こんなの「できる・やる」らしいニュース

2023.10.17

No. 25

能登半島の最果てに最先端のアートが集結!珠洲市の全域247平方キロで〈奥能登国際芸術祭2023〉開催中

Tobias Rehberger, Something Else is Possible_ Photo: Kichiro Okamura

 

能登半島の先端にある珠洲市全域で2023年(令和5年)9月23日(土)~11月12日(日)、第3回目となる〈奥能登国際芸術祭2023〉が開催されている。

 

14の国と地域から59組のアーティストが参加し、珠洲市内の計247.20平方キロメートルを会場に、各地の風土と文化を踏まえた作品を屋内外に展示する。

 

Chiharu Shiota, Boat Which Carries Time ©JASPAR, Tokyo, 2021 and Chiharu Shiota Photo: Kichiro Okamura

 

主催は、奥能登国際芸術祭実行委員会(実行委員長・泉谷満寿裕市長)。総合ディレクターに、日本を代表するアートディレクターの北川フラムさんを迎えた。

 

鑑賞には、全作品を会期中に1回ずつ鑑賞可能な作品鑑賞パスポート(イベントを除く)、または作品会場ごとに鑑賞が可能な個別鑑賞券が必要。

 

 

作品鑑賞パスポートは大人1名が前売2,750円、当日3,300円、個別鑑賞券が一般・大学生で330円となる。

 

Alexander Konstantinov, 53 Bus Stations of Suzu Photo: Kichiro Okamura

 

コロナ禍で開催となった2年前の〈奥能登国際芸術祭2020+〉と異なり今回は全面開催となる。先の大きな地震を乗り越え、地域住人が一体となって、芸術祭の開催に向け準備を進めてきた「らしい」。

 

 

編集部のコメント:昨年の奥能登国際芸術祭は見に行きました。珠洲市は、特殊な立地にあるのでユニークな景色が多いところです。そんな場所でのアートイベントなのでとても面白かったです。「珠洲市の持つユニークな景観を舞台にアーティストが何を考えて作品を制作したのだろう」と思いをはせる時間はとても貴重だと思います。ぜひ!:武井開発P

 

アートの力で社会課題に取り組めないかと最近よく考えます。地方では特に、経済性と理論だけでは突破できない複雑な問題がたくさんあって、正面から突入しようとしても扉が開かない感覚があるからです。趣のある古い空き家の活用や山村集落の魅力発掘にもつながる点において、さまざまな可能性を芸術祭に感じています。そのためには、アートをもっと優しく、身近な存在として理解してもらう運動も必要なのかなと思います。自分でも何かやってみたいと思う今日このごろ:明石P

 

ゲストのコメント:奥能登・珠洲は、江戸時代、大陸の玄関口として世界と直接つながっていました。とっても活気がある、今で言う名古屋のような場所でした。

 

しかし、昭和から平成において海運から陸運に変わり、東アジアからアメリカに貿易相手も変化し、高度経済成長に取り残された場所に良くも悪くもなってしまいました。

 

そんな中で近年、世界中の注目を集める場所に珠洲が再びなりそうです。時代に取り残された奥能登・珠洲には逆に、大正時代の営みがいまだに息づいているからです。

 

異常気象や行き過ぎた資本主義など先が見えない不安定な世の中で、奥能登・珠洲が繋いできた営みや自然が重要だとあらためて世界が認識し始めたからだと思っています。

 

そんな背景の中にある「奥能登芸術祭」。人間らしい、自然と調和された営みを、アートが浮き彫りにし、世界の問題や疑問を投げ掛けます。

 

10年後、30年後、100年後、この地域は、どのようになっているのだろう?

 

そんな時間軸にも想いをはせながら、3年に一度の祭典を楽しんでいただけたら、暮らすように旅を楽しむ宿〈旅音〉を金沢で展開したり〈現代集落〉づくりに同じ能登半島で取り組んだりする者としてうれしいです:株式会社こみんぐる取締役・林俊伍
 
文・翻訳:坂本正敬
写真:奥能登国際芸術祭実行委員会

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