片手間では済まされないので。THE「愛されるSNS」論。(後編)

2021.03.26

vol. 04

絡みにくさの壁を崩す。

外から見た取材風景。場所は〈水辺の民家ホテル〉(富山県射水市)

大坪:ここまで企業の皆さんを中心に話を聞いてきました。ここで少し視点を変え、みーもぐさんと高橋さんに聞きます。

 

みーもぐさんは〈Instagram〉で日々、飲食店の情報をチェックし、数多くのフォロワーに向けて投稿されています。

 

高橋さんは企業のSNS運用のアドバイスや代行をされています。お二人とも企業やお店のアカウントを、いわばプロの目線で見る機会が多いかと思います。

 

お二人から見て、SNS運用に成功しているアカウントの共通点はなんだと思いますか?

 

 

みーもぐ:そうですね。まずは各SNSアカウントのユーザー属性を理解されているかどうかが大きいと思います。

 

それぞれのSNSで見ているユーザーの年代、属性、求められるコンテンツも大きく異なります。

 

先の話にも挙がったように、〈Facebook〉ならニュースリリース、〈Twitter〉なら気軽なコミュニケーション、Instagramなら視覚的に面白い内容といった風に使い分けが必要だと思います。

 

アカウントの内容や業界によってフォロワーの属性は異なるので、どの媒体でどんなコンテンツがいいとは一概には言えません。まずはどんな人がフォローしてくれているのか、把握されるといいかもしれません

 

 

もう1点はフォロワーとコミュニケーションができているかどうかです。

 

ここまでのお話で皆さん、コミュニケーションの重要性を意識されていましたが、私も重要だと感じています。

 

SNSを単なる「情報発信ツール」と捉えるのではなく、「お客さまとのコミュニケーションの場」として重きを置いているアカウントは、うまくいっているように思います。

 

一フォロワーからすると、企業アカウントはどこか遠い存在というか、絡みにくさがあります。ご自身でその壁を崩し、気軽に話し掛けやすい存在になれているアカウントはコミュニケーションも生まれやすいですよね。

 

大坪:ありがとうございます。確かに「企業公式アカウント=情報発信」のイメージはありますね。こちらから話し掛ける存在ではないなと思ってしまいます。

 

どれだけ情報発信しようとも、一方通行ではフォロワーとの関係性は深まらないですよね。今回のテーマは「愛されるSNS」ですが、本質は現実でのコミュニケーションと変わらないのかもしれません。

 

高橋さんはいかがでしょう? 成功に共通するポイントはありますか?

 

 

高橋:いかに「楽に、楽しく続けられるか」が大事だと思いますね。

 

先ほども話に挙がったとおり、SNS担当者は他の業務と兼任しているケースがほとんどです。

関連:片手間では済まされないので。THE「愛されるSNS」論。(前編)

SNSを見ている時間は限られています。だからといって、空いている時間を頑張って全てSNSに充てた方がいいわけでもありません。

 

限られた時間だからこそ割り切って、SNSでのコミュニケーションはここまで、と線引きした方が楽にできますし、楽しめます。

 

そうした姿勢は投稿内容にも表れると思います。フォロワー数に縛られて、仕事として頑張りすぎているアカウントよりも、自然体で運用しているアカウントの方が好きになれると思います。

 

大坪:そうですね。「1日○ツイート」とか目標を決めたりするとしんどいですし、続かなそうです。無理なく続けるのが大事ですね。

 

高橋:とはいえ、仕事としてやるからにはどうしても目標を掲げなければいけない場合もありますよね。

 

そうした場合には外部の分析ツールなどを入れて、自分のアカウントを客観的に分析し、まずは現状を把握するところから始めるのがいいと思います。やみくもに高い目標を掲げない方がいいです。

抜き打ちテスト。

 

大坪:ここでちょっといったん、話の流れをストップさせてもらいます。

 

実は今回、みーもぐさんと高橋さんには事前に、チャンカレさん、日の出屋製菓産業さん、8番らーめんさんの各SNSアカウントをチェックしてもらってたんですよ。

 

日の出:え! 抜き打ちテストですか?

