〈Twitter〉と〈Instagram〉には違いを感じます
―― 「バズる写真」を考える上で投稿先の「媒体」選びは重要なのでしょうか? 言い換えれば〈Twitter〉や〈Instagaram〉などSNS(会員制交流サイト)による違いは何かあるのでしょうか?
イナガキ:違うと思います。〈Facebook〉の場合は自分の友達しか見ませんから、他のSNSのように「バズる」わけではありません。
「バズる」としたらTwitterとInstagramになるはずですが、両者には違いを感じます。
―― と、言いますと?
イナガキ:InstagramのユーザーさんはInstagaramにしか居ない印象があります。Instagramで「Twitterもやっているよ」と言ってもTwitterに飛んできてくれない印象があります。
しかし「インスタもやっています!」とTwitterで情報を添えると、TwitterのユーザーさんはInstagramにも飛んでいって「Twitterから来ました!」と見てくれる印象があります。
なので、Twitterで「いいね」がもらえたら、Instagramにも上げて一緒に見てもらえるような工夫は心掛けています。
ビックリするくらい沢山の方に見て頂けて本当嬉しいです!😭✨
インスタもやってますので宜しければご覧下さい!🙇♂️https://t.co/OYMOIPetr0 pic.twitter.com/IBZbaCZLgf— イナガキヤスト (@inagakiyasuto) May 11, 2020
―― SNSの違いによる反応の変化は投稿内容でありますか?
イナガキ:あります。最近だと、長野県白馬村の写真です。同じ白馬の写真でもTwitterとInstagramに掲載する写真を分けています。
白馬村にある海外みたいな場所。 pic.twitter.com/46bw0Igty9
— イナガキヤスト (@inagakiyasuto) June 22, 2020
Twitterでは人が被写体として入っていると、あまり伸びない印象があります。なので、Twitterの場合は意図して人が小さくなる構図にしています。
逆に、Instagramでは人物を大きく切り取った写真を選んでいます。
あと、新型コロナウイルス感染症の影響で皆さんが旅行に出られない状況が今はあります。なので、先ほどの白馬の投稿のように「海外」の言葉を意図的に入れるようにしています。
基本的に全てのコメントに返信しています
―― 投稿する時間帯についてはいかがでしょうか?
イナガキ:いつも20:30にアップします。今のところ一番反応のいい時間帯は20:30だと考えています。
―― 曜日についてはどうでしょうか?
イナガキ:金曜だけは避けています。皆さん忙しいからでしょうか、良くない印象があります。
―― 大木さんはどうでしょうか?
大木:時間についてはいろいろ僕も意識していました。曜日は土日で時間はゴールデンタイム、具体的には19~20時くらいに僕の場合は投稿していました。
富山の夕日が本気出した日。(タップしてね) pic.twitter.com/uqX3Dt1iS4
— イナガキヤスト (@inagakiyasuto) June 7, 2020
―― あそこに居る〈HOKUROKU〉副編15の大坪は、イナガキさんのアップした閑乗寺公園16の写真と同じ写真を、同じアングルから同じくらいの時間に撮って、オマージュ(敬意を示す行為)としてイナガキさんの投稿に返信しています。
大坪:そうなんです。一番の驚きは、そんな自分の投稿にイナガキさんはコメントまで入れてくださったのです。
―― こまめにコメントも書くのですか?
イナガキ:はい。全てのコメントに基本的に返信します。コメントをもらえるとやっぱりうれしいので、できる限りコメントを返すようにしています。
「バズらない」時は問題ないのですが「バズったら」コメント作業は大変なボリュームになります(笑)
正解を出す早さ
―― 話を聞いているとプロのように作業していますよね。受け手が何を喜ぶか・何を期待しているのかを研究して、効果的な時間と媒体を選んで作品を提供していく。
素朴な疑問なのですがイナガキさんはプロにはならないのですか?
イナガキ:現状で幾つか撮影のご依頼は光栄にもいただいておりますが、プロになりたいとは思わないです。
―― どうしてでしょうか?
イナガキ:依頼されて撮る写真と楽しいと思って撮る写真は違うからです。
対談後の撮影会の様子
知り合いの結婚式の撮影を依頼された日があったのですが、撮り直しがきかない責任感ですごく緊張しました。あらためてプロの方ってすごいなと思いました。それに僕には才能がないので無理です。
―― この言葉いかがでしょうか? 大木さん。プロの立場として。
大木:僕もセンスがないんで(笑)
(一同、笑う)
―― そんなわけはないですよね(笑)ただ、気になったのですが、プロとして写真を撮る人にとってのセンスとは何なのですか?
大木:正解を出す早さです。
対談後の撮影会のセッティング風景
腕のいい人は例外なく仕事が早いです。「この被写体をこの文脈で撮るのならば、この構図・この撮り方しかない」みたいな正解を探す早さがプロにとってのセンスだと思います。
―― 依頼されて撮る写真と楽しいと思って撮るアマチュアの写真は違うといったイナガキさんの発言が先ほどありました。ですが、プロの仕事にもプロなりの楽しさがありませんか?
大木:もちろん楽しいです。ただ、アマチュアとプロでは楽しさの種類が違うと思います。どちらが上という話ではもちろんありません。
撮りたい写真を撮れる楽しさがアマチュアにはあって、責任の中でどうやって求められる成果物を出していくか、そのプロセス・道のりにプロの場合は楽しさがあります。
あとは、クライアントさんから寄せられる案件によっては自分の知らない世界に行ける楽しさもあります。昔から僕は舞台裏が好きでした。そういう関係者しか見られない世界を味わえる点はプロの醍醐味(だいごみ)かなと思います。
(副編集長のコメント:いよいよ次は最終回の第5回。「バズる写真」の罪と罰に続きます。)
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