すみません。HOKUROKUを「Wikipediaに掲載」しちゃいました
vol. 05
価値ある項目は文章が長くなる
下書きの文を「砂場」(下書きページ)に用意した段階で新しい疑問が浮かんだ。
「この下書きは、どうやって本番に反映させるのだろう」
先ほどから見ているとページの右上に「ページを公開」というボタンが置かれている。このボタンを押せばいいのだろうか。
分からなければ何度でも〈Wikipedia〉で調べればいい。日本語版「Help:新規ページの作成」を確認すると、存在しない言葉をWikipediaに掲載する場合、以下の方法があると知った。
- 検索結果画面を利用する(「HOKUROKU」と打ち込んで項目がWikipediaに存在しない場合は、新規作成の編集画面へのリンクが表示される)
- ブラウザーにURLを直接入力する(「https://ja.wikipedia.org/wiki/HOKUROKU」といった感じ)
- 下書きページを移動する
恐らく最も簡単な方法は「1」の「検索結果画面を利用する」だ。
Wikipedia内の検索ボックスで〈HOKUROKU〉と検索してみると、HOKUROKUが存在しないため「『HOKUROKU』を新規作成しましょう」と誘いの言葉が出てくる。
一文の中で「HOKUROKU」の言葉だけが赤くなっているので、クリックすれば本番の記事作成が始まるのだ。
Wikipediaの説明以上にページづくりは簡単
クリックすると扉が開いた気がした。本番の記述の開始である。
「HOKUROKU」とタイトルだけが書かれた、まっさらなページが立ち上がった。
本番ページの編集画面。タイトルだけが記載されている。Wikipediaの画像キャプチャーを挿入。
世界のあらゆる事象を網羅して、民主的な仕組みで言語化しようとする人類史上で初めての試み、Wikipediaへの1ページである。
このページに先ほどsandbox(下書きページ)で書いた文章をコピー&ペーストして調整する。
脚注の付け方が分からなかったので日本語版で「Wikipedia:出典を明記する」を読んでみる。文中には、
“脚注機能(Help:脚注)を使用して、本文の見た目をすっきりとさせる。具体的には、出典を 〈ref〉 と 〈/ref〉 とで囲み、さらに出典を表示させるための「脚注節(セクション)」を本文の最後に作り、そこに {{Reflist}} と書く。”(Wikipediaより引用)
と書かれている。
「ちょっと複雑そうだな」と感じた。しかし心配は無用だった。
出典が必要と思われる本文の後に〈ref〉と打ち込むと勝手に「引用を追加」という吹き出しが現れる。
赤丸はWikipediaの画像キャプチャーに編集部が記入
求めに応じて出典先のURLなどを入力すれば、勝手にWikipediaのルールにのっとった脚注が打たれる設計になっている。
「Wikipedia:出典を明記する」の説明よりも簡単な仕組みになっている。この機能を誰かがボランティアでプラスしてくれたに違いない。
一通り出典を明記したら最後は出典をまとめて表示させる。
先の「Wikipedia:出典を明記する」の説明以上にこの作業も簡単だった。
あらかじめ「脚注」をまとめて表示したい場所をつくっておいて、その部分にカーソルを合わせ、タスクバー「挿入」の中から「情報源一覧」という言葉を選ぶだけである。
自動的に脚注が一覧に表示されると、見た目はもうWikipediaそのものだった。公開作業が近づいてくる。
「ページを公開する」の一文をクリック
あらためて公開を前に本文を振り返ってみた。この文章は中立的に書かれているだろうか。そもそも書くに値する内容なのであろうか。
後者に関してはHOKUROKUの今後の活動によっても変わってくるはずだ。更新する価値があれば、HOKUROKUの歩みに応じて誰か別の編集者が忠実に更新してくれるはずだ。
自分ではなく誰かがこのページに手を加え、記録を塗り替えていく未来は、同時にHOKUROKUの輝かしい成長を意味している。
画面の右上に「ページを公開する」という一文が見える。この一文をクリックすれば、恐らく新しい項目がWikipediaの1ページに刻まれるはずだ。
準備はいいだろうか。「大胆になれ」と誰かが耳元でささやく。
その言葉に励まされながら「ページを公開する」の一文をクリックしてみた。
HOKUROKUが掲載されていた
Wikipediaの画像キャプチャーを挿入。
上に掲載したスクリーンショットが日本語版Wikipediaに登場した、できたてほやほやの「HOKUROKU」のページである。
「ページを公開する」をクリックすると編集作業の内容が問われ、その問いに答えてから認証作業すると公開となった。
Wikipedia内の検索ボックスで、試みに「HOKUROKU」と検索してみた。びっくりする速度だが、もうHOKUROKUが掲載されていた。
そのURLがこちらである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/HOKUROKU
WikipediaにHOKUROKUを書き込んで5分も経っていない。静かな興奮がまだ続いている。
痛恨のミス発覚
自分がつくったWikipedia日本語版のHOKUROKUを編集部のメンバーに自慢してみた。皆から歓声が上がる。
「われわれが何者か、これで説明しやすくなった」と副編集長が言った。確かにWikipedaに掲載されているという事実は、ある意味の説得力を対外的に与えてくれる。
一通りWikipediaの鑑賞が終わると、HOKUROKUのWebディレクターが本文の書き損じを指摘してくれた。下書きページの「コピペ」の跡が不格好な形で残っていたのだ。
「なら早速、直してよ」と、副編集長にその場でお願いしてみた。理解が正しければWikipediaは誰でも修正ができるはずだ。
副編集長は会議室のスクリーンにパソコン画面を表示していたため、その場で(アカウントもつくらず)通りすがりのネット民の立場から見出しの中に誤って書かれた言葉を消してくれた。
見事である。WikipediaのHOKUROKUページは改善された。はからずも誰もが編集できるWikipediaの自由さ(フリー)を垣間見た気がした。
この先も同じように多くの編集者たちが「HOKUROKU」の項目を、編集する価値があると判断すれば加筆・改善してくれるはずだ。記述が増えれば本文は自然に長くなっていく。
Wikipediaにおいて価値ある項目は文章が長くなるとされている。Wikipediaの記述の長さをHOKUROKUの成長の尺度にしたいと思わせてもらった。
(副編集長のコメント:HOKUROKUのWikipediaデビュー、おしまいです。Wikipediaのページもぜひチェックしてみてくださいね。)
文:坂本正敬
編集:大坪史弥・坂本正敬
編集協力:明石博之
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