北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)

2020.07.16

No. 04

これが何だか分からないけれど、欲しい。

 

 

福井の海を目の当たりにすると、一度はデザインに不満を感じ始めた<KeepCup>への関心が、戻ってきました。とはいえKeepCupの見た目に関する関心ではなく、同商品が生まれた背景に対する関心です。

 

同社の創業者であるJamie ForsythさんとAbigail Forsythさんは、メルボルンで人気のカフェを営んでいたと、第1回の記事で書きました。

 

この2人は最初、紙のコーヒーカップの代替品として、既存のドリンク容器をお店で使って、コーヒーを提供しようと考えたと言います。

 

しかし、当時流行していた水筒はサイズが大きく、エスプレッソ・マシンの抽出口の下に直接セットできません。

 

デザイン的にも満足できる商品がなかったため、「それならば、つくってしまおう」と方向を切り替えます。

 

同社にも問い合わせると、最初のKeepCupの販売は、メルボルンで2009年に開催された小さなデザインフェアだったと言います。

 

当初は「時間の無駄」といった声もあったそうですが、6時間で1,000個も商品が売れたそう。中には「これが何だか分からないけれど、(プロダクトとして)欲しい」と買ってくれた顧客も、少なくなかったとか。

 

この印象的なエピソードは、福井の海に出掛ける前にも知っていました。しかし、福井から帰ると、この「何だか分からないけど、物として欲しいから買って帰らせる」大切さが、あらためて説得力を持つような気がしました。

 

KeepCupの創業者たちも、デザインフェアでの出来事を通じて、デザインの魅力で手に取ってもらう大事さを学んだと言います。

 

「環境にいいから使って」というメッセージを最初に伝えるのではなく、まず手に取ってもらう。そうすれば、使ってもらえるチャンスも増えます。使ってもらえるチャンスが増えれば、結果として環境問題にもささやかなインパクトを与えられます。

 

北陸でタンブラーのある暮らしを実現する際にも、この「物として欲しいから手に取ってしまう」商品の存在は不可欠のはずです。

 

タンブラー探しの方向性が、見えてきた気がしました。

「物としてほしいから手に取ってしまう」コーヒー・タンブラーはどこだ?

 

「物としてほしいから手に取ってしまう」コーヒー・タンブラーを探す手段として、北陸3県でセレクトショップを手掛ける経営者や、生活雑貨を扱うお店の店長、バイヤーなど、さまざまな情報通に声を掛けてみました。

 

一方で、水筒やタンブラーなどの品ぞろえが充実したお店にも足を運んでみます。例えば、福井ロフトです。

 

同店は、福井の「マイボトル運動」にも協力するお店で、県と連携して売り場の一角で水筒やタンブラーの品ぞろえを充実させています。

 

さらに売り場担当の六廣英典さんによれば、

 

「ロフトはセブン&アイ・ホールディングスの一員として、グループ全体でマイボトルやマイバッグに力を入れています」

 

との話。水筒やタンブラーのトレンドを知るためには、これ以上のないお店なのですね。

 

福井ロフトの六廣英典さん。

数ある選択肢の中から、現状でどのような商品が売れているのか聞いてみると、一番に<ポケトル10>という水筒を教えてくれました。

 

名前の由来は、ポケットに入るリトルな水筒という意味で、その名前の通り、最も売れ筋のSサイズ(120ml)の場合は、ポケットにも入ります。

 

このサイズ感は、確かに他の大きな容器との並びで見ても異彩を放っていて、思わず手に取りたくなるような商品だと思いました。

 

ポケトルのSサイズ。スリムなデザインなので、ポケットはもちろん、かばんの中の小さなスペースにも入り込んでくれる。180mlタイプの場合、本体価格は1,500円。高さは19.6cm。

120mlと言えば、標準的な大きさのコーヒーカップ(レギュラーカップ)の容量と一緒です。

 

六廣さんによれば、Sサイズの大きさが女性に人気だとかで、特に色もピンクが2019/2020の冬には売れたと言います。

 

この愛らしいサイズ感とカラーバリエーションを持ったポケトルからも、手に取りたくなる、ワクワク感の大切さを、あらためて学びました。

 

(次は最終回。鯖江で見付けた<URUSHI MOBILE TUMBLER>を紹介します。)

 

2020年3月の取材時点。
10 120mlサイズの場合、本体価格は1,300円(税込1,430円)。

この記事を書いた人

坂本 正敬

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