片手間では済まされないので。THE「愛されるSNS」論。(後編)

2021.03.25

vol. 03

ダイレクトメッセージもコミュニケーションの一環。

写真:Graeme Paterson。〈flickr〉より。

大坪:〈Twitter〉から話題を変えて、次は〈Instagram〉の活用方法についてお聞きしていきます。

 

今までの話を聞く限り、皆さんInstagramに載せるコンテンツは「視覚的に映える」点で共通しているようです。

 

具体的にはどんな「映える」内容を投稿していますか?

 

 

ハチコ:その時々の限定メニューやトピックに沿った写真を撮って投稿していますね。

 

公式投稿だけだと、同じような写真が続いたり、宣伝っぽくなってしまうのもいやなので、お客さまの投稿も積極的にリポストさせてもらっていますね。

 

大坪:リポストとは、TwitterのリツイートやFacebookのシェアのように、自分が気に入った他のユーザーの投稿をInstagramの自分のタイムラインに再投稿する行為ですよね。

 

ハチコ:そうです。8番らーめんのおいしそうな投稿を見付けたら、その投稿している方にInstagramのダイレクトメッセージを送って、リポストの許可をもらっていますね。

 

チャンカレ:わざわざダイレクトメッセージを送っているんですか?

 

うちもリポストはしますが、ダイレクトメッセージを送らないです。「メンションやタグ付け頂いた美味しい楽しい写真はリポストさせて頂く場合があります」とプロフィール欄に免罪符のように書いていますね。

 

ハチコ:確かに、毎回ダイレクトメッセージを送る作業は正直ちょっと手間ではあります。

 

ただ8番らーめん公式SNSを運用する目的は、お客さまとのコミュニケーションなので、こうしたダイレクトメッセージもコミュニケーションの一環だと考えています。

 

また、ダイレクトメッセージでやりとりしてリポストすると、その後も8番らーめんに関して投稿してくれるお客さまが多いです。

 

ありがたいことに、最近は8番に関して投稿してくれる人が増えて、むしろリポストが追い付かない状況になっていて、申し訳なく感じているくらいです。

「ストーリー」の方が圧倒的に反応がいい。

 

大坪:みーもぐさんと高橋さんはInstagramの活用方法について思う点はありますか?

 

みーもぐ:Instagramだと「ストーリー」の方が圧倒的に反応がいいです。普通のポストより、「ストーリー」の方がコメントをいただきやすい気がしますね。

 

最近だと、Instagramの普通のポストはあまり見ないけれど、「ストーリー」だと見るという人が増えてきました。

 

「ストーリー」だと、絵文字やスタンプでリアクションがしやすく、フォロワーとのコミュニケーションが始まりやすいと思います。

 

ポストは今まで通り行いつつも、「ストーリー」で質問を投げ掛けたりして、フォロワーさんとのコミュニケーションを楽しんでいますね。

 

大坪:なるほど。〈HOKUROKU〉でも通常のポストはしているんですが、「ストーリー」はあまり手を付けていなかったですね。

 

「ストーリー」の活用の仕方について、高橋さんはいかがでしょうか?

 

 

高橋:タウン誌の企画を考える際にも、よく「ストーリー」は活用していました。特集でどんなお店を扱うか、フォロワーさんにヒアリングするためです。

 

例えば、温泉特集をやると決めたら、「ストーリー」でフォロワーさんに「どんな温泉によく行きますか?」と質問します。

 

フォロワーさんからさまざまな温泉が上がってくるので、その結果を見て、名前の挙がった温泉「以外」を取り上げたりしていました。

 

大坪:名前の挙がる温泉ではないのですね?

