長靴から逆算する。雪国の「冬服コーデ」の正解。

2021.01.26

vol. 01

とはいえ結構難しい企画ですよね。

前書き。

こんにちは。この特集を担当する〈HOKUROKU〉副編集長の大坪史弥です。今回のテーマは「玄関にある自分の長靴から逆算して、雪国のおしゃれな冬服を考える」です。

 

雪が積もる北陸の冬に長靴は必須アイテムかと思います。2021年(令和3年)早々の豪雪でも大活躍でした。

 

一方で長靴は着こなしにおいて難しいアイテムなのではないかと感じています。どちらかといえば機能性に重点が置かれていて、普段のコーディネートの中で合わせるには少し浮いてしまう気もします。

 

また放っておくと暗い色が多い長靴に引っ張られて、ズボンや上着の色も暗くなりがちです。鏡に映る自分の姿を見て、だんだん気分も内向き・下向きになっていく場面もあるのではないでしょうか?

 

世界中を取材して回るHOKUROKU編集長の坂本正敬によると、欧米の雪国では冬でも長靴にカラフルな洋服や小物を合わせる人が多く、心なしか気持ちまで明るくなると言います。

 

カナダのケベック・シティにあるカフェの様子。窓の外は豪雪。明るい上着やシャツ・帽子などの小物を長靴に合わせる人が目立つ。撮影:坂本正敬。

そこで今回は有名ジーンズメーカーに勤務後、セレクトショップを立ち上げ、現在は金沢市や富山市でオーダースーツの専門店〈the Measuring order salon〉を経営する藤田伸朗さんに長靴の着こなしを学ぶべく、自前の長靴と洋服を山ほど抱えて金沢まで会いに行ってきました。

 

さらにHOKUROKU編集部で編集協力している中嶋麻衣にも同行してもらい、同じく長靴と一抱えの洋服を持参してもらって、長靴から逆算して考える長靴ありきの雪国らしいおしゃれな着こなしを一緒に学んできました。

 

まずは僕のメンズから中嶋のレディースの話に移り、最後は次の一足を買う場合のポイントなどに続きます。

 

「ああ、さすがに今年は長靴を買わなくちゃ」という若い人や、北陸に移住して間もなくまだ長靴を買っていない人は必読の特集です。

 

また長靴を持っているけれど、冬の間はファッションを諦めているという地元の人にもぜひ読んでもらいたいです。

 

最後には専門家である藤田さんから、雪国のファッションを通じて考える「まちづくり」論みたいな話も学べます。

 

それでは本編の始まりです。最後までぜひ読んでみてくださいね。

テーラーではなく「フィッター」と名乗ります。

写真左が<the Measuring order salon>代表の藤田伸朗さん。右がHOKUROKU副編集長の大坪史弥。

大坪:こんにちは。HOKUROKUの大坪と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。

 

先ほど初対面のあいさつで判明しましたが、藤田さんは僕の中学校の大先輩です。なので余計に緊張してきました。

 

藤田:いえいえ、今日はよろしくお願いします。

 

大坪:それでは早速始めさせてもらいます。今日のテーマは長靴です。

 

雪が積もる北陸の冬に長靴は必須アイテムです。先の豪雪でも大活躍でした。しかし一方で長靴は着こなしが難しいアイテムだと感じています。

 

どちらかといえば機能性に重点が置かれていて、普段のコーディネートの中で合わせると少し浮いてしまうような気もします。

 

そこで今日は各方面のファッションに詳しいと聞く藤田さんに、長靴を取り入れたコーディネートについて聞きたいと思います。

 

藤田:分かりました。とはいえ、結構難しい企画ですよね。

 

大坪:今まで長靴に特化して、話題を長靴に絞ってコーディネートを考えたことはありますか?

 

藤田:うーん、長靴に絞ってはないかなぁ。

 

大坪:今日は僕とHOKUROKUで編集している中嶋が持ってきた自前の長靴とファッションを使って、実際にファッションをどのように考えればいいのか教えてください。

 

金沢にあるthe Measuring order salonの広々としたフィッティングスペースが試着の舞台となる。

その後では、今ある長靴ではなく次に買い足そう・買い替えようと思った際のポイントについても、聞かせてもらえるとうれしいです。

 

藤田:分かりました。

 

大坪:では早速本題に、と言いたいところなのですが、その前にそもそも藤田さんがどのような人なのか、どんな仕事を過去にして、今はどのように仕事しているのかまず教えてもらえませんか?

 

読者からすれば「この人はどれだけファッションを語れる人なのか?」と疑問に感じていると思いますので。

 

もともとはジーンズメーカーで勤務されていたとも聞いています。そちらではどのような仕事をしていたのでしょうか?

