「スポンサードを受けてもらえたら」だと!?
〈HOKUROKU〉編集長の坂本正敬です。
今回のコンテンツを全3話でお届けするにあたって富山の人はもちろん、滑川という土地や〈なめりかわランタンまつり〉について知識のない石川・福井の人たちに向けて、基本的な情報を最初に整理させてください。
そもそも〈なめりかわランタンまつり〉とは〈ベトナム・ランタンまつりinなめりかわ〉とかつて名乗っていた年1回開催のイベントです。今年で、15周年の節目となりました。
「なめりかわ」とは滑川の地名です。富山県東部にあり、人口は3万3千人ほどの自治体になります。
その滑川の中でも、海沿いに面したエリアに旧宿場町が広がっています。その中心の瀬羽町にある旧宮崎酒造周辺エリアで祭りは開催されています。
「なんで、富山県東部の海沿いの宿場町でベトナムのランタン祭りが開催されているの?」
と至極、もっともな疑問を感じた皆さん。
滑川市のホームページ、および関係者に聞くと、ベトナムにある世界遺産の港町ホイアンと、瀬羽町周辺の風景が似ているとの声が高まり、ベトナムをモチーフにしたまちおこしが始まったとか。
その一環で、ホイアンで開催されるランタン祭りをイメージした〈ベトナム・ランタンまつりinなめりかわ〉が2010年(平成22年)にスタートしました。
イベントでは、ベトナム料理が食べられたり、ベトナム雑貨が買えたり、ベトナムの民族衣装アオザイを着られたり、ベトナム民族音楽コンサートを楽しめたりできます。
開催を重ねるたびに、ベトナム人関係者や来場者も増え、2023年(令和5年)に現在の名称になってからも、イベントの存在感はますます大きくなっていきました。
じゃあ、帰国後につなぎます
そんな滑川で開催される地域イベントと、ベトナムのナショナル・フラッグ・キャリアであるベトナム航空が、特別協賛の契約を結ぶまでには何があったのでしょうか。
その最初の段階で、HOKUROKUがちょっとだけ(※明石プロデューサー注:ちょっとじゃなーい!)活躍しています。
発端は、編集長の私・坂本が、HOKUROKUとは別の仕事で出掛けたベトナム取材までさかのぼります。
その取材は、ベトナム航空に搭乗し、ベトナムの有名観光地(ハノイとホーチミン)を巡りながら、ベトナムの魅力を探る旅程でした。
その間は、国内の出発から現地での移動、帰国に至るまで、ベトナム航空の日本支社の人がずっと同行してくれていました。
当然ながら道中に何度も、一緒に食事する機会に恵まれます。
ある日の夕食時には、私が富山に暮らしているという話になり、
「なら、坂本さん、トコナメのランタン祭りって知っていますか?」
と、ベトナム航空の担当者に聞かれました。「トコナメ」とは恐らく愛知県の常滑です。しかし、ランタン祭りと言えば、富山県の滑川市で開催されているので、
「もしかして、滑川の話ですか?」
と聞き返しました。「トコナメ=常滑」と脳内変換し「滑(なめ)=滑川=なめりかわ」との発想から確認したのですね。
すると「あ、滑川だ」と担当の方は笑って訂正しました。
聞けば、日本のランタンフェスティバルをインターネットで検索すると「ランタンイベント5選」などの情報に、滑川のランタンまつりがほぼ含まれているのだとか。
さらに、他のランタンイベントと違って滑川だけは、ベトナムのランタンを使って祭りを行っていました。ベトナムの文化普及に貢献しているイベントのオリジナリティもあったため、
「イベントのスポンサードを受け入れてもらえたら」
と考えていたそう。「なんだと!?」と内心びっくりです。
普通に考えて、すごい話ですよね。ちょっと言い方は悪いですが、北陸の富山の県庁所在地でもない滑川のイベントの評判が、一国のナショナル・フラッグ・キャリアにまで届いていたわけです。
「えー、すぐに、イベントの主催者に伝えてあげたい」と思いました。
とはいえ、残念ながら、なめりかわランタンまつり実行委員会の人はその時点で誰も知りません。
ただ、滑川市の元副市長にして、会場の瀬羽町、および旧宮崎酒造でにぎわいをつくる地元の有力者は知っていたので「じゃあ、帰国後つなぎます」と見切り発車で言って帰国しました。
富山に戻ってからは、その元副市長に連絡し、なめりかわランタンまつり実行委員会の下村豪徳さんを紹介してもらいます。下村さんとは、オンラインで一度、ご挨拶させてもらいました。
そこからすぐに、ベトナムを一緒に旅したベトナム航空の担当者をつなぎます。
今回の話は、ここから始まります。無事、つながった両者は、どのような意図、どのような経緯で、特別協賛という契約にたどり着いたのでしょうか。
一般的な話で言えば、イベント主催側がスポンサード企業にアプローチし、交渉するケースが普通だと思います。その意味で今回の事例は、ちょっとイレギュラーです。
必然的に、特別協賛締結までの展開を言語化した本コンテンツは、ベトナム航空の側の目線がより前に出た印象の強い内容になっています。
とはいえ、一国のナショナル・フラッグ・キャリアが地方のイベントにスポンサードしたという事例は、北陸各県でイベントを仕掛けようとする人たちに何かしらの学びをもたらすはずです。
そこで、読み物として残しておこうと思い立ち、協賛する側とされる側の双方に連絡を入れ、インタビューを打診しました。
その上でまず「イベントのスポンサードを受け入れてもらえたら」と最初に発言したベトナム航空の側に〈ZOOM〉で、意思決定までのプロセスを聞きました。
話を聞く相手は当初、ベトナム人の支配人の予定でした。しかし、スケジュールの都合で、ベトナムを一緒に旅した、ベトナム航空日本支社マーケティング&セールスデピュティマネージャーの渡辺将吾さんが話してくれました。
旅行の最中も、久々に語り合ったオンラインでも、いつもニコニコしている人です。
次回は、その渡辺さんにオンラインで聞いた、協賛者側の狙いや意思決定のプロセスをインタビュー形式で紹介します。
引き続き、読み進めてみてくださいね。
(※編集部のコメント:HOKUROKUプロデューサーの明石博之です。
地方と世界がダイレクトコネクトすると何かが生まれると普段から思っているところに、この話を聞いてワクワクしました。
もしかすると多くの人が「なんで滑川でベトナムランタン祭り?」と思うでしょうが、このコンセプトこそが何かを生み出すキッカケになるのだと私は思い、将来を楽しみにしていました。
かつて「ベトナム・ランタンまつりinなめりかわ」で始まった名称が、ベトナム航空とのご縁を経てさらに変わっていきました。
ここに私は注目しています。もう「ベトナム・ランタン」と言わなくてもいいのです。
「なめりかわランタンまつりwithベトナム航空」という名称が特別な地位を獲得したと物語っています。素晴らしい。
そして、このご縁をつくった坂本編集長、すごいぞ!!)
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