北陸がもっと好きになる。あの人の「本と映画と漫画」の話。

2020.06.03

第4回

暮らしとロングライフデザイン。「どこで誰と生きるのか。」

撮影:柴佳安。

幸せは、どこで誰と何に囲まれて暮らすかで、だいたいは決まるみたいです。

 

そんなヒントが詰まった、暮らしとロングライフデザインについての作品をどうぞ。

作品その18。D&DEPARTMENT PROJECT〈d design travel 富山〉(D&DEPARTMENT PROJECT)

「自分はどれだけ富山の『いいデザイン』を知っているのだろう。」北島和博(〈里山のオーベルジュ 薪の音〉スタッフ)

 

提供:D&DEPARTMENT。

「富山に住んでいながら知らないことだらけだったことに気づかされる良書。

 

本当にデザインが、人が好きなんだな、と思える紀行文が読めることに好感が持てます。ただ、呉東地域がやたら多いので、呉西地域も頑張らないとな〜という雑感もあります。

 

地域らしい食材・料理を使った『富山定食』なるページでは地元民になじみのある『よごし』が紹介されていたり、なんだかうれしい気分にもなる内容です。」

 

作品名:d design travel 富山
著者:D&DEPARTMENT PROJECT
出版社:D&DEPARTMENT PROJECT
出版年:2013年(平成25年)10月
定価:本体1,400円

こんなお話。
“2ヶ月間暮らすように現地を旅して、本当に感動したものだけを「ロングライフデザイン」の視点で、本音で紹介しています。”(D&DEPARTMENTのホームページより引用)

北島和博
里山のオーベルジュ 薪の音のスタッフ。第1話、第2話に既出。

作品その19。谷崎潤一郎著〈陰翳礼讃〉(創元社、他)

「日本人で良かった、と再認識させられる一冊です。」石本泉さん(五箇山和紙の里のスタッフ)

 

※書影は新潮文庫から出版の陰影礼賛と文章読本の合本版。

「大学時代に木工、建築を勉強していた時に出合った本です。

 

この本の内容を実感したのは、東京から南砺市へ移住してからです。雪国ならではの特徴的な日本家屋が多く残り、合掌造りでは今もなお生活が営まれています。

 

北陸には、飾らないどこか奥ゆかしい陰影の美を感じられる風景が残っています。この本は、陰影に対する日本人の美学や、そこから生まれる芸術、文化など、忘れかけていた感性に問い掛けてくるお勧めの本です。」

 

作品名:陰翳礼讃
著者:谷崎潤一郎
出版社:創元社
出版年:1939年(昭和14年)12月

こんな話。
“陰翳によって生かされる美こそ日本の伝統美であると説いた「陰翳礼讃」。世界中で読まれている谷崎の代表的名随筆をはじめ、紙、厠、器、食、衣服、文学、旅など日本の伝統に関する随筆集”(版元ドットコムより引用)

 

石本泉
山口県出身。2008年(平成20年)に富山県の南砺市に移住。一般財団法人五箇山和紙の里勤務。原料となる楮(こうぞ)の栽培から製品企画まで行う。最近の趣味は古民家DIY。

作品その20。D&DEPARTMENT PROJECT〈d design travel 富山〉(D&DEPARTMENT PROJECT)

「どうしようもないほどの大自然がデザインしてくれた都市。富山湾に流れ込む7つの大河川、そして立山連峰――固有の地形を持つ大自然の脅威と恵みを味わってつくり上げた『自分たちの環境』を、流行や権威などに奪われることなく保ちたい。一言でいうと、ピュア、もしくは、ナチュラル――富山県のデザインは、地下深く染み込んで都市にわく純水のようだ。」進藤仁美さん(〈D&DEPARTMENT TOYAMA〉ショップ店長)

 

提供:D&DEPARTMENT

「私たちD&DEPARTMENTがつくる旅行ガイドブックです。

 

私たちがつくる旅行雑誌は、その土地に2カ月間暮らすように滞在してつくっています。はやりや話題のスポット、ステレオタイプな富山らしさではなく、その土地に長く続く富山の魅力を、デザインの視点でご紹介しています。

 

この本には、2カ月じっくり滞在したからこそ見えてくる等身大の富山の良さ、そしてよそ者だからこそ気づいた富山の面白さが詰まっています。

 

『こんな時に旅行雑誌?』と思われるかもしれませんが、当たり前すぎる富山の魅力に気づく、きっかけの1冊になるのではと思っています。

 

富山に長く住んでいても知らなかった場所や、知っている場所でもまた新たな発見がきっとあるはず。

 

そして、自由に出かけられるようになったら、この1冊を持って、富山をもっと好きになる旅に出掛けてほしいです。」

 