 

藤田伸朗さん。

藤田:ジーンズの営業と企画ですね。新卒で勤めて3年間勤務していました。その後はインポートの問屋に転職しました。海外から製品を仕入れて全国の販売店に卸す仕事です。こちらも3年ぐらい働きました。

 

大坪:それぞれ3年スパンで転職されているのですね。

 

藤田:はい。これは独立のためにもともと計画していたキャリアなんです。働き始めた当初から自分のお店を出すと決めていました。

 

the Measuring order salonの外観。独立のためには開業資金が必要です。そこで金融機関からの融資を計画していました。

 

当時の融資制度には「現在の勤務している企業と同じ業種で開業する場合、同業種で通算して6年以上勤めると融資の枠が広がる」という仕組みがあったんです。

 

なのでそれぞれ3年ずつ、合計6年働いた後に独立しました。

 

大坪:なるほど、融資を逆算した上でのキャリアだったんですね。独立後はどのようなお店を開かれたのでしょうか?

 

藤田:富山県でセレクトショップを開きました。このお店は13年くらいやっていましたね。

 

ただ現在はもう閉めています。閉店の背景にはインターネット販売の台頭がありました。インターネットでの通販が増えて、実際の店舗での販売が少なくなってきました。

 

今後の社会を考えると違う業態を模索すべきだと感じ、2012年(平成24年)にいったん店を閉じました。東京と大阪で再び卸の仕事を経験し、2017年(平成29年)にクラウドファンディングでこのお店・the Measuring order salonを立ち上げました。

 

the Measuring order salonの店内の様子。

大坪:こちらの店舗は、なかなか個性的なつくりですね。

 

カウンターもあるせいだと思うのですが、オーダースーツのサロンというよりバーのようです。もともとは何の物件だったのでしょうか。

 

藤田:スナックですね。新しくお店を始めるにあたって、ずっとバーカウンターのある物件を探してたんです。

 

元スナックだったという長いバーカウンターが印象的。

前にやっていたセレクトショップを閉めた時から、次に出す店ではオーダースーツの接客とフィッティングに特化しようと決めていました。

 

その理由としては背景にテーラーの後継者不足が挙げられます。

 

テーラーとは一着のスーツをつくるために採寸したり・パターンを引いたり・裁断したり・プレスをかけたりと、熟練した技巧や知識・感覚を身に付けた職人です。

 

 

このテーラーが少なくなっている現状の解決策の1つとして接客する人・採寸する人が、分業すればいいんじゃないかなと思いました。

 

同じ職人でも、例えば富山の高岡銅器だったら鋳造・彫金・研磨・着色などそれぞれに職人が居て分業しているわけですね。

 

私たちはテーラーとは名乗らず「フィッター」と名乗り、熟練した技巧での採寸・フィッティング・スタイリングに絞ってサービスを提供します。

 

お客さんとの深いコミュニケーションの中で得られた採寸データを職人さんに伝え、スーツをつくってもらう。出来上がったら、このサロンでお渡しするといった流れです。

 

その場合、お客さんがリラックスしてコミュニケーションできる空間が大事です。どんな店舗づくりをしたらいいかと考えた時に思い浮かんだ光景がバーでした。

 

カウンター後ろの棚には酒の瓶も並ぶ。

バーの導線の取り方やお客さんとの距離感は、オーダースーツをつくる際のお客さんとのコミュニケーションにも最適だと思ったんです。なのでバーカウンターがある居抜き物件を探しました。

 

大坪:確かにこの距離感、とてもいいなと感じます。僕はそんなにおしゃれではなく服も買いません。なので服屋に行くとちょっと緊張しちゃうんですよ。このお店はリラックスして話せますね。

 

 

藤田:でしょ。あとはスーツ売っているのに店員がスーツを着ていないお店は日本でもうちだけじゃないかなぁ。

 

大坪:そういえばそうですね。それこそカフェやバーのような雰囲気でリラックスして話せます。藤田さんがファッション業界のさまざまな場所に身を置いて、センスと技術を磨いてきた正真正銘のプロフェッショナルだと分かりました。

 

この雰囲気の中で今日は本題の長靴の話も聞かせてもらえればと思います。本題の長靴のコーディネートの話に移らせてもらうと、まず僕が普段から使っている長靴に対してコーディネートを考えるポイントを聞きたいと思います。

 

藤田:分かりました。それではフィッティングスペースへ移りましょうか。

 

(編集長のコメント:ここまでで前置きはおしまいです。

 

取材の序盤には藤田さんが「あ、今格好いいこと言ったかな」と言い、大坪が「見出し候補にしておきますね」なんて深い話が他にもいろいろありました。

 

しかし紙幅の関係上、カットです。藤田さん、ごめんなさい。

 

次の第2回は、HOKUROKU副編集長の大坪史弥が持参した自前の長靴と洋服を使って、藤田さんがアドバイスするパートの始まりです。続きをどうぞ。)

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オプエド

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