始まりのメルボルン
写真タイトル:ST. ALi Cafe、提供:Visit Victoria、撮影:Josie Withers
話の始まりはメルボルンから。オーストラリア南部のビクトリア州にある州都のメルボルンをご存じでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の影響で予定が吹っ飛んでしまいましたが、HOKUROKU編集長である筆者は〈Australian Tourism Exchange 20201〉にライターとして招待されていたので、この5月にもメルボルンを旅する予定でした。
地理的にも縁遠い北陸ではなかなか知られていないと思います。世界有数のカフェ先進地としてコーヒー業界でメルボルンは高く評価されています。
Australian Tourism Exchange 2020を主催するオーストラリア政府観光局の広報担当者によると、メルボルンのコーヒー文化は第2次世界大戦後にイタリア人とギリシア人の移民によってつくられたと言います。
期間にすれば100年に満たない歴史ですが、世界トップクラスのバリスタ2を次々と輩出するカフェ文化の「先進国」で、あのスターバックスが撤退せざるを得なかった土地3でもあります。
要するに、地元のカフェが市民にきちんと愛されているため巨大企業も割って入る余地がなかったのですね。
メルボルンは〈KeepCup〉の生誕地
上から2段目のカラフルな容器がメルボルンで生まれた人気のテークアウト容器〈KeepCup〉。写真タイトル: The League of Honest Coffee、提供:Visit Victoria、撮影:Paul Philipson
メルボルンと言えば、オーストラリア・イギリス・アメリカの西海岸でも広く使われるテークアウト用のコーヒー容器〈KeepCup〉が誕生した土地でもあります。
日本を含む65カ国以上でKeepCupは現在販売されています。どこかで目にした覚えがもしかするとあるかもしれませんね。
One for you, one for me. Each and every KeepCup is assembled by hand in either London, Melbourne or downtown Los Angeles. pic.twitter.com/KpW9VRzK5r
— KeepCup (@KeepCup) September 25, 2019
同社の創業者はJamie ForsythさんとAbigail Forsythさんのきょうだい(兄と妹)です。メルボルンで人気のカフェを営みながら、自分たちの提供する紙のコーヒーカップの消費量を毎日2人は目の当たりにしていました。
一部の報道だと、オーストラリアでは30分ごとに5万個のコーヒーカップが捨てられていると言います。イギリスでは1日に約700万個、年間で約25億個が消費されているとの情報もあります。
オーストラリアの公共放送局4がメルボルンを走る路面電車5に5万個のコーヒーカップを満載し、まち中を走らせたキャンペーンの様子
この問題に一石を投じようと生まれた商品が先ほどのKeepCupです。KeepCup以外にも複数のブランドからテークアウト用のコーヒー容器が現在のメルボルンではリリースされていて、ひいきのバリスタが居るお店に出社前などに自前の容器をそれぞれに持ち込みコーヒーを楽しんでいます。
その姿にかねて素朴な憧れを筆者は抱いていました。
その思いを観光局の担当者に伝えると「Tourism Australia」のロゴが入っているKeepCupを譲ってくれるとの話になりました。
石川県白山市の松任海浜公園にてKeepCupと(撮影は2020年3月)
思わず憧れのメルボルン発の容器が手に入ってしまった筆者。せっかくなので自前のKeepCupを使ってコーヒー・タンブラーのある暮らしを自分なりに北陸でスタートしてみたいと思いました。
(副編集長のコメント:「コンビニコーヒー」でもKeepCupが使える「大発見」に次の第2回は続きます。)
2 カフェでエスプレッソなどのドリンクメニューをつくる職人。
3 空港など一部には店舗もある。
4 オーストラリア放送協会。
5 Yarra Trams社。
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