長靴から逆算する。雪国の「冬服」の正解。

2021.01.30

vol. 05

雪国に合った服装が一番格好いい。

 

―――手持ちの長靴をいかにおしゃれに着るかについて話をここまでしてきました。

 

幾つかの長靴を持って作業用とおしゃれ用を分けるという話もその中にありました。

 

最後の話題になりますが、次の一足を買い直す場合にこのような点に注意したらいいのか、長靴そのものの選び方で何か助言があれば聞かせてもらいたいです。

 

藤田:身もふたもないかもしれませんが海外ブランドの長靴をまずは選びますね。

 

 

―――海外ブランドですか。

 

藤田:「海外の有名ブランドだからいい」とかそういう話ではなく長靴のルーツを考えた上です。

 

―――ルーツを考えるという話は先ほどから何度も出てきました。

 

藤田:海外の方にとって長靴は日本人よりも生活に密着していると思うんです。

 

カントリースタイルがあったり、乗馬するスタイルがあったり、アウトドアのフィールドがいっぱいあったり。長靴を履くシーンは海外の方が多いと思っています。

 

日本のものづくりは長靴を含めて素晴らしい部分があると思っていますが、ライフスタイルやクオリティの部分を考えると海外ブランドを選びがちかなと思います。

 

大坪さんにも先ほど履いていただきましたが、私物の長靴を今日は2足持ってきています。

 

 

左手が、イギリスのレインブーツのブランドとして有名な〈HUNTER(ハンター)〉の長靴です。もう25年前のモデルなんですけど。今のモデルと違ってもっと無骨な感じですね。

 

―――味がある長靴ですね。25年も持つとは驚きです。

 

藤田:持ちますよ。だって長靴って年に何回履きます? 10回履いた履いたとしても20年で100回ぐらいですよね。

 

ちゃんとしたアイテムを買えば長靴は流行を追う必要はないですし、買い換える必要はそうそうないと思います。

 

―――そのちゃんとした長靴をシーンに合わせて2足くらい持っておくと完璧という話ですね。

 

藤田:はい。この2足を僕が持っている理由は履き口の違いにあります。長い長靴って脱ぎづらいんです。年齢を重ねてくると脱ぐ時にちょっと足がつりそうになっちゃうんですよ。

 

なので脱ぎやすそうなジッパー付きの長靴を5年前くらいに買いました。

 

向かって右の長靴は先ほども言ったようにラバーブーツとして歴史ある〈Le Chameau(ルシャモー)〉というブランドです。

 

デザインとしてはより男臭いイメージです。ハンターブーツなので狩りの時ヘビに足をかまれても平気なくらいの丈夫さがあります。コーディネートに男臭さを出すにはいいですね。

 

―――長靴のルーツを考え、ライフスタイルに根付く歴史あるブランドを手堅く選べばいいという話ですね。

冬服の長靴の正解。その11。

歴史ある海外ブランドの長靴を次の一足で探してみる。

―――ブランド被りが嫌な読者のためにお勧めのブランドは他にありませんか?

 

藤田:HUNTER以外だと〈AIGLE(エーグル)〉も有名ですよね。私の感覚では、一昔前までHUNTERよりもAIGLEのシェアが大きかった気がします。

 

AIGLEは、当時お姉さま方が履いていたイメージですね。すてきなお姉さん像をつくっていたように思います。

 

あとは〈SOREL(ソレル)〉もお勧めです。長靴とはちょっと違うんですけどスノーブーツというカテゴリです。マイナス20℃の環境にも耐えられる防寒に優れたブランドです。

 

一般的な長靴のデメリットとしては冷たさが挙げられると思います。SORELの長靴は寒い北陸の冬でも過ごしやすいのではないでしょうか。

 

―――長靴の苦手な部分として足先の冷たさがあるんですよね。

 

事前に靴屋の店員さんにも話を聞いたのですが、全国的なシェアで行けばレインブーツや長靴よりも、こうしたスノーブーツの方が売れていると聞きました。

 

ひざまで積もるような積雪時や除雪の時は長靴のほうが向いているかもしれませんが、普段使いとしてはスノーブーツという選択肢もありかもしれませんね。

固く絞ったタオルでふいてあげる。

―――ちなみにすごく気になったのですが、同じ長靴を25年もずっと履いてるわけじゃないですか。メンテナンスはどうしているのですか?

 

藤田:長く履いていると白い斑点が浮いてきちゃったりするのですが、その点については、靴磨きのプロ・相賀くんに聞いてください。恐らく彼は、北陸で唯一HUNTERの長靴を磨ける職人だと思います。

 

―――相賀さん、いかがでしょう?

