【北陸人のための金沢・茶屋遊び入門。】後書き。

2020.06.27

vol. 06

観光客の少ないひがし茶屋街でバドミントンをする地元の家族。

最後にちょっとだけ、現在の茶屋街について補足します。

 

前回の取材は2019年の12月。まだ新型コロナウイルス感染症の影響が出ていないころです。

 

その後、飲食をともなう会合の自粛が相次ぎました。お座敷に出る機会が激減している芸妓さんに対し、2020年4月には伝統文化を守るため、市から給付金が出される事態にもなりました。

 

現在の状況(6月)はどうなのか。<藤乃弥>のおかみの吉川さんに電話で追加取材を行いました。

 

6月の中旬、平日の昼過ぎのひがし茶屋街。少しずつ人の気配が戻っていて、浴衣を着て歩くカップルや大学生のグループなどが目立った。

大坪:ご無沙汰しております。現在のお茶屋の状況はいかがでしょうか。

 

吉川:お座敷としては早い段階からキャンセルが相次ぎました。2月ごろからですね。芸妓さんはホテルでのパーティや記念講演会、学会など、全国から多くの方が参加される催しでの需要が多い分、中止の判断も早いんです。全国的に自粛要請が出た4月よりもかなり前からキャンセルが入り、実質の休業状態となっていました。

 

現在は予約があればもちろん承りますが、まだまだ予約のご連絡は頂いていない状態ですね。法人のお客様が多いのですが、6月いっぱいは会合を自粛するお客様が多いようです。

 

大坪:休業期間中、芸妓さんたちはどのように過ごされていたのでしょうか。

 

にし茶屋街の検番事務所。芸妓さんの稽古場としても使われる。前を歩けば、三味線のけいこの音が聞こえた。

吉川:芸妓さんたちは休業期間中もおけいこに励んでいました。ただ、おけいこも限られていて。例えば、東京から先生をお呼びして実施したりするおけいこはすべて実施できません。

 

地元の金沢に先生がいらっしゃり、かつ密にならないような形で、限られたおけいこのみが実施されていました。

 

大坪:今は県をまたいだ移動も解禁になりましたが、まだまだ油断はできません。お茶屋としての現在の取り組み、今後の取り組みはありますか?

 

吉川:そうですね、お客様に安心してご利用いただけるように、何よりもまず感染拡大の防止を大事にしています。

 

透明アクリル板の設置でしたり、お座敷太鼓の体験ではお客様専用のバチをお渡しして、芸妓との共有を禁止したり。また、芸妓やお客様同士の向かい合わせの着座は避けるなど、感染拡大の防止策を実施していきます。

 

お茶屋はお客様に気兼ねなく過ごしていただく場所です。安心してご利用いただけるよう、基本的な取り組みを大事にしていきたいですね。

 

6月中旬(平日)のひがし茶屋街の様子。

大坪:最近はどの業界でも今ライブ配信や動画などオンラインのコンテンツが多くなっていますが、ご予定はありますか?

 

吉川:藤乃弥単体としてオンラインでの企画予定は現状ありませんが、お茶屋や芸妓さん全体で見るとこうした取組みも行っていこうと声が上がっています。

 

お茶屋には「一見さんお断り」のルールがございますが、オンラインなどで新しいお客様にお茶屋や芸妓さんを知っていただき、かつ今までのお客様との関係も大切にして、双方のお客様を歓迎していければ、と思っています。

 

軒先のツバメ。

大坪:最後になりますが、今までご利用されているお客様になにかメッセージはございますか?

 

吉川:お客様のご無事を何よりも願っています。事態が落ち着いてから、またお会いできる日を楽しみにしています。

 

お茶屋の利用は1座敷に1組だけです。不特定多数のお客様との接触もありませんし、大人数でのご利用もそこまでありません。感染防止策も実施し、芸妓さんは仕事はなくともおけいこに励んでいます。

 

お茶屋はもともと地元の方のための場です。遠出がまだまだ難しい状況ですので、ぜひ地元の方に安心してご利用いただければと思っています。

 

大坪:一刻も早く事態が収束し、またあのお茶屋の時間が戻る日を私も心より願っています。あらためまして、お時間、本当にありがとうございました。

 

文:大坪史弥、坂本正敬

写真:武井靖、大木賢(大木賢写真事務所)、坂本正敬、大坪史弥

編集:坂本正敬

編集協力:博多玲子、中嶋麻衣

この記事を書いた人

大坪 史弥

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