「月よみ山路の人」に僕はなっていく
夏のおもたせのお菓子と言えば和菓子を連想する人も少なくないのではないでしょうか。
お盆などで幅広い年代の人と顔を合わせる機会が普段よりも増える夏。年代を問わず誰にでも好まれる和菓子が、結局は選ばれるのかもしれませんね。
前編にも甘納豆からあんを使った定番の食べ物まで、いろいろなお菓子がそろいました。
誰かに贈る前には、まずは自分へのご褒美として試食してみてはいかがですか?
「夏こそ養生。身体にやさしいお菓子を」出地瑠以さん(フォトグラファー)
写真提供:久保田製菓
〈福井の甘なっとう〉久保田製菓(福井県福井市)
久保田製菓(くぼたせいか)の〈福井の甘なっとう〉はどんなお菓子?“白花・ささげ・えんどうを使用した高級各種甘納豆。冬期限定で福井県あわら産とみつ金時を使用したさつまいもの甘納豆も製造しています。選びぬかれた豆だけを使い、1つ1つ丁寧に心をこめて仕上げた昔ながらの味です。小売を始め御進物用の箱入りも承りますのでぜひご利用ください。”(久保田製菓の公式ホームページより引用)〈福井の甘なっとう〉久保田製菓
写真提供:出地瑠以
出地瑠以(いづち・るい)
1983年(昭和58年)福井生まれ。フォトグラファー。東京とハワイでの活動を経て現在は拠点を福井に移し活動中。コロナの影響でライブやフェスにいけない日々ですごいストレスを感じている。どこまでも能天気で記憶力の悪い人。
「おいしいと無理なく続く文化」山川さつきさん(建築家。株式会社コラレアルチザンジャパン・取締役)
撮影:大坪史弥
〈あんころ餅〉溝口梅華堂(富山県南砺市)
溝口梅華堂(みぞぐちばいかどう)の〈あんころ餅〉はどんなお菓子?“善徳寺の目の前にある、溝口梅華堂の、あんころは一般的なあんころ餅より大きめです。こしあんも、甘すぎず、餅もやわらかく、美味しいです”(北陸物語より引用)〈あんころ餅〉溝口梅華堂
写真提供:山川さつき
「丁寧な仕事の代表作」中西研大郎さん(株式会社芸藝代表)
写真提供:松葉屋
〈月よみ山路〉松葉屋(石川県小松市)
「今もやっているのかは分かりませんが以前テレビで『ハムをお土産に』というコマーシャルがありました。その中で「ハムの人」という言葉が使われていました。
それにならったわけでもないのですが『ばかの一つ覚えです』と言葉を添えて、いつも同じお菓子を持っていきます。
相手の状況はどうか、季節感はどうか。気を遣い過ぎればかえって気を遣わせてしまうのではないかなど悩み始めればキリがありません。
でも開き直って北陸の『イナカモン』がいつも同じ物を持ってくると、それはそれで僕というキャラクターと一体になっていつしか僕は『月よみ山路の人』になっていく。
手渡した時に『あぁ、またこれだね』という目をしながら相手のほおが緩む顔を何度見たことか。これからも見ることになると思います。」
松葉屋(まつばや)に聞いてみた。〈月よみ山路〉はこんなお菓子。
「嘉永5年(1852年)の創業当時の製法にこだわり、1さお1さお手づくりしております。ぎっしり入った大粒のくりと控えめな甘さが特徴です。天皇陛下が石川県にお越しになった際(当時、皇太子殿下)、ありがたくもお茶菓子にご指名いただきました。」
〈月よみ山路〉
価格:1さお 750円(税込)
※賞味期限は製造日より10日間。
松葉屋
提供:中西研大郎
中西研大郎(なかにし・けんたろう)
北陸(石川・福井・富山)をテーマにしたセレクトストア〈[g]ift〉や園芸ビジネスを手掛ける。株式会社芸藝(うんげい)代表。
(副編集長のコメント:「いつしか僕は『月よみ山路の人』になっていく」っていい言葉ですね。同じお菓子を愚直に贈り続けるなんて選択肢もすてきです。次は第3回。おかきやせんべいに続きます。)
3 富山県南砺市。
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