食器・本棚から絵画の飾り方まで。違いを生む「展示と陳列」の正解。

2020.07.01

vol. 03

清潔さ・神聖さ。

 

――― 引き続き構成の話をお願いします。5つある構成のうち左右対称(シンメトリー)構成・左右非対称(アシンメトリー)構成とは何なのでしょうか?

  1. 三角構成
  2. 左右対称(シンメトリー)構成
  3. 左右非対称(アシンメトリー)構成
  4. 直線構成
  5. リピート構成

筧:それぞれのイメージの違いからお話しします。

 

左右対称(シンメトリー)構成。

左右対称(シンメトリー)構成は、すごく改まった雰囲気と清潔感、神聖さが出ます。

 

教会・神殿・寺社・鳥居などは全て左右対称(シンメトリー)構成でできていると思います。

 

売り場で言えば、クラッシックやフォーマルなインテリア・アクセサリー・宝飾などを扱うお店で、左右対称の展示・陳列を展開するケースが多いです。

 

――― 左右対称(シンメトリー)構成を展開する際の具体的なポイントを教えてください。

 

筧:軸となる物をまず置き、その左右に同じ組み合わせの物を左右対称に配置します。

 

中央に軸の花瓶を置き、左右対称に展開する。

左右に置く物については、テイストや素材、カラーを合わせると統一感が出ます。奥行きがないスペースでも整った美しさを演出できます。

左右非対称(アシンメトリー)構成

――― 左右非対称(アシンメトリー)構成についてはどうでしょうか。

 

筧:左右非対称(アシンメトリー)構成では意図して左右の並びを崩します。左右に強弱を付け斬新さを際立たせる効果があります。

 

左右非対称(アシンメトリー)構成。

――― この場合も軸は必要なのですね。

 

筧:はい。中心となる軸を意識しながら左右に強弱を付けます。アシンメトリーは配置バランスが難しいので直角三角形を意識して配置すると美しいバランスをつくれます。

 

――― 美しさや斬新さを意図して強調する構成なのですね。

 

ならば、その美しさをさらに引き立てたいと思ったら、どうしたらいいでしょう?

 

筧:例えば、色相環の補色を覚えておくと便利です。

 

――― 補色については理解があいまいな人も多いと思うので詳しく教えてください。

 

筧:2つの色の絵の具を混ぜると灰色(無彩色)になる関係の色同士を意味します。

 

色相環で言えば、円の正反対にある色同士=反対色とも言えます。例えば赤と青緑は補色関係です。

 

色相環の図。

――― 言い換えると、正反対の色なので、色の差が大きく、組み合わせるとお互いが引き立つ関係にあるのですね。

 

筧:はい。なので、左右非対称(アシンメトリー)構成を考える際に、左右のどちらか一方に意図して補色を足してあげると深みが増します。

 

ベースの青に対して反対色がプラスされた。色の引き立つ様子がよく分かる。結果として、軸を中心とした左右の違いが強調されている。

――― 引き締まり方が確かに全く違いますね。

 

筧:ただ、色の使い過ぎは逆に印象がぼやけます。展示では色の総数を3色程度に絞ったり、色のトーンを決めたりするとまとまりやすいです。

 

――― 意外に少ないのですね。使える色の数は。

 

美しさを際立たせようとあれもこれも色を足して、ぼんやりとした印象に最終的になってしまうとは、自分でも思わずやりそうな落とし穴だと思いました。

 

筧:左右非対称(アシンメトリー)構成の美しさをさらに引き立てたい場合の話に戻れば、オブジェやオーナメント、マテリアルなどのアイテムを使ってもいいかもしれません。

 

オブジェとは、商品を引き立てる比較的大きい装飾品です。オーナメントとは、商品の世界観を表現する比較的小さな装飾品です。マテリアルは木・石・砂・布などの素材です。

 

冒頭で決めた展示・陳列のテーマに沿ってこれらを配置すると世界観が広がります。

 

手前の右手に注目。左右非対称を強調するツールとしてサンゴのオーナメントが置かれている。

ただ、この手のアイテムについては、展示のマイナスにならないように注意する必要があります。

 

――― と、言いますと?

 

筧:先ほども出した和菓子屋さんの例に戻って、夏の季節感を出した和菓子をショーウインドーに展示したとします。

 

涼しげなお菓子があって水の流れを演出したガラス玉が散らされている。ここまではいいのですが、添えられた小さな装飾品が100円均一のショップで買った造花だと世界観にマイナスです。

 

世界観を崩す物を無理にプラスするくらいなら逆に置かない方が賢明だと思います。

 

(副編集長のコメント:想像を広げる一方で置きすぎには注意ですね。

 

直線構成とリピート構成に次の第4回では続きます。)

互いの色を最も目立たせる色の組み合わせ

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