D&DEPARTMENT TOYAMAと富山にある尾山製材のイベントの様子。右が進藤さん。撮影:坂本正敬。

進藤仁美
2013年(平成25年)D&DEPARTMENT入社。2017年(平成29年)春からd富山店に赴任。ロングライフデザインをテーマに、ものづくりの現場に足を運び、その魅力を発信する。

作品その21。原広司著〈集落の教え100〉(彰国社)

「創作にかかわる全ての人に。」山川さつき(株式会社コラレアルチザンジャパン取締役)

 

撮影:坂本正敬

「大学時の恩師から勧められました。

 

世界中から100の集落が厳選され、キーワードと共に紹介されています。世界トップ100の中で日本で選ばれる数カ所に富山の散居村も紹介されています。

 

偶然出来ている風景のように見えて、計画的で理由があって、物事を考えるきっかけをもらった本です。」

 

作品名:集落の教え100
著者:原広司
出版社:彰国社
出版年:1998年(平成5年)
定価:本体2,500円

こんな話。
”京都駅やサッポロドームの設計者でもある著者は、20数年にわたって世界の集落を調査してきた。本書では世界の集落から教えられたことを、100の簡潔なエッセイと集落の写真で紹介している。作家・大江健三郎氏も共感を寄せる本。”(彰国社のホームページより引用)

 

山川さつき

コラレアルチザンジャパン取締役。建築家。

作品その22。堀道広著〈おうちでできるおおらか金継ぎ〉(実業之日本社)

「自宅で過ごすお供にどうぞ。」天野陽史(〈古本いるふ〉店主)

 

(※書影は準備中です)

 

「漆職人・漫画家という異色の二足のわらじを履く『うるし漫画家』の堀さん。富山出身というご縁で、運営しているブックイベント〈BOOK DAY とやま〉のメインビジュアルを作成いただく他、何度もワークショップで参加してくださってます。

 

金継ぎは、壊れた器などを漆などで修復する技法のこと。おおらかな堀さんが『家でできる』と言うのですから、間違いなく家でもできます。材料があれば。」

 

作品名:おうちでできるおおらか金継ぎ
著者:堀道広
出版社:実業之日本社
出版年:2018年(平成30年)
定価:本体1,800円

こんなお話。
“本書では、漫画家であり漆作家でもある著者が、
初心者からに向けた「漆を使っておうちでできる」金継ぎの方法をご紹介します。”(実業之日本社の公式ホームページより引用)

天野陽史

古本いるふ店主。第2話に既出。

作品その23。ジョン・クラカウアー監督〈into the wild〉(パラマウント・ヴァンテージ、スタイルジャム)

「どこで誰と生きるか。そのヒントをもらえる映画です。」出水建大(CRAFTWORK CENTER)

 

(※ジャケットは準備中です)

 

「尊敬する黒崎照男氏(IDEE)に教えてもらい、映画が上映されてすぐ見に行きました。

 

『幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ。』

 

映画の最後の方で主人公が気付くのですが、当時の自分も映画と同じように物質的に恵まれた社会での生きる意味や幸せとは何かを模索している時で、そのせりふを見た後に地元に根を下ろし、コミュニティーを大切にしていこうと思えました。」

 

作品名:into the wild
出演:エミール・ハーシュ
原作:ショーン・ペン
監督:ジョン・クラカウアー
配給:パラマウント・ヴァンテージ、スタイルジャム
公開年:2007年(平成19年)

こんなお話。
“クリストファー・マッカンドレスは、ハーバードのロースクールへの進学も決まり、将来を有望視された22歳の若者だった。ところがある日、周囲に何も告げることなく全てを捨て、彼は姿をくらました。これがクリスの“真実を探す”壮大な旅の始まりだった。最終目的地は、アラスカ。”(Amazonより引用)

 

出水建大
リノベーションが主の建築業を営むかたわらで、廃材のホームセンタークラフトワークセンターを運営しています。北陸は衣食住、あらゆる素材の宝庫なので「つくる」ことで生きていく道を探しながらも、日々ゴミと戯れてます。

作品その24。石橋冠監督〈人生の約束〉(東宝)

「ひとつにつながろう。今こそ。」東海勝久(株式会社IMATO・代表取締役)

 

〈人生の約束〉DVD&Blu-ray発売中。発売元:バップ(c) 2016「人生の約束」製作委員会。

「製作担当の5年D組スタッフからの撮影協力の依頼が仕事としてきました。

 

富山が舞台で小さな漁村の祭りを通して、地元のみんなの気持ちを、心を表現した内容。まさに今の日本人に必要なところではないかと思う。」

 

