〈HOKUROKU〉では現在、過去のコンテンツの英訳をどんどん進めています。

 

例えば最近は、HOKUROKUのEC(電子商取引)サイトである〈北陸目録〉の出品商品〈RAPPA SLIM〉の英訳を終えました(ついでに、お買い物もぜひ)。

関連:四津川製作所のRAPPA SLIMが海外で再評価。リバイバルした戦後生まれの花瓶【北陸目録】

その時に、ある人から聞かれた英語に関する質問があったのでシェアしておこうと思います。

 

HOKUROKUもRAPPA SLIMも、全てのアルファベットが大文字で書かれています。アルファベット表記の固有名詞に独特の雰囲気を持たせたい時、全ての表記を大文字にするって日本人が好きな手法ですよね。

 

BMW(Bayerische Motorenwerke)とか、NASA(National Aeronautics and Space Administration)とか、IKEA(Ingvar
Kamprad Elmtaryd Agunnaryd)とか、何かの略語の話ではなく、YAMAHAとかFUJITSUとかTOYOTAとかの話。

 

当然ながら、ほとんどの日本人は、大文字のアルファベットを使った固有名詞を英訳したり、英語で書いたりする時、疑いもなくそのまま表記しようとするはずです。

 

例えば、HOKUROKUとかRAPPA SLIMであれば、

An editorial member of HOKUROKU met RAPPA SLIM at a gallery.(HOKUROKU編集部のメンバーがラッパスリムにギャラリーで出合いました)

みたいな感じに。しかし、このように大文字で全て書くと、例文を見てもなんとなくお察しいただけるかもしれませんが、英語圏の編集者には嫌がられます。大抵の場合は赤入れ(修正)も入ります。

 

言い換えると、HokurokuだとかRappa Slimとかに直してほしいと言われるわけです。AI(人工知能)にも試しに聞いてみましたが、同じく直されました。その理由は幾つかあります。

  1. ブランド名の表記はタイトルケース(重要な単語の最初のアルファベットを大文字にする)が基本(New York Times、National Geographic、Harvard Universityなど)
  2. 読みやすさを重視(ALL CAPSのように全て大文字にすると、英語圏の人には独特の読みづらさ、不自然さがある。場合によっては不必要な強調表現となる)
  3. 媒体ルールでALL CAPSが禁じられている(固有名詞の表記は最初の大文字だけ)

最後の媒体ルールに関して言えば、ある英語圏のニュース媒体で関係者に配布される資料に「日本の固有名詞は大文字表記が多いが、その都度、直すように」みたいな一文が書かれている場合すらあります(私の手元にもあります)。

 

現に、世界各国の通信社のニュース記事を読んでも、次のような表記が一般的です。

“Sony hikes profit forecast on strong gaming business”(「ソニー、利益予想を引き上げ。強いゲーム事業を背景に)」Japan Todayに掲載されたAFPの記事より引用)

SONYではなくSonyといった感じ。もしも、北陸で、自治体や企業の海外PRを担当していて、海外に向かって何かを配信しようと思った時には、サービス名や社名を語る際、よほどの理由がない限り、ALL CAPS(全部大文字)はやめた方がいいんじゃないか。

 

そんな話です。ぜひ、参考にしてみてください。ちょっとだけ、こなれた感じが出せるかもしれません。

 

さてさて、春ですね。花粉症がひどいですが、桜の開花が待ち遠しいです。今週も、Hokurokuをよろしくお願いします(大文字を避けてみた)。

 

HOKUROKU編集長・坂本正敬