「愛されるSNS」は片手間でつくれない。北陸の代表企業&インフルエンサーの座談会(後編)

2021.03.24

vol. 02

Twitter(現・X)を半泣きしながら眺めていました

〈8番らーめん〉本店にある創業当時の写真。撮影:山本哲朗

―― 〈Twitter(現・X)〉のコンテンツについてもう少し聞かせてください。

 

Twitter(現・X)を運用していて今までで一番話題になったり盛り上がったりした投稿は何でしょうか?

 

ハチコ:うちは、つい先月に投稿したツイートが今まで運用してきた中で一番盛り上がりましたね。

 

―― どんなツイートでしょう?

 

ハチコ:8番らーめんの創業日を記念するツイートです。8番らーめんの創業日は2月11日なんです。お客さまへの感謝を伝えるツイートをその日にしたんです。

 

 

―― Twitter(現・X)で僕もこれ見掛けました。

 

ハチコ:8番らーめんは今年で54周年なんですが、きりのいい数字でもないですし特別な投稿は予定していませんでした。

 

創業日は、弊社都合のイベントなので、フォロワーさんにお知らせするかも迷っていました。

 

その日は休日でした。私も出勤しておらずツイートは来年でもいいかなぁと。

 

ただ、いろいろ迷いはしたものの、フォローしてくれている8番ファンにとっても1年に1回の機会に感謝を伝えたいと思い、当日の午前中に何気なくツイートしたんです。

 

すると、予想以上の反響で。フォロワーさんから創業をお祝いしてくれるコメントと思い出のエピソードが多数寄せられました。

 

 

北陸に住んでいる方はもちろん、遠方に居る北陸出身の方からもエピソードが寄せられました。

 

「だんなとけんかした時には地元の8番らーめんへ独りで行っていました」とか赤裸々なエピソードも寄せていただいてめちゃくちゃうれしかったですね。

 

感動で半泣きになりながらTwitter(現・X)をずっと眺めていました。

 

日の出屋:すてきですね。そのTwitter(現・X)を今見てみました。すごくいい投稿だと思います。

 

ハチコ:ありがとうございます。〈Facebook〉と〈Instagram〉にも同じく投稿したところ、今までで一番のコメントがこちらも寄せられました。

 

この投稿と、フォロワーさんからの反応を社内で共有すると「これだけのお客さまに支えられているんだ」「感動した」とリアクションが社内からも多数寄せられました。

 

「SNS担当としてハチコさんがどんな仕事をしているのかよく分かった」との声も社内から寄せられSNS担当の役割を理解してもらえました。うれしかったですね。

 

その反面、予想以上の反響だったので、来年の55周年は気合を入れて取り組まないとなと思っています(笑)

 

―― ハードルが確かに、ちょっと上がってしまったかもしれませんね。

 

皆の思い出の琴線に触れる投稿は反響が大きいのかもしれません。北陸出身者として思わず私もコメントしていました。

 

ハチコ:しっかり拝見しましたよ。ありがとうございます。

キリマンジャロの空をシロエビが舞いました

 

―― 日の出屋製菓さんはいかがでしょうか?

 

日の出屋:2020年(令和2年)の「立山頂上を目指そうチャレンジ!」企画ですね。

 

毎年4月10日を「しろえびせんべいの日」と弊社では定めてるんです。シロエビ漁解禁月の4月、エビを1、せんべいを0に見立て、4月10日としています。

 

2016年(平成28年)に日本記念日協会より認定も実は受けてるんですよ。

 

「しろえびせんべいの日」に向けて2020年(令和2年)の3月ごろからTwitter(現・X)でキャンペーンを走らせました。

 

日の出屋製菓産業の公式アカウントをフォローし、キャンペーンに関するツイートをリツイートしてくれた人には〈しろえびせんべい〉の詰め合わせが抽選で当たる企画です。

 

 

―― こうしたキャンペーンは他の企業公式アカウントでも見掛けますね。

 

日の出屋:はい。よくあるフォロー&リツイートキャンペーンの一種ですが、他社とちょっと違う点はリツイートされる度にシロエビが立山を登るんです。

 

―― ちょっと何を言っているのかよく分からないのですけれど。

 

日の出屋:もう少し説明しますと、キャンペーンのために立山のイラストをバックにした特設サイトをつくりました。

 

キャンペーンツイートのリツイート数と連動したサイトで、1リツイートされるごとにシロエビのイラストが1メートルずつ立山を登っていきます。

 

立山頂上の3,015メートルにシロエビが到達すれば、つまり3,015リツイートを達成すればゴールという企画です。サイトはこんな感じです。

 

