夢は〈情熱大陸〉
―― 地方の面白がり方として、尊敬できる先輩を見付ける、都会に出て技術を習得し地元に持ち帰って活躍するといった方法が挙がってきました。
それでは最後、地方を面白がる方法の3つ目としては、何が挙げられるでしょうか。
Kazu:かっこ書きで(親と仲が悪くなければ)の条件付きですが「親を頼って夢を追う」が挙げられると思います。
―― また、意外な回答です。
Kazu:親を頼れるとなると、子どもが自分に生まれた時に、絶大な違いを生むんですよね。
まず、固定費が地方は少ないので、子どもが生まれた時に経済的にも育てやすい。
その上、親が近くに住んでいれば、さまざまな形で援助を受けられます。
もちろん、都会にも施設とかはあるんですけど、ちょっと言い方はよろしくないかもしれませんが、親は手軽というか。親も結構、笑顔で協力してくれるし、時間的にも融通が利きます。
夫婦円満にもなりやすいのかなって。例えば「夜ご飯の時間だけお願い」と任せて2人だけでご飯も行けるし。
家庭環境がぐちゃぐちゃだと、別れるか仕事がうまくいかなくなるか、どちらかなんですよね。子どもを持った時に、特に表れやすいです。
例えば、都会組のユーチューバーって子ども生まれたら、動画本数がぐーって下がるんですよね。
忙しいし、家の中で撮影できないし。仕方ないから撮影場所を借りるという行動になりやすい。
でも、地元だったら親の助けがあるから、仕事を諦めずに家庭も円満になります。
今、うちも子どもが3人居るんですけど、支援施設で妻は働いています。発達障がいのある子どもたちの支援に興味があって、その方面で勉強したくてパートで働かせてもらっています。
僕は僕で楽しく仕事をさせてもらっていますから、親が地元に居ない環境だったら、どちらかが夢を諦めるというか、どちらかが(あるいは双方が)制限して、子育てや家事に力を割かなければいけません。
子育ても家事も大切な仕事なんですけど、家庭を持った時、子どもを持った時に、かなりの差となって出てくると思います。
現に、会うユーチューバーにはたいてい言っています。「地元、最高やぞ」と。
―― あらためて言われてみると、おっしゃるとおりですね。
私も子育て中で、妻も働いています。どちらも好きな仕事をできています。しかし、妻の実家の大きな支えがなければ成り立たない気がします。
Kazu:もちろん、親との関係がいい場合の話です。親に頼れないなら、都会に出ちゃった方がいいかもしれません(笑)冗談ですが。
福井に恩返ししたい
―― そろそろ最後の質問に移らせてください。
動画クリエイターとして楽しく仕事して、ものづくりも楽しんでいるKazuさんです。
この先は、どのような夢や目標を掲げながら、ドキドキ・ワクワクしていく予定ですか?
Kazu:最近、自己紹介とかでよく言うのですが「〈情熱大陸3〉に出る」が目標です。分かりやすくていいなと思っていて。
ユーチューバーとして単純に出るとなると、HIKAKIN4くんぐらいにならないと駄目なので、僕の場合は、ユーチューバーでありながら、福井の観光とかものづくりとかをバリバリに盛り上げて、番組側に選んでもらいたいと思います。
なので、いろいろな人に今は会っています。重機を使って森に道を整備する講習にも最近は参加していますし。
―― なんですか? その謎の講習は?(笑)
Kazu:人の手が入らなくなった森を何キロにもわたって重機で整備して道をつくる人たちが居るんですよね。
上手になると、それだけで生活できるくらいになります。
その道に、電動マウンテンバイクのコースをつくるだとか、山の頂上に宿をつくるだとか、スケールの大きな構想がいろいろとあります。
全力で福井を盛り上げ、その人が結果、ユーチューバーだったみたいな形で、情熱大陸に出たいですね。
―― 地方を盛り上げるためには情報発信のスキルも大事になってくるわけで、トップクラスの発信力をKazuさんは北陸でお持ちです。
そう思うと、Kazuさんなら本当にやってのけてしまうんだろうなとワクワクします。本当に番組にも出ちゃうんでしょうし。
〈HOKUROKU〉も負けじと頑張ります。今日は、ありがとうございました。インタビューはこれで終わりです。写真撮影を最後にお願いします。
Kazu:分かりました。こちらこそ、ありがとうございました。
(副編集長のコメント:Kazuさん、ありがとうございました。
こんなことを言うとそもそもの企画の前提が崩壊してしまうのですが、「地方が退屈」と思う人たちはこれから減っていくんだろうなと思っています。
今時の子どもたちが興味を持つ職業はユーチューバーであり、Kazuさんのように地方暮らしを楽しくするユーチューバーが居るわけですから。子どもたちの成長とともに地方を面白がるコンテンツはこれからどんどん増えていくはずです。
そんな時代だからこそKazuさんやKazuさんのおじさんのように、自分の面白がる姿を誰かに尊敬してもらえる人物でありたいもんです。)
〈和来-waku-〉の詳細はこちら
文:坂本正敬
写真:藤森祐治
編集:大坪史弥・坂本正敬
編集協力:明石博之・武井靖・清水菜生
4 日本のトップユーチューバー。UUUM株式会社最高顧問にしてファウンダー。
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