能登半島の限界集落を再生するプロジェクト企画展〈現代集落未来シコウ〉が金沢市で開催
過疎化が進む能登半島の珠洲市真浦町の集落を、テクノロジーとデザインの力で、自立する小さな経済圏に磨き上げていこうと2020年(令和2年)に始まったプロジェクト〈現代集落〉に関する企画展〈現代集落未来シコウ〉が2023年(令和5年)11月18日(土)~26日(日)に開催される。
入場は無料で、11時~17時(土日祝は19時まで)が開場時間となる。会期中は無休で、会場は〈里見町APARTMENT303 fishmarket〉(石川県金沢市里見町4-28)。
会期の11月23日(木・祝)には、富山大学学術研究部芸術文化学系講師や造園家をゲストに迎えた、現代集落に関するトークイベントも開催される。会費は1,000円(1ドリンク、おつまみ付き)。
企画展に並行して現代集落では現在、プロジェクトに関連するクラウドファンディングも実施している。
域内で循環する自立的な経済圏の維持に最低限必要な「外貨」を稼ぐ手段として、プロジェクト立ち上げ以降、集落内の建物1棟を活動拠点、および宿泊施設として主催者たちは取得・改修してきた。
その延長で新たに、日本海を見下ろすロケーションの空き家を集落内で取得し、風土と文化に根差したアート体験を楽しめる宿泊施設づくりを進めている。
新しい宿泊施設づくりに対する支援者(寄付者)には、集落内で栽培したお米や温泉入浴券、宿泊施設の宿泊券など、さまざまなリターンが用意される「らしい」。
(HOKUROKU編集部のコメント:能登は、平家の落人伝説もある歴史深い最果ての地です。絶景が多く、個人的には琴線に触れまくりの魅力あふれる土地です。そこに、テクノロジーとデザインが入ってくるとどんな化学反応が起きるか。珠洲の出来事を金沢で聞ける企画展なんて楽しみ。武井ウェブ開発P
いつも思う、人が少ない場所は駄目な場所なのかと。僕はそう思わないのだけど、既存の価値観にとらわれると、限界集落に対して多くの人は危機感を覚える。その地域の価値をよく理解した人が集まり、コミュニティを形成できるからこそ楽しいのであって、無理に人数を増やす必要などないのかも。明石P)
(外部識者のコメント:能登半島と言えば、江戸から明治の時代に活躍した北前船のイメージが強い方もおられると思います。北前船は、日本海側の重要な物流ルートとして栄え、さまざまな文化を運びました。例えば、西日本の和食文化の礎を北海道の昆布がつくりました。隣県の富山では今でも、北海道の昆布の消費量が全国1位です。平野が少なく、米の生産ができずに年貢米を納められなかった能登では、その状況を逆手にとり、物流を使った売買の差益による発展がありました。へき地で過酷な環境だったからこそ生まれたアイデアです。珠洲の限界集落での取り組みも似ていて、恵まれていない環境での挑戦だからこそ社会構造を一変させるポテンシャルを持っているように思います。きっと、現代の北前船として、さまざまな限界集落へ横展開されていく、そんな豊かな未来を想像させてくれるプロジェクトです。山川智嗣・建築家・コラレアルチザンジャパン代表)
翻訳・文:坂本正敬
写真提供:株式会社ゲンダイシュウラク
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