 

相賀:そうですね、長靴のような水を弾くゴム素材は固く絞ったタオルなどでふく方法が一番いいと思います。

 

靴磨き職人の相賀善博さん。

例えばHUNTERの長靴だと天然ゴムを使っているので白く粉をふいたりします。それを固く絞ったタオルでふいてあげるのが定期メンテナンスとしては良いと思います。

 

―――頻度としてはどのぐらいでしょうか?

 

相賀:ふくくらいなら頻繁にやっても大丈夫です。天然ゴムに吹く白い粉や斑点は専門家でも原因がまだよく分かってないそうです。

 

粉が出る前に小まめにふいてあげてください。固く絞ったタオルでふいた後には、天然ゴム用のメンテナンス剤でふいてあげるとなお良いです。

 

―――長靴をメンテナンスしなきゃいけないという発想はありませんでした。

 

小まめふいてあげると愛着度も増すと思うので早速試してみたいと思います。

冬服の長靴の正解。その12。

長靴は小まめにふけば愛着も増す。

行く場所も含めてコーディネートを組み立てる。

―――北陸の人たちのコーディネート、あるいは北陸に暮らす上で大切にしたいコーディネートについて藤田さんから思う点があれば最後に聞かせてください。

 

藤田:そうですね、北陸のコーディネートはどうしても暗くなりがちだと思います。

 

「コンサバ」なダークカラーだけではなく、どこか1つ遊び心を取り入れるとおしゃれに見えるだろうし、まちの雰囲気も大きく変わってくると思います。

 

―――私も富山にUターンしてからは、どうしても雪を意識して機能性を優先させた服装に冬場はなっている気がします。

 

 

藤田:機能性の優先が駄目なわけではありません。雪国なら雪国、その環境に合った服装が一番格好良く見えます。

 

例えばHUNTERの長靴についても本当はフィールドに居る時が一番格好良く見えます。

 

長靴に限らず、ファッションアイテムの背景については普段そんなに調べないと思うんです。どういう背景があってブランドやアイテムが出来上がっているのか知らない場合がほとんどです。

 

しかしアイテムにはそれぞれの背景があり求める場所があります。アイテムのしかるべきフィールドへ行った時にトータルでコーディネートが整うのかと思います。

 

その意味で長靴のコーディネートを単なるアイテムの組み合わせだけで完結するのではなく、ゲレンデに行ったりキャンプに行ったりと行く場所も含めて組み立てられるといいですね。

冬服の長靴の正解。その13。

長靴のコーディネートを行き先も含めて考えてみる。

―――これからコーディネートを考える時には環境とアイテムのつながりも考えてみたいと思います。本日はありがとうございました。

 

 

(編集長のコメント:行き先を含めてコーディネートを組み立てる、とてもいい言葉ですね。

 

言われてみれば和服を着る時、日本人はアイテムの1つ1つの意味や背景を学び、正しい文脈の中で着こなそうとします。

 

かえって洋服の方が着慣れている分だけむとんちゃくになりがちなのかもしれませんね。

 

あらためて自分が着ている洋服・履いている長靴のルーツを知り、その背景や文脈に沿った正しい着こなしを考えると自然に冬服の「正解」は見えてくるのかもしれません。

 

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冬服の長靴の正解まとめ。

その1。
防寒も考えて長靴を履く時は細身のジーンズを履く。

 

その2。
長靴と洋服のルーツを合わせる。

 

その3。
アウトドアな雰囲気の明るい色のアウターを選んでみる。

 

その4。
長靴の色に負けないように洋服は色の面積が大きいアイテムを合わせる。

 

その5。
冬の雪国の着こなしを一足の長靴だけで済ませようとしない。

 

その6。
メンズの場合、暗い長靴に男臭いアイテムを合わせて全体の雰囲気をつくる方法もある。

 

その7。
スカートの丈が長靴の履き口に重なると少し「モサく」なるので注意。

 

その8。
ショートの長靴はロングスカートを合わせてみる。

 

その9。
冷たい印象の長靴をトップスのニットやコートで柔らかくする。

 

その10。
スノーブーツの場合、スポーティなアウターを合わせてみる。プラスして「スキニー」のジーンズがお勧め。

 

その11。
歴史ある海外ブランドの長靴を次の一足で探してみる。

 

その12。
長靴は小まめにふけば愛着も増す。

 

その13。
長靴のコーディネートを行き先も含めて考えてみる。

文:大坪史弥

写真:山本哲朗

編集:坂本正敬

編集協力:明石博之・中嶋麻衣

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