 

大坪:そうなんです。

 

お二人からフォロワー目線で見る3社のSNSを見ていいところ、言いづらいかもしれませんが悪いところも教えてもらいます。

 

まずはいいところから行きましょう。

 

 

みーもぐ:事前に拝見しましたが、皆さんすごく工夫が感じられました。

 

先ほどの日の出屋製菓さんのしろえびせんべいの企画は、キャンペーンなのにフォロワーさんと一緒に楽しめる工夫が凝らしてあって素晴らしいなと思いました。

 

そこまで狙ってではないのかもしれませんが、フォロワーさんと一緒に楽しんでいるからこそ、バズを生み出しているなと思いました。

 

あと、8番らーめんさんは投稿に付いたコメントに対してほぼ全部返信してますよね。もっとフォロワー数の少ないアカウントならまだしも、今のフォロワー数でこれだけ対応しているのはちょっとびっくりしました。

 

フォロワー側からすると返信が来るとうれしいです。なので私もコメントにはなるべく全部返信するようにしています。

 

フォロワーさんはコメントに対する返信を想定していない場合が多くて、返信するとすごく喜んでくださる方が多いんです。そこからぐっと距離が縮まったりする場合もあります。

 

チャンカレさんはTwitterがすごいですよね。私はまだTwitterを始めたばかりなので、すごく勉強になります。

 

なんというか、いわゆる「Twitter民」の気持ちをすごく分かっていますよね。Twitterって他のSNSに比べると、ネットスラングが多かったり、独自のマナーがあったり、トレンドが発生しやすかったりと、独自の要素が多いように思います。

 

そうした中でもコンテンツからトンマナまで細かい気遣いをされながら、フォロワーさんとのコミュニケーションを楽しんでいる様子が伝わってきます。フォロワー数が多いのも納得しました。

 

チャンカレ:いえいえ、

 

一同:ありがとうございます(笑)

 

ハチコ:うれしいですね!

 

大坪:高橋さんはいかがでしょう?

 

 

高橋:各社のタイムラインや、店舗名、商品名の検索結果を見ていると、皆さんに共通するいい点、というか傾向に気付きました。

 

各社の店舗に来店された方や、商品を購入した方で、商品の写真を投稿されてる方が多いんです。つまり、UGCの数が多い点ですね。

 

個人的な話をすると、私はチェーン展開している飲食店に行っても、あまり写真を撮って投稿しないんですよね。

 

ですが、各社に関わる投稿を見ていると、「○○食べました」といった写真付きの投稿が多いです。また、各アカウントともこうしたお客さまの投稿に対してコメントやリアクションされています。

 

ここからは推測になるのですが、「公式アカウントが見付けてくれるかもしれないから投稿してみよう」という方が多いのではないでしょうか。普段のコミュニケーションがフォロワーに対する身近さを醸成しているような気がします。

 

みーもぐ:確かに、フォロワーさんが各「中の人」からの絡み待ちしているような雰囲気を感じます。

 

高橋:そうなんですよ。「中の人」たちとフォロワーさんの距離がかなり近いですよね。

 

みーもぐ:先ほど、Twitterの投稿内容について「日常に関するツイートが7割」の話がありました。こうした仕事に関係ないおしゃべりがフォロワーさんとの距離を縮めているんだと思います。

 

大坪:なるほど。これを聞いて企業の皆さんいかがでしょうか?

