RENEW × 立山Craftに聞く。地域を盛り上げる「人気イベント」の開き方。

2021.12.25

vol. 04

人が集まる「飛び道具」はない。

立山Craftの様子。

 

――― 次は、集客についてです。

 

〈Twitter〉で事前に聞き取りした際、イベントでの困りごととして集客の難しさが多く寄せられました。

 

むしろ皆さん、ここを一番気にしているという印象すら受けました。

 

やはり数字として表われるわけですし、次の年にあらためて開催したいと思えば、この数字が次の開催時の根拠というかプレゼンの武器になるわけです。

 

収益を考えても、大赤字を出さないためにも、集客はとても大事になってくると思うのですが、多くの参加者を集める上でこだわっている点や工夫している点についてはどこでしょうか?

 

新山:ビジュアルづくりは結構力入れてつくりますね。チラシ・WEB・ポスター・キャッチコピーなどです。

 

目に入るビジュアルやコピーづくりは毎年意識しています。

 

昨年はコロナ禍での開催で「くたばってたまるか」というキャッチコピーで作成しました。

 

RENEW2020の〈Instagram〉の投稿。

 

――― デザインやコピーづくりを外注するとなると、なかなかイベント立ち上げ時の資金がとぼしい時期は難しいと思いますが、その点新山さんはデザイナーで、デザインが内製できる点は強みですよね?

 

新山:ただですね。参加者アンケートを取ってみると、イベントの認知要因は「友人・知人に誘われて」が実際はほとんどなんですよ。

 

僕らが力を入れて作成するチラシやポスターも実はそこまで集客の第一要因ではないんです。

 

――― 意外です。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)とかはどうですか?

関連:片手間ではファンづくりできない。THE「愛されるSNS」論。(前編)

新山:最近主流に思われるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)も〈Facebook〉〈Instagram〉〈Twitter〉を足し合わせてやっと「知人に誘われて」に届くくらいです。

 

突出している棒グラフが「友人・知人に誘われて」提供:TSUGI。

 

――― 本当ですね。「友人・知人に誘われて」が突出しています。

 

でも肝心の誘ってくれる友人・知人だって何らかの露出を見て来場しているわけですから、チラシやポスター、広告に意味がないというわけでもないのかなと思います。

 

坂本:SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)ごとにどの媒体が効果的なのかを分析する文脈では〈Facebook〉〈Instagram〉〈Twitter〉を分けて考える必要があるかもしれません。

 

しかしわざわざ総数を分解して「SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が少ない」と判断する必要もないのではありませんか?

 

新山:そうですね。広告とかメディア露出とか、集客方法はいろいろあると思います。なんであれこれさえやれば人が集まるといった飛び道具はないと思います。

 

僕の発言の趣旨としては、プレスリリース先をストックしたり、チラシの送付状をつくったりと、地味な仕事を地道に積み重ねていくしかないのかなと思っています。

 

例えば、RENEWに出店している企業は80社ほどですが、それぞれの企業の公式SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で告知してくれれば相当数の人に届くはずです。

 

共通のハッシュタグをつくるなど、協力者や出店者に投稿をお願いしていくといいと思います。

 

立山Craftもそういった取り組みをされているんじゃないですか?

 

佐藤:はい、出店していただく作家さんも協力してくださっています。

 

全国のクラフトフェアに作家さんは出店しているので、その先々でフライヤーを配ってくださったり、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で出店を告知してくださったり。

 

3年目からは会場に地図を張って、どこから来たのか来場者にシールを付けてもらう「どこから来たのマップ」も設置しているんです。

 

富山・石川・新潟と近隣県が多いですが、全国いろんなところのシールも張られていますね。

運営サイドの年代と参加者の年代が近くなる。

写真提供:立山Craft。

 

――― 立山Craftは、どういった経路からのイベント認知が多いですか?

 

佐藤:新山さんのように奇麗にはまとめてはないんですが、Instagramとリピーターが実感値として多いと思いますね。

 

 
 
 
 
 
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新山:これはテクニック的な話ですが、Instagramの運用で言うと学生が上手なので任せています。

 

去年担当していた学生は半年間でフォロワーを2,000人近く増やしていました。

 

――― それはすごいですね。

 

新山:先ほど出たSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)ごとの話で言うと、最近まではFacebookが主流でした。

 

しかしInstagramにメインの舞台が完全に移ったなと思っています。

 

 
 
 
 
 
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RENEWの来場者は20代から30代が6割を占めるんですが、若い世代への訴求にはInstagramが適していると思います。

 

あと若い世代で言えば小・中学校でチラシを配ってもらったりもしていますね。役所に連絡して教育委員会に許可をもらってです。

 

市内の全学校、しかもクラスごとに枚数を仕分けなければいけないんです。とんでもない作業で丸2日間ぐらいかかるんですが地道にやっています。

 

佐藤:次世代のクラフトの担い手、ファンを育てたい思いが私たちもあるので、子どもを連れて来やすいようなコンテンツを準備しますね。

 

一般的なクラフトフェアって40~50代の来場者が多いんです。でも立山Craftは20~30代の子育て世帯の来場者が圧倒的に多いんですね。

 

――― 僕も立山Craftに先日お邪魔しました。

 

たくさんの子どもたちが丸太の上をぴょんぴょん跳ねていて、それをお父さんお母さんが眺めている様子が印象的でした。

 

佐藤:丸太広場ですね。立山Craftの運営スタッフが30代中心で子育て世帯が多いので、自分たちが来たくなるコンテンツを用意しています。

 

 

――― 事前の聞き取り調査では「子育て世帯の来場が少ない」との声が行政担当の方から上がっていました。

 

佐藤:それなら運営サイドに来て欲しい世代のスタッフをぜひ入れてください。運営サイドの年代と参加者の年代が近くなると思います。

 

新山:子育て世帯に来て欲しいなら授乳室を準備しておくとか、遊べる場所をつくっておくとかは最低限するべきですよね。

 

子育て中の人たち向けのコンテンツや機能を準備するから子育て世帯も安心して来られるわけで。結果として集客にもつながると思います。

 

(編集長のコメント:話を聞いていて、小学校の配布物はかなり効果がある出稿先だと思いました。

 

私自身、小学生の子どもが持ち帰ってくるプリントには必ず丁寧に目を通しますし、一緒に入っている子育て関連のお出掛け先や教育情報は、思わず見てしまいます。

 

特に北陸のような地方は、子どもと出掛ける場所に慢性的に困っていると思います。

 

もちろん近所の公園で遊ばせているだけで楽しい年代もあります。

 

しかし子どもの年齢が上がってくると、近所の公園だけでなく、さまざまなバリエーションを子どもの成長に合わせて親としても求めたくなります。

 

イベントの広告をつくったら学校の配布物に混ぜてもらい、親の目に届くようにする努力は、新山さんが言うように地味だけれど、実はすごく効果があるのかなと思いました。

 

私自身もHOKUROKUだとか、HOKUROKU以外で携わるプロジェクトの告知方法として、この手法を懐に常に持っていたいと感じました。

 

次は最終回です。イベントを何年も続けて育てていく際に必要な運営体制や続ける努力について話が及びます。)

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