福井の人気ユーチューバーKazuさんに聞く。「地方暮らし」の幸せと楽しみ方

2022.08.14

第3回

尊敬できる先輩を持つ

 

―― ここまでの話を通じて「普段の生活を楽しく生きてください」というメッセージが〈和来-waku-〉にはあると分かりました。

 

また、動画制作にとどまらず、ものづくりそのものをKazuさんご自身が天職と感じて、楽しく取り組んでいる様子も伝わってきました。

 

そこで、あらためて冒頭の素朴な疑問に戻りますが、どうしてKazuさんは、そんなに毎日を楽しめるのでしょう?

 

「退屈だ」「何もない」と言われがちな地方を面白がる方法として、Kazuさんなりに心掛ける点を言語化すると、どういった言葉になりますか?

 

Kazu:よく言われる話だとは思うのですが「尊敬できる先輩を持つ」が1番ですよね。

 

そんな先輩とか社長とかを見つけると、刺激になると感じていて。

 

―― Kazuさんにとって、尊敬できる先輩と言えば誰になるのですか?

 

Kazu:僕の場合は、先ほども言った親せきのおじさんです。家庭用のシアタースクリーンが日本にないと知り「日本でつくってしまえ」と事業を始めた人です。

 

 

決して勉強ができるわけじゃない、やる気だけがある青年に、おじさんは何でもやらしてくれたんですよ。おいっ子だったという理由もあるとは思うんですけど、

 

「どうやったら物が売れるのか」みたいな20~30万円もする勉強会に「よーし行ってこい」と業務中の時間を使って半年間送り出してくれたり。

 

ホームページの制作も任せてもらったりとか。

 

従業員にも優しくて、ちゃんと定時に皆が上がれるようにシフトを組んでくれていましたし、自分だけが良ければいいという考えではなく、従業員にも平均以上の給料をくれていました。

 

おじさんがいなかったら、絶対に僕はこうなっていなかったというか、普通に仕事して終わっていたんじゃないかなって思います。何が普通か良く分からないですけど。

 

―― 少なくとも、歩いていて声を掛けられるような人生にはならなかったと。

 

Kazu:はい。

 

―― 今は、その方はどうしていらっしゃるのですか?

 

Kazu:会長になって、後継ぎという感じで、代表の座を僕が受け継がせてもらいました。

 

ただ、おじさんはおじさんで開発が好きで、今もまだ楽しそうに開発しているんですよね。62、3歳くらいですが、ただの少年なんですよ。本当に。

 

 

ついこの前も「新しいシステムできたよー」と喜んでいました。

 

スクリーンの製造工場は結構大きいんですよね。地下水をくみ上げ、それに扇風機をあてて、冷たい風で工場内の温度を管理するシステムなのですが、工場というくらいの広さなのにエアコンはたった1台で済むようになりました。

 

電気代も抑えられるようになって「すげーだろ?」みたいにうれしそうにしているんですよね。

 

―― Kazuさんも、その方もそうですが、必ず居るじゃないですか。東京だろうがニューヨークだろうが福井だろうが、場所に関係なく、年齢も関係なく、常に楽しそうな人。

 

何が違うんでしょうね? そうした人たちは。

 

世の中が究極そんな人だらけなら「地方を面白がる方法」みたいな今日の取材テーマは不要なわけで。

 

Kazu:もはや、僕じゃなくておじさんの歴史になっちゃってますけど、10年くらい、おじさんはアメリカに住んでいたんですよね。

 

で、考え方がアメリカンというか、日本人に欠けているとまでは言えませんが、日本人が持ちにくい感情を持っているんです。

 

「ないんだったら、つくっちゃおうぜ」「やっちゃおうぜ」みたいな。

 

―― 確実に、Kazuさんもその方の生き方に「感染」していますよね。

 

Kazu:もともと、おじさんの会社は織物工場でした。でも「今までのままじゃあかんから変えちゃおう」とおじさんの代でスクリーン屋になりました。

 

 

そういう姿を僕も見ているんで、今までにない新しい仕事に変なちゅうちょがありません。

 

ユーチューバーだったりとか、一時期のブロガーだったりとか。

 

踏みとどまるのが普通は正解やと思うけど、おじさんの影響を受けているから、踏みとどまりにくい性格になってしまったのかもしれません。

 

まあ、多少のリスクはもちろん考えますけど。

 

―― 予想しなかった答えでしたが、言われてみると、すごく納得できる気がします。有名な社会学者も全く同じ話をしているからです。

 

心底すごいと思える誰かに出会い「この人のようになりたい」「まねしたい」と感じて(感染して)理屈ではなく気持ちが動く。頭ではなく気持ちが動くから、今回のテーマであるワクワクやドキドキも生まれるのですね。

 

地縁とか郷土意識とか学閥とか親せき付き合いとか、都市部と比べて地方の方が人間関係が濃密な部分が確実にあるので、尊敬できる先輩も見つけやすそうです。

 

Kazu:もちろん最後は、自分が尊敬できる人にならんとあかんという思いはありますけどね。

 

副編集長のコメント:楽しみ方を知るには楽しんでる人を見つけるのが1番ですね。

 

次回は、Kazuさん流地方を面白がる方法その2です。)

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