 

 

日の出屋:ありがとうございます。お客さまからの自社に関するツイートはやはりうれしいですよね。それは仕事がどうとかではなく、絡みにいっちゃいますよね。

 

ハチコ:そうですよね。むしろ、絡みに行かないと失礼とすら思ってます。

 

大坪:この記事を読んでいる読者の皆さん、ぜひ商品写真付きで投稿しましょう。「中の人」たちが絡みに来てくれるかもしれません。

イケメンの靴下に穴が空いていたら親近感がわきます。

 

大坪:さていい点を聞いたところで、次に駄目な点を聞きたいんですが。

 

みーもぐ:いやぁ、駄目なところはないと思いますね。

 

高橋:私も同感です……。

 

大坪:そこをなんとか、ひねり出してください。褒めて終わるだけでは、つまらないです。

 

みーもぐ:いや、本当にないんですよ。

 

 

じゃあ、駄目なところというか、皆さんへの要望でもいいですか?

 

大坪:それでもOKです。お願いします。

 

みーもぐ:要望で言うと、もっと駄目な部分も出して欲しいなと思います。

 

大坪:駄目な部分?

 

みーもぐ:座談会の前半でも少し言いましたが、SNS運用は属人性を高める必要があると思っています。「中の人」の人柄が見えてくるとフォロワーにとってより親近感がわくと思います。

 

親近感って、決していい面だけではなくて、何か失敗したとか、やらかしたとか駄目な部分も見えるとより生まれやすいと思うんです。

 

大坪:確かに。欠点のないイケメンはいけ好かないですが、その人の靴下に穴とか空いてたら親近感がわきますもんね。

 

みーもぐ:例えば、新商品をつくる過程で失敗メニューとか没になった商品を紹介するとか、表ではなかなか出せない情報を見てみたいなと思います。

 

大坪:それは見てみたいかもしれません。

 

 

ハチコ:いいですね。うちも新メニューは内部の試食会を何回も重ねてつくっていくので、その過程で没になるものはたくさんあるんです。

 

日の出屋:うちも〈ささら屋〉のカフェメニューがあるんですが、つくる過程で没メニューはたくさんあるんで、投稿するネタはありますね。

 

ハチコ:あまりにもたくさんの没を公開してしまうと、8番の商品開発の威厳にも関わるので、社内で要相談ですが(笑)面白いアイデアありがとうございます。

 

みーもぐ:没メニューだけを集めた試食会をやってもらえるならぜひ行きたいです。 ブラッシュアップすれば新しいメニューになるかもしれません。

 

高橋:その試食会、私も行ってみたいです!

 

チャンカレ:没の中でもなるべくいいものを選ばないとですね。ほんとにひどい没を集めると、みんなで地獄を見ることになりそうです。

 

(一同、笑う。)

 

大坪:高橋さんはいかがでしょう? 皆さんのSNSのイケていない点はありますか? なければ要望でも。

 

 

高橋:私も要望になっちゃいますが、SNSの新機能はどんどん使って欲しいですね。

 

どのSNSでも新しい機能がどんどん実装されてますよね。Twitterで言えば「フリート」だとか。こうした新機能って最初はやはり取っ付きにくい印象があります。

 

ただ皆さんのようにフォロワーも多く、規模のある企業が率先して使えば、新しいコミュニケーションの形として定着しやすいと思います。

 

大坪:そうですね。僕も先ほどチャンカレさんの〈TikTok〉の話を聞いて、ちょっとやってみようかなと思えました。

 

高橋:こうした流れがまちの個人店にも広がっていくのだと思います。

 

とはいえ、時間は限られていると思います。作業ばかりを増やしてもいけません。無理なく、楽しくが大事だと思います。

 

(編集長のコメント:みーもぐさんの「絡み待ち」って絶妙な表現ですよね。

 

最初はみーもぐさんオリジナルの造語かと思いました。この表現だけ、読んでいてみーもぐさんの生の声がオーディオ再生で鼓膜に響いた気分でした。

 

調べてみると、造語というわけではなく、「絡み待ち」というハッシュタグまであるのですね。

 

ただ、この文脈、このテーマで「絡み待ち」という適材適所のワードを流れの中でチョイスするセンス、さすがインフルエンサーだと思いました。

 

次はいよいよ前編・後編を通じた最終回、SNS運用では避けて通れない、炎上リスクについて話は及びます。)

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