コンビニやスタバへKeepCupを持ち込んでみた編。北陸で「コーヒータンブラー」のある暮らし

2020.07.15

No. 03

越前海岸に漂着するごみは九頭竜川から

越前の海岸に流れ込む九頭竜川の河口周辺

譲り受けた〈KeepCup〉をローソンへ持ち込んで今までにない気分の高まりを体験した〈HOKUROKU〉編集長の私・坂本です。

 

さらなる心のときめきを求めて、北陸の風土に似合うタンブラー探しをスタートしたいと思い始めました。その一方で、ローソンのサービスを知るきっかけとなった福井の「マイボトル運動」にも関心が向き始めます。

 

「マイボトル運動」を福井県が進める理由となった漂着ごみの問題とはそもそも何なのでしょうか。

 

三国港の三国港突堤

石川の能登半島を含め福井の海岸線は「対岸」の朝鮮半島や中国と向き合うように日本海へ突き出しています。海外からのごみの漂着物が流れ付きやすい環境にあると調べてみると知りました。

 

例えば、冬の福井県坂井市(越前海岸の一角)に漂着するごみは、海外:国内のごみを1:1で分類できると言います。その上、国内ごみの7割が、福井県を流れる九頭竜川の流域から漂着しています。

 

要するに、自分たちで自分たちの海岸を汚しているのですね。この現状について県に問い合わせるとすぐに連絡が来ます。

 

県の担当者によれば、上に挙げた問題は福井の海岸に確かに存在するらしく、

 

「海洋プラスチック問題に県民が関心を向け、プラスチックごみの削減に自ら取り組んでいただくように意識啓発しています。身近に実践いただく方法としてマイボトル運動を今年度から推進しております」

 

と教えてくれました。足元の環境問題に対する危機意識こそが「マイボトル運動」を立ち上げ、マイボトルの利用を県民に訴える理由だったのですね。

想像を絶するレベル

車窓から眺める越前海岸の様子

KeepCupに替わる北陸らしいコーヒー・タンブラー探しと並行して、冬の福井の海にも出掛けてみようと思いました。しかし、福井の海岸線は長大です。どこへ行けばごみの漂着を確認できるのでしょうか。県の担当者によれば、

 

「集中してごみが漂着している海岸について、県では把握しておりません。しかし、冬季波浪によって越前海岸にも漂着している状況は把握しております」

 

との話。この言葉を頼りに福井の越前岬を訪れてみると事態は想像を絶するレベルでした。

 

福井の海岸線に漂着したごみの様子

移動中の車内から遠めに見ていた分には気付かなかったのですが、海岸線へ実際に下りてみると場所によっては足の踏み場もないくらいごみが漂着しています。

 

 

福井県の越前海岸のごみは環境省の情報によると、流木・低木が31%、木材が23%、プラスチック類が37%とされています。

 

その中でも、37%を占めるプラスチック類のごみに注意深く目を向けてみると、海外製のペットボトル・洗剤入れ・長靴・発泡スチロール・ブイなど、さまざまなごみが漂着していました。

 

流木・木材・プラスチック類以外の残り9%に該当するごみとしては、冷蔵庫・タイヤのホイール・スプレー缶・海外製の車のナンバー・注射器・配船・漁業の網などが散乱していました。

 

こうした膨大なごみは夏の行楽シーズンを前に一斉に掃除するため、あまり一般の人の目には留まらないと県の担当者は言います。しかし気づかないだけで、毎年冬には大量のごみが海岸に押し寄せているのですね。

 

 

年配の方が近所でお店を営んでいたので声を掛けてみました。毎年冬は海岸線が汚れ、その勢いは、とどまるところを知らないと言います。

 

早朝の海岸線に出て何か価値のある「ごみ」が漂着していないか探し回った時期も昔にはあったみたいですが、喜べるような「拾い物」は最近何もなく、プラスチックごみばかりが目立つとも言っていました。

何と戦うべきなのか

福井市の鷹巣海岸

福井市の鷹巣海岸や坂井市の三国サンセットビーチ、石川県白山市の松任海浜公園も歩いてみました。冬の越前と加賀の海岸は残念ながらどこも似たような状況でした。

 

白山市の松任海浜公園

海岸線だけではありません。国内由来のごみの出どころと言われる九頭竜川の河川敷きもひどかったです。流域からのごみが流れ下って集まっている様子が確かに見て取れました。

 

九頭竜川の河川敷

もちろん、この問題は福井に限りません。同じ北陸の石川・富山でも似たような問題があるはずです。海岸に漂着した国内由来のごみの中にはコーヒーの紙コップやボトル容器もたくさん見られました。

 

 

コーヒー・タンブラーを使う人が1人でも北陸に増えれば、ものすごくナイーブな考え方ではありますが、不必要な紙カップやペットボトルの利用を減らせるかもしれません。

 

単なる個人的な趣味で始めたコーヒー・タンブラーの世界に異なる深みが少しだけ見え始めた瞬間でした。

 

副編集長のコメント:コーヒータンブラー探しの道へ次の第4回では戻ります。)

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