暮らしの中で愛用する「道具と日用品」を北陸の人に聞いてみた(後編)

2021.07.28

第2回

世代を超えて親しむ

※写真はイメージです。撮影:山本哲朗

 

次に登場する道具と日用品は能登半島で宿を営む2人の愛用品です。

 

能登の和倉温泉で1885年(明治18年)に創業した旅館・多田屋の会長を務める多田邦彦さんが1人目です。

 

旅館の経営を息子さんとバトンタッチした多田さんは、中部地方を縦断する旅の形〈昇龍道ドラゴンルート〉の普及に現在尽力している人。

 

その多田さんを〈HOKUROKU〉の編集長(坂本)とプロデューサー(明石博之)に紹介してくれた人が、同じ能登半島の根元・富山県の氷見で天然温泉〈湯の里いけもり〉を営むおかみ・池森典子さんです。

 

池森さんは日本酒のソムリエにあたる利き酒師の資格を持つ方で、日本酒バーが併設された宿〈蔵ステイ池森〉を湯の里いけもりの他にも氷見のまち中で営んでいます。

 

HOKUROKUではかつて池森さんとともに日本酒と料理のペアリングに関する特集も組ませてもらいました。

関連:北陸の日本酒 × 料理の「ペアリング」論を若鶴酒造の社長と利き酒師に学ぶ話(前編)

日本酒は器によって大きく味が変わります。器にも強いこだわりを持つ池森さんはどういった道具や日用品を普段から使っているのでしょうか。多田邦彦さんの愛用品から始まって池森さんの愛用品へと文章は続きます。

「ホット 塑人」多田邦彦(和倉温泉多田屋会長)

写真提供:多田邦彦

陶芸家・長谷川塑人さんのコーヒーカップ

「長谷川塑人(はせがわ・そじん)さんの個展で出合ったコーヒーカップです。

 

九谷(くたに)の陶芸家ですが、独特の作風で自分の思いを貫いている、とても温かく描かれているのでホットします。」

「九谷ってなんだ?」

 

九谷とは石川県加賀市の地名で、九谷焼の発祥地と〈広辞苑〉(岩波書店)には書かれています。

 

この場合の「九谷」とは九谷焼の略語でもあります。

 

関ヶ原の合戦が終わり徳川の時代が始まって間もない1655年ごろに、加賀藩の支藩である大聖寺藩の九谷郷で陶磁器づくりが始まります。

 

100年もたたずに陶磁器づくりは途絶えますが、江戸時代の後期になると加賀藩・大聖寺藩の各地で陶磁器づくりが再び盛んになり、明治時代へとその発展はつながっていきます。

 

加賀藩・大聖寺藩の各地で再度盛り上がった陶磁器づくりを「再興九谷」とも呼ぶと広辞苑には書かれています。

 

九谷焼は鮮やかな色絵装飾で知られています。

教えてくれた人

写真提供:多田邦彦

 

多田邦彦(ただ・くにひこ)さん

1951年(昭和26年)東京都世田谷区生まれ。石川県に現在は居住。和倉温泉多田屋会長にして、一般社団法人昇龍道ドラゴンルート推進協議会理事長。和倉温泉観光協会会長など数々の役職を歴任する。多田屋公式ホームページ(https://tadaya.net/)。

長谷川塑人さんの器ってどんな器?

写真提供:多田邦彦

“土と火と生命(いのち)

土ハ萬物ノ母胎

火、ソレハ土へノ道シルベ

土ヲ錬(ネ)リツツ心ネリ

火ヲ観(ミ)ツメツツ心ミツメ

そんな生命(いのち)の

ほとばしるがままに

一つづつ一つづつ

こしらえ上げた物なのです

どうぞ

使いはぐくんで

いただきたますように”(金沢市デジタル工芸展のホームページより引用)

つくった人

長谷川塑人(はせがわ・そじん)さん

1935年(昭和10年)石川県金沢市生まれ。幼少より絵画を好み、21歳の時に昭和を代表する金沢の陶芸家・中村梅山(なかむら ばいざん)の門をたたく。それ以降は九谷焼の道で独自の世界を歩む。日本伝統工芸会正会員。


「伝統工芸品を現代の若者にも世代を超えて親しむ!伝える!」池森典子(湯の里いけもり・蔵ステイ池森おかみ)

写真提供:池森典子

清峰堂(せいほうどう)〈九谷和グラス〉・鏑木商舗〈鏑木ワイングラス〉など

「1カ所ではありませんが、清峰堂(せいほうどう)の九谷和グラス・鏑木商舗の鏑木ワイングラスなど九谷焼グラスです。

 

金沢の高級寿司店で出合い一目ぼれしました。九谷焼を愛でながら飲む日本酒……。想像できるでしょう。」

教えてくれた人

撮影:柴佳安

 

池森典子(いけもり・のりこ)さん
2019年(令和元年)10月、氷見まちなか商店街に日本酒barを併設したゲストハウスをOPEN!日本酒離れした若い人(特に女子)の中に日本酒ファンを増やしながら、県外から宿泊に来られるゲストには漁師町氷見を楽しんでいただいていてます。公式ホームページ(https://kurastay.com/)。HOKUROKUの特集「北陸の日本酒 × 料理の『ペアリング」』を若鶴酒造の社長と利き酒師に学ぶ話(前編)」「北陸の日本酒 × 料理の「マリアージュ」を利き酒師と酒匠で考える話(後編)」などにも登場する。

九谷和グラス・鏑木ワイングラスってどんなグラス?

“九谷焼と江戸硝子はじめとする手作りの硝子を融合させた「九谷和グラス」は、それぞれの伝統に恥じぬようひとつひとつを丁寧に手作りしています。九谷焼の脚部分はすべてのデザインを手描きし、ガラス部分も手作りの吹き硝子のみを用いており、またその接合部分はグッドデザイン賞を受賞した技術が活かされています”(清峰堂株式会社の公式ホームページより引用)

 

“このワイングラスはボウル部分がガラス、ステムが九谷焼でできています。ワインを注ぐボウル部分には世界的なガラスウェアの老舗Spiegelau社との提携により、合理的で優雅なフォルムのグラスを採用。様々なワインやシャンパンがお楽しみいただけるよう、ボルドータイプ、ブルゴーニュタイプなどワイングラスは4種類、シャンパングラスは2種類のタイプをご用意いたしております。”(株式会社鏑木の公式ホームページより引用)

つくった人たち

清峰堂(せいほうどう)株式会社

1964年(昭和39年)創業。九谷焼の製造販売・全国卸販売・九谷焼オリジナル企画商品の製造販売・九谷和グラス製造販売などを行う。公式ホームページ(https://www.seihou-do.com/index.html

 

株式会社鏑木(かぶらき)

創業は1822年(文政5年)。九谷焼の製造 ・卸・小売業 、伝統工芸品の製造・卸・小売業などを手掛ける。鏑木グラスは国内外で出展・発表・受賞歴を持つ。公式ホームページ(https://kaburaki.shop/

 

編集長のコメント:ステムとプレートに九谷焼の色絵装飾が見られる池森さんお勧めの美しいグラスに個人的に目を奪われてしまいました。

 

池森さんの言うとおり、あのグラスで飲む日本酒は格別の味わいがしそうです。

 

次は第3回。金沢を中心に北陸で活躍する建築家の愛用品が登場します。その人の愛用品も多田さん・池森さんと同じ九谷焼でした。

 

そこで九谷焼とはどんな産地で生まれる焼き物なのか、もうちょっとだけ次回は詳しく補足してみます。)

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