北陸の空が暗いのに服装まで暗いのはどうなんだろう
サイドゴア(左)とスノーブーツ(右)
―― スーツの場面でショートの話が出てきました。
長靴のもさっとした感じの見た目を嫌がって、スノーブーツなどショートタイプを好んで履く若い世代も多いと思うのですが、ショートの長靴に関するコーディネートについてはいかがでしょうか。
藤田:そうですね。ショートのタイプだと、僕のイメージする長靴としてサイドゴアやスノーブーツぐらいの高さを前提に話します。
メンズとレディースでもちょっと違うと思うんですけど、メンズだったらジーンズとかカーゴパンツを合わせるといいと思います。
ショートの長靴は本来革靴だったアイテムのゴム版だと思うんですよ。素材が違うだけで。普段のコーディネートとそこまで大きく変える必要はないかなと思います。
ただ、ゴム靴の色って黒など暗い色に限定されますよね。そうなってくると合わせやすいのはジーンズとかカーゴパンツかなと思いました。
ゴム製のローファー
例えば、このローファーはゴム製のレインシューズです。
本来は、革でつくられる靴を全部ゴムでつくっています。このまま海にも入れるくらいです。こうしたゴム靴を履くときは普通のジーンズと合わせています。
履き口がショートなタイプの靴は冬に限らず、6月くらいの梅雨時に履いてもいいと思います。梅雨時にロングの重厚な長靴を履くと重くなりすぎてしまいます。
長靴は、決して冬だけ履くアイテムではありません。ショートは、雨が降った時とか雨の多い時期に履く、ロングは、雪深い北陸の冬に履くという使い分けをするといいと思います。
なので、ロングのタイプを一足・ショートのタイプを一足持って、シーズンで分けて履きわけると良いと思います。季節で履き分ければ長持ちもします。
暗い長靴には男臭いアイテムを合わせる
―― ゴム靴の色は、黒など暗い色が多いという話が先ほどありました。
ショートもロングも同じだと思うのですが、暗い色の靴に対してどういう色使いの服装をコーディネートでは考えるといいのでしょうか。
先ほどの試着で「北陸の空」と僕も指摘されましたが、放っておくと暗めのコーディネートになってしまうと思うのです。
これまでの話や僕の試着時のアドバイスをまとめると、全体で3色・4色を規準に上下でメリハリをつけて、ちょっと明るい色が上着にはあってもいいという話がありました。
藤田:おっしゃるとおり「北陸の空が暗いのに服装まで暗いのはどうなんだ」と思ってしまいます、と岡山出身の相賀くんもよく言ってます。
なので、特に面積の大きい暗い色の長靴には、例えば、レディースだったら白いパンツを合わせて、その上にニットを着たりするコーディネートが格好いいと思います。
メンズの場合も同様に、はっきりした色使いがいいかなと思います。
―― 先ほどの話で言えば色がごちゃごちゃしていない、色の面積の大きい服もいいと教えてもらいました。
藤田:はい。ただ、ちょっと矛盾するようですが、色よりも、コーディネート全体のストーリーとか背景にこだわるとメンズの場合は格好良くなると思います。
―― どのような意味でしょうか?
藤田:例えば、トータルをカントリーなアイテムでまとめてみたりとか。
メンズの場合は、色使いがどうというより全体的な雰囲気で見せられるんですよね。
暗い長靴に対して上下にメリハリをつける、あまり色をごちゃごちゃしない、色の面積の大きい服を選ぶといった最低限のポイントだけを押さえて、あとは、男臭いアイテムを合わせ全体の雰囲気をつくるといいのかなと思います。
冬服の長靴の正解(その6)
メンズの場合、暗い長靴には男臭いアイテムを合わせて全体の雰囲気をつくる方法もある。
―― 男臭いアイテムとは具体的にどのような物がいいのでしょう?
藤田:ブランド名で言うと〈FILSON(フィルソン)〉やさっき言った〈Barbour〉のジャケットなど、アウトドアウェアやワークウェアみたいなルーツに持つ服や小物がお勧めです。
藤田さんの長靴は〈Le Chameau〉と〈FILSON〉のダブルネーム
そんなに長靴は頻繁に買い替えません。合わせるスタイルもそんなに頻繁には変わりません。男性の場合は着る洋服も普遍的なデザインがいいと思います。
長靴を履く年齢層って結構上だと思うんですよ。20代の子ってあんまり履かないですよね?
―― 事前取材でお邪魔した靴屋の店員さんも若い人は長靴を買わないと確かに言っていました。
藤田:長靴をよく履いている年代層は恐らく30代とか40代以降だと思います。
これぐらいの年代ってもうトレンドを追う層ではないんですよ。着る服もトレンドを追わずに普遍的なデザインの洋服を選んだ方が良いと思います。
(編集長のコメント:若者が長靴を履かない、その気持ちはよく分かります。
私も20代の後半で北陸に引っ越してきてからしばらく長靴を履きませんでした。
ある年に長靴を履くようになって地元の年配の人に「ようこそ雪国へ」と言われた記憶もあります。
レディースの話に次回は続きます。もともとおしゃれなHOKUROKU編集部の中嶋麻衣が登場するために話がとんとん拍子で進んでしまった点がちょっと残念でした。
ある意味で人選を間違えたかもしれませんね。それでも女性に役立つノウハウは学べますので引き続き読んでみてください。)
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