内灘砂丘の砂を土に混ぜたマグカップ
ページの読み方
北陸に暮らす各界の「目利き」の人たちに愛用品と愛用品に対する思いを今回の特集では教えてもらいます。
名前の挙がった愛用品をつくった人(制作者)にも道具や日用品の見どころ・語りどころ・使いどころを聞いてみました。
北陸の道具・日用品に対する学びがちょっとでも深まるきっかけに、この読み物がなればと願います。
愛用品を最初に教えてくれる人は、能登の美しい風景などを撮り続ける写真家の湯浅啓さん、美しいパフェで老若男女を魅了し続ける〈sogawa parfait lascoo〉オーナー・坂上翔太さんです。
「いつも自然にそこに居てくれる日常の器」湯浅啓さん(写真家)
写真左が〈メシ碗〉。右が〈恋砂マグ〉写真提供:湯浅啓さん
陶芸家・岩﨑晴彦さんの器
「岩﨑晴彦さん(個人の陶芸家)の器のギャラリーで出合いました。
手になじむ形とシンプルで素朴なデザインが魅力的です。何を盛っても違和感がなく、主役を引き立たせる器です。
長年使っても飽きが来ない空気のような存在だけど、自分の日常生活になくてはならないモノです。」
教えてくれた人
湯浅啓(ゆあさ・あきら)さん
1968年(昭和43年)金沢市生まれ。フリーカメラマンとして雑誌や広告関係の撮影を中心に活動。ライフワークとして北陸の鉄道情景や能登をテーマに撮影を続け、写真集出版や各地での写真展開催など幅広く活躍する。主な写真集に〈能登線日和―湯浅啓写真集〉(能登印刷出版部)がある。〈HOKUROKU〉の特集「おもたせやお中元にも。あの人の夏のお菓子(前編)」にも登場する。
岩﨑晴彦さんにも聞いてみた。岩﨑さんの器はどんな器?
写真提供:湯浅啓
「写真の右側に写るマグについて。
私が制作している所は砂地で土(粘土)がありません。
何か地元のモノを使用したいと思い内灘砂丘の砂を土に混ぜて制作したマグカップです
小さな茶色の粒が砂丘の砂鉄です。
内灘町が恋人の聖地というところから〈恋砂マグ〉と名付けました。
写真の左側に写る〈メシ碗〉について。
このメシ碗はろくろ制作ではなく粘土をスライスして石こう型にのせタタラ成形したモノです。
わんの中と外の釉薬(ゆうやく)を分けて内灘町の緑と空をイメージして制作したモノです。」
つくった人
岩﨑晴彦(いわさき・はるひこ)さん
1969年(昭和44年)石川県生まれ。1991~94年(平成3年~平成6年)からは財団法人沢卯辰山工芸工房にて研修を積む。1992年(平成4年)〈クラフトコンペティション石川〉出展、1993年(平成5年)〈朝日現代クラフト展〉入選、1997年(平成9年)石川県内灘町にて独立する。
「soilかsoil以外か」坂上翔太さん(〈sogawa parfait lascoo〉オーナー)
soil株式会社の〈soil〉
「出合いは10〜15年前、野々市(石川)のインテリアショップです。
珪藻(けいそう)土マットは2つだと思っていて、soilかsoil以外か。珪藻土のパイオニアです。」
「珪藻(けいそう)土ってなんだ?」
珪藻(けいそう)という植物性プランクトンの死骸が積み重なってできた白色・灰白色・黄色などの土の層です。
細かい穴がいっぱいできるため軽くて吸水性に富んだ材質になります。その軽さと吸水性を生かしたコースターやバスマットが近年では商品化されています。
北陸で言えば能登の見附島(通称・軍艦島)周辺が産地として知られています。
教えてくれた人
坂上翔太(さかがみ・しょうた)さん
sogawa parfait lascooオーナー。HOKUROKUの特集「HUM&Go#の久木誠彦さんに『次のお店』のつくり方を坂上翔太さんが聞きにいく話」「おもたせやお中元にも。「北陸の夏のお菓子」をあの人に聞く(前編)」にも登場する。
soil株式会社に聞いてみた。soilの珪藻土マットはどんなマット?
「珪藻(けいそう)土は、古代の海や湖などに生息していた植物性プランクトン類が堆積物となり、形成された地層から採取されます。日本では北海道・東北・能登半島の珪藻土が産地として有名です。
珪藻土を焼成すると多孔質構造(マイクロメートル単位の小さな穴が無数にあいた状態)となり、吸水性や保湿性に富んだ物質となります。
その珪藻土を左官職人が加工して大事に手づくりした商品がsoilです。焼き固めなどの加工処理もしていないのでsoilは「土」に埋めれば「土」に還ります。
手づくりのバスマットについては、珪藻土でできた一枚板となっています。
お風呂上りに足の裏の水を一瞬にして吸い取り、2歩目に踏み出した時はすでに足の裏がぬれていません。もちろん直後にお風呂に入った人も同じくさらっとした感触で使用できます。
吸い込んだ水はただちに(ゆっくりと)乾燥し始めるので、ぬれた面は気化熱で少し冷たくなりますが、基本的には土なので石のようなヒヤっとした感じはありません。
1週間に一度程度、天日乾燥させればカビも生えません。面倒なバスマット洗濯からも解放されます。
重量は5.5kg(スクエアは4.8kg程度)と重いですが、その重量の分だけ安定感があります。
ご使用の時は直接床に置き、段差がある場所や毛足の長いバスマットの上には置かないでください。破損の原因になる場合があります。」
つくった人たち
左官工事・タイル・塗装等も含めた専門工事を手掛ける1917年(大正6年)創業の株式会社イスルギ(金沢市)の新規事業として2009年(平成21年)にスタートした珪藻土ブランド。2015年(平成27)5月16日にsoil株式会社として新出発する。
(副編集長のコメント:風呂上がりに水滴で足がびちゃっとする瞬間が何よりも嫌いです。
soilのバスマットで珪藻土マットデビューしたいと思いました。)
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