 

高橋:名前の挙がる場所だとすでに多くの方に知られている可能性が高いので。安定感のある場所も当然扱うのですが、メディアの役割としては、まだ知られていない場所の情報を届ける必要があります。なので、そういったリサーチのために「ストーリー」を活用していました。

 

大坪:なるほど。読者さんの生の意見を聞かせてもらえるわけですね。

 

高橋:従来はこうした情報を、読者はがきのアンケートで集めていました。今は「ストーリー」のようなコミュニケーションでより素早く読者さんの興味や動向を教えてもらえます。

 

大坪:企業でも新しいサービスや企画を考える時に活用できそうですね。

 

企業の皆さんで、「ストーリー」を活用している方はいらっしゃいますか?

 

 

一同:……。

 

大坪:おっと、まだ、あまり使われてないようですね。

 

ハチコ:まだうまく活用できていないですね。ただ今後活用しようとは思っています。たとえば、開発中のメニューの内容を投稿して、お客さまの意見を聞いたりできたらいいなぁと思っています。

 

大坪:それは面白そうですね。お客さま目線で言うと、メニューをつくる過程を共有したり、質問を投げ掛けたりしてもらえると、一緒につくり上げる感覚が楽しめそうです。完成したら食べに行こうとも思えます。

カレーは「映え」が難しい。

 

大坪:ただ、根本的な話になりますが、通常のポストにせよ、「ストーリー」にせよ、Instagramで「映える」写真を投稿する作業は、大変ではないですか?

 

HOKUROKUでもInstagramの投稿から、記事を読んでもらうために投稿はしています。ただ、読者にたくさんみてもらえるような「映える」写真の投稿は毎回大変だと感じるんですね。

 

Instagramの「映え」そのものについて思う点があれば、ぜひご意見いただければと思うのですが。

 

 

チャンカレ:カレーは「映え」が難しいですよね。例えば、少し前から流行しているスパイスカレーであれば、いろんなスパイスをずらっと並べたりして、見た目にも華やかな投稿ができます。

 

ただ、うちのような欧風カレーだとなかなかそうした構図は難しいです。なので、毎回振り絞った「映え」を投稿してます。

 

先ほどお話しした〈#バエルカツ〉フォトコンテストを実施している背景には、カレーの「映え」の難しさがあるからこそなんです。

関連:片手間では済まされないので。THE「愛されるSNS」論。(前編)

なかなか自分たちで「映える」画像を撮れないからこそフォロワーさんから「映える」画像を教えてもらおうと。

 

大坪:確かに自分たちが思いもしなかった「映え」が見えてくるかもしれませんね。

 

 

ハチコ:思いもしなかった「映え」という点では、私も似たケースがありました。

 

以前、Instagramに〈野菜牛もつ煮らーめん〉の動画を投稿したんです。みそを使ったラーメンなのですが、スープが対流を起こし、どんぶりの中でみそがモロモロと浮かび上がる動画です。

 

 
 
 
 
 
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8番らーめん(@8ban_ramen)がシェアした投稿

野菜牛もつ煮らーめん〉のInstagramの投稿。

なかなかに地味な動画なんですが、当時にしては予想以上に多くの方が見てくれました。「静止画かと思いきや、動画だった」と驚きの声をいただきましたね。

 

地味ながらもこういったコンテンツもひとつの「映え」なのかなと思いましたね。

 

大坪:確かに「映え」というと、派手できらびやかなイメージがあります。しかし、本質的には「目を留めてしまう」と言った方が正しいのかもしれません。

 

日の出屋製菓さんはいかがでしょうか?

 

 

日の出屋:「目を留めてしまう」という点では、なかなか見る機会のない商品の製造過程は、結構面白いコンテンツになるのではないでしょうか?

