クリームシチューを食べたくなる服
―― メンズの話がここまで続きました。レディースの長靴コーディネートについて次は聞かせてください。
〈HOKUROKU〉の編集スタッフにも今日は来てもらいました。いろいろと私物を持ってきてくれたのでレディースのコーディネートも実演しながら聞きたいと思います。
〈HOKUROKU〉編集部の中嶋麻衣
藤田:持ち物とか今日の服装をぱっと見る限りもうおしゃれなので、あんまり言うことはないですよ。
―― 僕の時とえらい違いですね(笑)でも、先ほどの話だと、レディースなら黒の長靴に白のパンツを合わせるといった話がありました。中嶋さん、白いスキニーパンツって持っていますか?
中嶋:残念ながら白いスキニーパンツは今日は持ってきてないです。逆に、黒の「スキニー」を履いてきました。
ただ、さっきのお話を聞いてた時にちょっと思ったことがあって。白の「スキニー」って抵抗ある女性も居ると思うんです。白色は太って見えるので。
藤田:抵抗のある方も確かに居ると思います。女性のファッションはアイテムも多いので、例えば、長めのカーディガンを着るといったアイデアもその場合は1つの方法だと思います。
あとは、ちょっとAライン風の物を着たりとか。そうすると、腰回りのラインを隠せるので白いスキニーも履きやすくなると思います。
―― パンツ以外だと、どんなアイテムを合わせればいいでしょうか。
藤田:この黒の長靴だとスカートを合わせやすいと思います。
合わせるスカートの色や素材としては温かみのある洋服がいいと思います。彼女が持ってきてくれたこのチェックのスカートはどうでしょうか。
中嶋:履いてみますね。
どうでしょうか。
藤田:いいですね。彼女の履いている〈HUNTER〉の長靴はイギリスがルーツです。チェックのスカートの柄もイギリスやスコットランドのイメージに近くなると思います。
ただ、スカートの場合は丈が難しいです。スカートの丈が長靴の履き口に重なると少し「モサい」感じがします。
重なりが気になる場合は思い切ってロングスカートにしてしまった方がいいです。
冬服の長靴の正解(その7)
スカートの丈が長靴の履き口に重なると少し「モサく」なるので注意。
先ほどの〈Barbour〉のジャケットも着てみてほしいです。イギリスのアウトドアブランドで、船員や漁師・港湾労働者など労働者のための服装というルーツがありました。男物ですが、女性が着ても格好良く見えると思います。相賀くんちょっと貸してあげて。
相賀:分かりました。
中嶋:どうでしょうか。
―― 確かにこれは可愛いですね。取材に同行したフォトグラファー山本哲郎さんのシャッターを切る回数が心なしか僕と違う気がします。
山本:やめてください。
東京・青山のスカート着用率
藤田:ただ、女性の場合、これぐらい長い長靴だと身長によってはひざに当たって歩くたびに痛い方も居ると思うんです。
そういう方には、履き口の低いスノーブーツやサイドゴア、あるいは、もう一足別の長靴を持つ選択肢もあると思います。
―― なるほど。メンズの場合と同様に履き分ける選択肢もありなのですね。ショートの長靴の場合は着こなしについてどういったポイントが考えられるのでしょう?
藤田:ショートの長靴だとロングスカートが合うと思います。フランネル素材の長いロングスカートとかを履いても可愛いと思いますね。
冬服の長靴の正解(その8)
ショートの長靴はロングスカートを合わせてみる。
長靴は冷たいイメージがあるので、ニットやコートで温かいイメージをプラスするといいかと思います。
イメージとしたらクリームシチューを食べたくなるような服装です。
冬服の長靴の正解(その9)
冷たい印象の長靴をトップスのニットやコートで柔らかくする。
―― ショートで、パンツスタイルだとどうでしょうか?
藤田:スノーブーツの場合だったら細身のパンツにスポーティなアウターのコーディネートもお勧めです。
レディースのパンツについてはやはり「スキニー」のジーンズなどがいいと思います。
―― これもいいですね。
冬服の長靴の正解(その10)
スノーブーツの場合、スポーティなアウターを合わせてみる。プラスして「スキニー」のジーンズがお勧め。
藤田:ただ、ここからは完全に個人的な意見ですが、長靴に対してパンツではなくスカートという選択肢にあえてチャレンジしてくれる女性が増えると、まちの雰囲気にも良い影響があると思っています。
女性からすれば「知ったことか」という話かもしれませんが。
―― まちの雰囲気ですか?
藤田:地方、特に、北陸のような雪国って統計的にもスカートの着衣率がすごく低いんですよね。寒いし、車社会だから運転もしづらいので。
なので、パンツを履く方が増えてくると思うのですが、どうしても暗いパンツが多くまちが暗く見えてしまう。
もちろん、男性の着こなしもその暗さに影響を与えているわけですが、例えば、東京の青山はスカートの着用率が結構高いんです。その分だけまちが華やかに見える気がします。個人的には、スカートの着用率とまちの明るさは関係していると思いますね。
防寒の観点もありますし服装は自由であるべきだと思いますが、まちの雰囲気を服装が変える可能性は十分にあると思っています。
―― まちづくりにもある意味で服装は貢献すると。本職としてまちづくりや「場づくり」にも僕は携わっていますので、とても興味深いご指摘です。
(編集長のコメント:編集部の中嶋麻衣がおしゃれな人なので男性編と比べて女性編は助言の分量が少なくなってしまいました。
男性が集まり1人の女性を囲んで女性のファッションを語る、下手をすると男性の理想像を投影するだけの会にもなりかねないので注意が必要な内容ですが、藤田さんの言うとおり「服装は自由であるべきだ」という考えをベースに、ぜひ参考にしてみてください。
また、女性を集めて女性陣で別の切り口から同じ特集をあらためて組んでも楽しそうですね。
いよいよ次は最終回。これまでの話を踏まえて次の長靴を買う際のポイントを聞きました。)
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