作品名:人生の約束
出演: 竹野内豊、江口洋介、他
監督:石橋冠
脚本:吉本昌弘
制作プロダクション:5年D組
配給:東宝
公開:2016年(平成28年)

こんな話。
“IT企業のカリスマ経営者である祐馬。仕事に没頭する日々の中、かつての共同創業者であり親友の航平が、故郷で死んだことを知る。同じ頃、会社では不正取引が発覚し……。何もかも失った祐馬が、友の愛した故郷、家族や仲間達のため選んだ道とは”(幻冬舎のホームページより引用)

東海勝久
IMATO・代表取締役。第3話に既出。

作品その25。水上勉著〈弥陀の舞〉(朝日新聞社)

「北陸感濃縮還元小説!」時岡壮太(株式会社デキタ代表取締役)

 

(※書影は準備中です)

 

「越前市今立の和紙の里を、大学の卒業論文を書くため調査していた際に、おおい町ご出身の作家水上勉氏が今立についての小説を書かれていると地域の方に教えていただいた。

 

越前山間部の湿度高く、じとっとした空気感(失礼!)が文体からも感じられる上、もくもくとわが道をゆく和紙職人の姿から北陸人の矜持(きょうじ)が感じられる小説」

 

作品名:弥陀の舞
著者:水上勉
出版社:朝日新聞社
出版年:1969年(昭和44年)

こんな話。
“紙漉き名人弥平のもとで働く主人公くみの薄幸でありながらも必死に生きる姿を描く。越前和紙の里、五箇が舞台となっている。”(福井県ふるさと文学館のホームページより引用)

 

時岡壮太
福井県おおい町出身。2011年(平成23年)に東京で株式会社デキタを起業。2019年(平成31年/令和元年)に約20年ぶりに地元福井県に会社ごとUターン。現在若狭町熊川宿に事務所を構え建築開発事業や古民家宿運営事業を展開している。

作品その26。藤井聡子著〈どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜〉(里山社)

「移り変わるまちのドキュメント。」天野陽史(〈古本いるふ〉店主)

 

「富山の個性の強い場所や人を紹介するミニコミ〈文藝逡巡 別冊 郷土愛バカ一代!〉で人気のピストン藤井さんが、本名の藤井聡子名義で出版した初の単行本なので、富山の古本・本屋関係者はおのずと出合ってしまいます。

 

手放しの称賛でも、ノスタルジーでもなく、現在、各地の『ふるさと』が直面している/していくであろう、移り変わる街のドキュメント。藤井さんが七転八倒する姿が、読んでいて思わず応援したくなってしまいます。」

 

作品名:どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜
著者:藤井聡子
出版社:里山社
出版年:2019年(平成31年/令和元年)
定価:本体1,900円

こんなお話。
”新幹線も開通し、コンパクトシティをうたう再開発で、一見、開かれた町になった富山市中心部。だが郷愁と個性を失いどこにでもありそうな姿になった町に、08年、30歳直前でUターンしたライター、藤井聡子は戸惑いを覚える。”(版元ドットコムより引用)

天野陽史
古本いるふ店主。第2話に既出。

作品その27。釣りスギ四平〈釣りスギ四平 channel〉(YouTube)

「堤防釣りをエンタメに昇格させた男。釣りスギ四平。」ナミエミツヲ(sky visual works inc.・アートディレクター/グラフィックデザイナー)

 

提供:波止場工事。

「(富山に)引越して来てから、子どもと堤防釣りに行こうかな。と思って釣り場とか、仕掛けとか、サーチしていて見つけました。

 

たかが堤防釣りと思うなかれ。彼のチャレンジは、海岸から突き出たコンクリートの塊の上を舞台にエンターテインメントを演出します。すっごく楽しそうに堤防釣りをしています。

 

九州から発信している方ですが(福井に遠征した回があったような)、海つながりで、お勧めしました。見ると釣りに行きたくなります。

 

お子さんがいたりして、なかなか釣りに行けない人にもお勧めです。」

 

作品名:釣りスギ四平 channel
出演:釣りスギ四平、波止場工事、他
公開年:2012年(平成24年)
公開:YouTube

こんなお話。
“釣りスギワールドメンバーや釣りすぎファミリーメンバーと共に釣行堤防や波止場での釣り、船のオフショアや泳がせ釣りなど幅広い取組の動画です。”(釣りスギ四平 channelより引用)

ナミエミツヲ
アートディレクター・グラフィックデザイナー。第3話に既出。

 

(編集長のコメント:次はいよいよ最後。「自然の恵みと人間の営み」を描いた本と映画と漫画の話です。)

 

※クレジットが記載されていない書影については、各出版社が自由な利用を認めたデータベース登録済みの書影を使っています。

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