生涯使える大切な相棒
暮らしの愛用品を教えてくれた次の人たちは北陸のプログラミング関係者たちです。
〈HOKUROKU〉のウェブディレクターとHOKUROKUの取材にかつて登場してくれた人。
「ああ、確かにそれも息の長い北陸の道具だ」と思わせてくれる意外な回答も出てきましたので、ぜひ暮らしの中に取り入れてみてください。
「普段使いできる伝統工芸」武井靖さん(ウェブディレクター)
五箇山 和紙の里の五箇山和紙 A4ドキュメントケース
「お祝いでもらいました。
五箇山和紙のもみ紙が使用されて丈夫です。はけ染めされた細く色鮮やかなストライプはとても綺麗です。
丈夫で柔らかいので自分の使いやすいサイズに折り曲げて使えます。
中にフェルト生地を入れて耐衝撃性を上げ〈MacBook Air〉のケースとして私は使っています。」
「もみ紙・はけ染めってなんだ?」
〈広辞苑〉(岩波書店)によれば、和紙をもんだり、筆の軸など丸い棒に巻き付けて端から押しつぶしたりと、しわのような凹凸(しぼ)をつけた紙をもみ紙と呼ぶそう。
はけ染めについては「引染め」「岡染め」とも呼ぶ染色の一種で、布地(和紙)にはけで染め液を引いて染める技法だと〈ブリタニカ国際大百科事典〉(ブリタニカ・ジャパン)などに書かれています。
教えてくれた人
武井靖(たけい・やすし)さん
埼玉県生まれ。フリーのWEBディレクター。ベンチャー企業や飲食店のホームページ制作を手がける。東京で仕事をしていたが、ネット環境が整ったのを機に富山へ移住。HOKUROKUのウェブディレクターでもある。
五箇山 和紙の里にも聞いてみた。五箇山和紙 A4ドキュメントケースってどんなケース?
「五箇山産楮(コウゾ)の手すき和紙から生まれた軽くて丈夫なA4サイズの書類ケースです。
一枚一枚はけ染めを施し、こだわりの手もみ技術を生かした、水にも強い機能性と手触りの心地良さが特徴です。
A4サイズの封筒やクリアファイルが収まるサイズで書類の受け渡しや普段使いに最適です。
半分に折り畳めば小物ケースとしても使用できます。」
つくった人たち
五箇山 和紙の里(ごかやまわしのさと)
紙の技術・技法を忠実に守り継承するとともに、地域における伝統文化の振興に関わる後継者の育成と和紙工芸品の研究開発を行い、和紙を広く一般に普及・提供する一般財団法人。
「仕事の相棒」金子雄一さん(プログラマー)
株式会社PFUの〈HHKB Lite2〉
「知人の紹介で出合いました。使いやすさとコストパフォーマンスとの絶妙なバランスがあります。」
「HHKBってなんだ?」
Happy Hacking Keyboard(ハッピー・ハッキング・キーボード)の略語です。
PFUのホームページには東京大学名誉教授のキーボードに関する考えが掲載されていて、パソコンの本体は消耗品だけれど(バージョンも古くなるし)キーボードは生涯使える大切なインターフェース(コンピューターと人間の接点)だと言われています。
パソコンを買い替えると普通はキーボードも一緒に買い換えますが(ノートパソコンならなおさら)、言われてみるとキーボードは別に打ちやすければ昔のまま使い続けてもいいわけですね。
教えてくれた人
金子雄一(かねこ・ゆういち)さん
北陸のプログラマー。HOKUROKUの特集「北陸に大事な『考える技術』プログラミング的思考編。なにしろ同調圧力が強い土地柄なので」にも登場。
株式会社PFUにも聞いてみた。HHKB Lite2とはどんなキーボード?
「Happy Hacking Keyboard(以下、HHKB)は、タイピングの質に高い意識を持つプロフェッショナルをさらに新しい世界へ導く、理想を突き詰めた唯一無二のキーボードです。
多くの方にご愛顧いただき、2021年(令和3年)12月にHHKBシリーズは発売25周年を迎えます。
HHKBのルーツは『プログラマーが理想とするキー配列のキーボード』です。
ミニマルなキーが合理的に並んでいるためホームポジションから手を移動させる必要がなく、本質的にスピーディなタイピングが可能です。
HHKB Lite 2(2001年発売)は販売終了品となりますが、長きにわたってご愛用いただき心より感謝申し上げます。最新モデルはこちらです。」
つくった人たち
石川県かほく市に本社を置くコンピュータ関連メーカー・システムインテグレーター。1960年 (昭和35年)創業で後に富士通の完全子会社となり現在に至る。
(編集長のコメント:副編集長から編集長にバトンタッチです。
北陸の道具と日用品をテーマに聞き込みを始めた時、キーボードが回答として挙がってくるとは予想もしませんでした。
しかし、北陸の会社がつくった息の長い道具といった意味ではどんぴしゃりの回答で、自分の予定調和な考えを見事に打破してくれた金子さんには頭の下がる思いです。
しかも、つくった人たちのコメントにもあるように現在は販売が終了しているHHKB Lite 2のモデルを今でも金子さんは愛用しているらしいのです。
使い捨ての価値観とは一線を画す見事な暮らしの道具ですね。)
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