるまでになった。
英語版・ドイツ語版・フランス語版に次いで、オランダ語版のWikipediaも記事数が100万本以上を突破した。
Wikipedia:日本語版の統計より編集部で作成(2020.05現在)
Wikipediaの本体(英語版)が発足した2001年(平成13年)と同年の5月に、すでに日本に関する記事は誕生していたらしい。
しかし、ボランティアである書き手(編集者)も少なく、ローマ字表記にしか対応していない当時のWikipediaでは、英語で記事を執筆する必要があった。そのため日本版の発展は限られていた。2002年(平成14年)の日本語での表記対応が日本版Wikipediaの本当のスタートである。
2019年(令和元年)10月の時点で日本語版は世界で13番目の記事数を誇る規模となり、2020年(令和2年)4月13日の時点では掲載される項目の数が120万に達した。
東西の横綱の一角
言うまでもなくWikipediaの項目数は、紙幅に限りのある紙の百科事典をはるかにしのぐ。
信ぴょう性の低さ・異なる人同士のエンドレスな編集合戦・項目の偏りなどマイナス面を指摘する声はあるが、日本においては紙の百科事典の役割をWikipediaがほぼ引き取った印象がある。
日本の紙の百科事典と言えば、平凡社(東京都)が2007年(平成19年)に〈世界大百科事典〉の大規模改訂版を出版したくらいだ。
児童向けの百科事典であれば2011年(平成23年)にポプラ社(東京都)が〈ポプラディア〉を出している。しかし日本の紙の百科事典は動きがそれ以来止まっている。
一方のWikipediaは今もまさにボランティアの編集者たちによって現在進行形で情報が更新され、新しい項目が更新され続けている。
言い換えれば百科事典の世界では、絶対的な王者とまでは言えないものの、少なくとも東西の横綱の一角を占めるくらいにWikipediaは大きくなっているのだ。
まさにそのオンライン百科事典の項目に今回は〈HOKUROKU〉を加えてみたい。
(副編集長のコメント:次は、第3回。いよいよWikipediaに項目を書き足す話です。)
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