ひょんな流れで手に入れた古本に、これまた思いもしない書き込みがあると、うれしくないですか?

 

例えば、親せきのおじさんが若いころに愛読していたカールマルクス著〈学習版 資本論〉宮川實翻訳をもらって開いた時、本の見返しに、宮川實さんの直筆で「理論は実践の總括であり導きの糸である」と書かれている一文を見付けた時には震えました。

 

最近、ひょんな流れから富山県の人に譲り受けた山岡荘八著〈織田信長〉(講談社)の古い単行本にも「懸广前噴水の原理」という走り書きがあり、

 

「熱帶魚 水 赤 青 黄 小噴水 青水 赤水 黄水」

 

と続く言葉の羅列がありました。どんな秘密が隠されているのかと真剣に考えてしまいましたよ。もちろん。

 

○○だから××みたいな因果関係の中で出会う言葉ではないからこそ、ドキッとしちゃうんですよね。きっと。

 

何のタイトルだったか忘れてしまいましたが、大学生のころに学校の図書館で借りて読んだ古い本の中に「本棚の一番奥で待ってる」と書かれた文字を見付けた時もドキドキしました。

 

その本を借りて図書館で読んでいる片思い中の相手に、メモ帳代わりにメッセージを書いて伝えた人が居たのか。

 

はたまた、本の気持ちをポエティックに誰かが代弁したのか。

 

皆さんは、古本に書き込まれたどんな言葉と今までに出会いましたか? その言葉を、読者の皆さんから募るコンテンツなんかも楽しそうだなあ。

 

今週も〈HOKUROKU〉をよろしくお願いします。

 

HOKUROKU編集長・坂本正敬