なんか、聞いたことあるかも作戦

 

この前、近所にオープンしたカフェに知人と出かけた時、店員さんとちょっと会話する機会がありました。

 

聞けば、そのお店は、同じ市内にあるカフェの2号店だか3号店だかで、本店で働いていたリーダー的若手スタッフが、新店オープンと共にお店を任せられ、切り盛りしているのだとか。

 

まだ、若いのに立派だなあと思っていたら、

 

「前に、もう1つの方のお店に来られた経験ありませんか?」

 

と言われました。

 

確かに、家族と一度、本店の方に訪れた経験があります。その時は、おしゃれで若い男性と、おしゃれで若い女性が、カウンターの中で接客していた記憶があります。その話を伝えると、新店の若手リーダーの男性が「自分だ」と教えてくれました。

 

それにしても、すごい記憶力ではないでしょうか。訪れた経験は一度だけですし、本店では話したわけでもないですし、何か変わった格好やメイクをこちらがしていたわけでもないです。

 

ただ、子どもと妻と訪れて、注文して、ドリンクを飲んで、「おしゃれだねー」なんて言いながら30分弱滞在して帰ってきただけです。

 

それなのに、こちらをなんとなく記憶しているわけです。接客業のプロってさすがだなと思いました。

 

まあ、もしかすると「前に来てくれてませんでしたか?」と、戦略的に誰にでも声をかけているのかもしれませんが、言われた方は悪い気はしません。

 

むしろ、ずいぶん身勝手な話ながら、一度行って、何らかのやり取りを経験し、こちらは鮮明に覚えているのに、お店の側に覚えてもらっていない状況の方がショックです。

 

その意味で言うと、圧倒的多数の見知らぬ人を相手にする接客業の方々は「私を覚えていますか?」的なオーラを出すお客が来たら「前に一度、来てくれましたか?」みたいなかまかけを戦略的に入れてみてもいいのかもしれませんね。

 

同じ理屈で言えば、名刺交換の際に「(あなたの名前、あなたの会社、あなたの商品)なんか聞いた覚えがある」と口ぐせのように言う人も一緒かもしれません。

 

私の知人の話で意図してやっているのか、意図していないのかは分かりませんが、彼と名刺を交換した人はそのたびに「あの、うわさの○○さん?」みたいな有名人感がちょっと演出されます。

 

言われて、嫌な顔をした人もいないと思います(何度か、名刺を渡す現場に居合わせたので)。むしろ「もしかすると、○○を見てくださったのかもしれません」みたいに自分を語り出す人の方が多い気がします。

 

「あなたのこと知っているかも」戦術、いろいろな場面で活用できるかもしれませんね。

 

あんまり多用すると相手に見透かされる気もしますが「HOKUROKU? なんか聞いた覚えがあるかも」と初対面の人に言われれば、テクニックと分かっていても間違いなく私は喜びます。

 

今週も、HOKUROKUをよろしくお願いします。

 

HOKUROKU編集長・坂本正敬