 

例えば、うちのおかきは、機械化はしているものの、昔ながらの製法でつくっています。おこわを炊いて、もちをついて固めて、焼いたり揚げたりします。

 

そのもちをつく機械が面白いんですよ。もちをつく大きなきねが円状に7、8本並んでいて、回転しながら炊いたもち米を200回から300回ほどつくんです。初めてその様子を見たときには驚きました。

 

のり巻きをつくる機械も面白くて、おかきにのりが巻かれて、どんどん飛び出してくるんです。

 

大坪:それはぜひ見てみたいです。工場見学みたいな感じですね。

 

日の出屋:今のところ公開可能な動画がないので、お見せできないのが残念です。

 

こうした光景は社内の人からすると当たり前なのかもしれませんが、中途入社の私からするとその非日常的な様子がめちゃくちゃ面白いんです。

 

 

ハチコ:私も中途入社なので、その感覚はよく分かります。初心を忘れちゃいけないですよね。

 

日の出屋:はい。その驚きや感動をコンテンツにするといいのかもしれません。

 

大坪:チャンカレさんの〈TikTok〉の動画の話ともつながりますが、製造過程はユーザーから見ると、新鮮で興味深い内容かもしれませんね。

 

みーもぐさんと高橋さんから見て、「見たい!」と思うコンテンツは何かありますか?

 

 

みーもぐ:商品の製造過程は見てみたいですね。面白いと思います。チャンカレさんみたいにTikTokだったり、Instagramのリールを使って、調理や製造過程に関わる短い動画を投稿してみるのもいいかもしれません。

 

先ほども言いましたが、最近のInstagramでは「ストーリー」しか見ない人も増えています。通常のポストだけをしていてもなかなか見られないので、「リール」や「ストーリー」など別の形も織り交ぜて投稿するのがいいかもしれません。

 

大坪:なるほど。通常のポストは今まで通り映える写真を投稿しつつも、「ストーリー」や「リール」で短い現場の裏側みたいな動画を投稿していく運用になるわけですね。

 

高橋さんはどんなコンテンツがあったらいいと思いますか?

 

 

高橋:現場を知っているスタッフならではの情報があるといいですね。例えば、お勧めメニューとトッピングをスタッフが動画で配信するとか。

 

スタバでもそうじゃないですか? スタッフのお勧めカスタマイズを聞くと注文したくなる心理です。

 

調理や開発の過程を知っているスタッフだからこそ、情報に信ぴょう性がありますし、次にお店に行ったらやってみようと思えます。

 

日の出屋:面白いですね。

 

ハチコ:実は以前、計らずともそのようなコンテンツを配信した経験もあるんです。

 

2020年(令和2年)に期間限定メニュー〈野菜麻辣らーめん〉を発売し、開発担当者のインタビューを掲載しました。

 

野菜麻辣らーめんは辛みが特徴のメニューなのですが、当時は辛みをさらに増すための 〈麻辣オイル〉 という追加トッピングが注文できました。このオイルを「ざるらーめんのタレに入れるとおいしい」と開発者がインタビューで語ったんです。

 

 
 
 
 
 
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インタビューを掲載した後は、一部のフォロワーさんの間で、ざるらーめんのタレに麻辣オイルを入れて楽しむ食べ方が話題になりました。

 

もともとは開発者の思いを伝えたい一心で実施したインタビュー企画だったのですが、思わぬ副次的な効果がありました。高橋さんの話を聞いて、今後も続けて行こうと思いました。

 

(編集長のコメント:みそを使ったラーメンのスープが対流を起こし、どんぶりの中でみそがモロモロと浮かび上がる動画も、1つの「映え」であるという話、なるほどと思いました。

 

大坪も上手にまとめている通り、「映え」の定義は、「派手できらびやか」ではなく、「目を留めてしまう」が正解なのかもしれませんね。

 

ちなみに、スタッフならではの情報をコンテンツ化する話は、昔から雑誌やウェブ編集の世界では定番のアイデア。SNS運用者には、高橋さんのように編集者の視点やスキルがあると、盛り上がる投稿を連発できそうです。

 

次は第4回、話の途中で編集長の私も知らずに、聞き手の大坪とみーもぐさん、高橋さんの協力による、ちょっとびっくりした展開があります。ぜひ、楽しみにして読み進めてみてくださいね。)

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