キャンペーンの特設サイト。提供:日の出屋製菓産業株式会社

―― なかなかシュールですね。

 

日の出屋:これが意外に盛り上がりました。

 

シロエビの登っていく様子が視覚的に見えるのでフォロワーさんからは「あと○○メートルだ!」とか「頑張れー!」といった応援コメントや引用リツイートを多数いただきました。

 

結構ギリギリの目標かなと当初は思っていたのですが、キャンペーン開始から1週間も経たないうちに3,015メートルに到達してしまいました。

 

 

―― すごいスピードですね。

 

日の出屋:予想以上の盛り上がりでした。ただ、立山登頂の時点でキャンペーン期間は残り3週間以上も残っていました。

 

次の目標として富士山の山頂(3,776m)に切り替えたのですが、そちらもすぐに登り切ってしまったんです。キリマンジャロ(5,895m)登頂を最終的に目指しました。

 

 

―― 当初の倍に近い目標ですね。キリマンジャロをシロエビは登頂できたのでしょうか?

 

日の出屋:はい。6,137リツイートを最終的に頂き、キリマンジャロの空をシロエビが舞いました。

 

キャンペーン終了後の特設サイト。提供:日の出屋製菓産業株式会社。

―― 登頂おめでとうございます。

 

日の出屋:ありがとうございます(笑)

 

普通のフォロー&リツイートキャンペーンではここまで恐らく盛り上がらなかったと思います。

 

フォロワーさんと一緒に頂上を目指す体験が生み出せたからこそ盛り上がったのではないでしょうか。

 

―― キャンペーンやPRはフォロワーと一緒に楽しむくらいの方がいいのかもしれません。

 

富山県民になじみの深いシロエビと立山を取り入れた点も共感を得たポイントなのではないかと思います。

「#チャンカレミートアップ」のタグが日本のトレンド3位に

―― チャンカレさんはいかがでしょうか?

 

 

チャンカレ:うちは「チャンカレミートアップ」ですね。

 

―― チャンカレミートアップ? 何かのイベントですか?

 

チャンカレ:はい。私の入社する前の話なのですが、2018年(平成30年)11月に行われたイベントで、Twitter(現・X)の日本支社のツイッター・ジャパンさんとのコラボで行いました。

 

―― え、Twitter(現・X)運営とのコラボですか? 何がきっかけだったのでしょう?

 

チャンカレ:イベントのきっかけは商品の「箱つぶれ」です。発送したレトルトカレーの段ボールがつぶれてしまい多くの返品が発生した時がありました。

 

―― それは大変です。

 

チャンカレ:幸い中身は無事だったので、企業公式アカウント1社に抽選でプレゼントする企画を実施したんです。

 

 

このツイートを見たツイッター・ジャパンの「中の人」から「東京のTwitter社のオフィスでチャンカレパーティーしませんか」とご連絡いただきイベントを実施する流れになったんです。

 

―― なんと! Twitter(現・X)さん、粋ですね。

 

チャンカレ:ですよね。こうしてTwitter(現・X)さんにも協力してもらい、企業公式アカウントを担当する100名を招待して、チャンカレを食べながらTwitter(現・X)の運用方法についてトークするというイベントを開催しました。

 

 

―― これは楽しそうです。

 

チャンカレ:「#チャンカレミートアップ」のハッシュタグを付けてイベント中はツイートするようにしたんです。

 

そうしたら「#チャンカレミートアップ」のタグが2018年(平成30年)11月22日の日本のトレンド3位にランクインしました。

 

 

―― 「#チャンカレミートアップ」で調べてみると1000件以上のツイートがヒットしました。ヒットしたそれぞれのツイートのリツイート数を合計すると6,000リツイートを超えています。相当のトレンドだったのではないかと思います。

 

しかも、最新のツイートは約1カ月前の2月24日です。開催から3年近く経過しているイベントなのにこのハッシュタグがいまだに使われているとはすごいです。参加した皆さんがいまだにつながって話題にしているようです。

 

皆さんのお話をお聞きしていると「フォロワーさんと一緒につくる」がポイントなのかなと思いました。

 

編集長のコメント:「#チャンカレミートアップ」のタグが日本のトレンド3位にランクインしただとか、キリマンジャロの空をシロエビが舞っただとか、すさまじい実績の数々ですね。

 

座談会に参加した企業のすごさがあらためて伝わるエピソードだったのではないでしょうか。

 

Instagramの成功事例について次の第3回では話が及びます。)

この記事を書いた人

Avatar

関連する記事

オプエド

この記事に対して、前向きで建設的な責任あるご意見・コメントをお待ちしております。 書き込みには、無料の会員登録、およびプロフィールの入力が必要です。