「HACHIBAN-RAMEN」がラーメンの呼び名になるくらい8番らーめんがタイで成功した話。

2020.09.25

第5回

みそ汁を飲むように毎日来てもらえるお店。

タイの〈8番らーめん〉スタッフ。

大坪:タイにおける〈8番らーめん〉の歴史や独自の取り組み、人気のメニュー、人材登用・育成など、さまざまな話を聞かせてもらいました。

 

では逆に、順風満帆に見えるタイでの店舗経営において課題があれば教えてください。

 

中島:現在は店舗数が増えて、どこも従業員が不足する傾向にあります。店舗の負担を減らすためにどうすればいいか本部で考えています。

 

例えば配送センターの整備ですね。さまざまな業者からの受け入れが店舗にはあります。その対応は大変な負担なので、配送センターをつくり、一括受け入れして店舗側の負担を減らしました。

 

また現状は野菜を店舗で切っていますが、セントラルキッチンで切るなど調理の効率化も進めています。

 

店舗の負担が軽くなれば、その分だけ接客や品質管理に力を向けられます。店舗側の努力だけではなく会社全体でお客さまに届ける価値を増やせるようにしていきたいですね。

 

マーケティング面では、マーケティングマネージャーを採用し、テレビコマーシャルを近年ではつくっています。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)マーケティングも得意な人なので〈Facebook〉や〈Instagram〉を使った広告にも力を入れています。

 

大坪:読者のために整理するとセントラルキッチンとは、レストランなど大量の料理を提供する外食産業の調理を一手に引き受ける、効率化や規模のメリットを追求する施設ですね。

 

 

あらためて最後に、どのような立ち位置を「8番」はタイで目指しているのか、今後の展望について教えてください。

 

中島:最初からのコンセプトをタイではずっと大事にしてきました。観光で訪れる外国人ではなくタイの現地の人に愛されるラーメン屋をつくろうと。

 

そのために現地に合った、現地の皆さんが気軽に来られる価格設定を貫いてきました。価格だけでなく品質もそうですし、接客もクレンリネスもいわゆるQSCをしっかりやってきました。

 

大坪:クレンリネスとは飲食店で用いられる言葉で「清潔な状態を保つこと」といった意味の英単語です。このクレンリネスを含んだ「クオリティ(Quality)」「サービス(Service)」「クレンリネス(Cleanliness)」の頭文字がQSCですね。

 

中島:「現地の人に好きになってもらいたい」との思いがひとえにあったからこそ続けられたのだと思います。こうした取り組みをお客さまに価値として感じていただけたからこそ今の店舗展開があるのだと思います。

 

日本のハチバンでは「みそ汁を飲むように毎日来てもらえるお店」を目指しています。タイも同じように多くのお客さまから愛され、何度もお店に来ていただけるお店でありたいと思っています。

「皆さんのソウルフードである8番らーめんは海外でも頑張っています」

中島:ここからは私の個人的な話なのですが、よろしいでしょうか。

 

大坪:もちろんです。

 

中島:私は東京出身です。北陸にゆかりはありません。〈8番らーめん〉も実はタイで初めて知りました。

 

大坪:そうなのですね。

 

村中:知らなかった。

 

中島:縁があって「8番」に拾っていただいて、日本で最初に研修を受けました。

 

その時に金沢へ行って「8番らーめんって本当に地域の人に愛されているんだな」「ソウルフードとして受け入れられているんだな」と肌で感じました。

 

生まれ育った場所が東京だったせいか、ソウルフードの概念というか価値観を持たずに生きてきました。

 

金沢で「8番」を見た時は、「ソウルフードってこういう感じなんだ」と感動すら覚えました。

 

この北陸の人たちのソウルフードである〈8番らーめん〉が現在タイでは「ラーメン」の代名詞になっています。

 

大坪:特定商品名であるソニーの〈ウォークマン〉が一般名称の「携帯オーディオプレイヤー」の代わりを果たしていた状況と一緒ですね。

 

中島:はい。その8番らーめんに対する現地のお客さまからの評価を突き詰めて高めていければ、拾っていただいた8番らーめんに、ひいては石川・北陸の地域に恩返しができると思っています。

 

清治:私も東京出身ですが、中島さんと同じ思いがありますね。

 

大坪:今の話、すごく感動しました。〈HOKUROKU〉のコンセプトとして、北陸に住む人、あるいは北陸に縁のある人に、北陸をもっと好きになってもらいたいとの願いがあります。

 

県外出身の2人が北陸で愛される8番らーめんの価値を知り、遠く離れたタイにその価値届けようと一生懸命になってくれているわけですよね。

 

努力の末にタイでは「8番らーめん」がラーメンの一般名称になっている。北陸の人たちを二重の意味で喜ばせる話ですし、郷土愛を育む大きなきっかけにもなると思います。

 

僕が言うのもおかしいですけれど、本当にありがとうございます。

 

村中:私も感動しました。ありがとうございます。

 

(一同、笑う。)

 

 

大坪:僕からお聞きすることは以上になります。ここだけは言いたかった、伝え忘れたみたいな話があれば。

 

中島:そうですね。コロナで景気が悪くなり、観光客がほとんど居ない中でも、去年とほぼ同じ数のお客さまが来てくださっています。

 

「コロナに負けず、皆さんのソウルフードである8番らーめんは海外でも頑張っています」とお伝えしたいです。

 

大坪:勇気づけられる話をありがとうございました。今後とも北陸の8番らーめんを世界へ広めてください。よろしくお願いします。あらためまして本日はありがとうございました。

 

(編集長のコメント:県外出身者が北陸の8番らーめんの愛され方に感動し、その感動を今度はタイで伝えようとしている。特定商品名の「8番らーめん」が「ラーメン」の代わりにタイでは一般名称になっている。すごくいい話ですね。

 

新型コロナウイルス感染症の影響が収まったらHOKUROKU初の海外取材はタイに決まりです。

 

タイのみならず、カンボジアだとかタイの近隣諸国で仕事を頑張る日本人の皆さん、インターネットで配信されるHOKUROKUの記事はきっと皆さんの手元の「スマホ」にも届いているはず。

 

北陸の味と心を感じられる飲食店がタイにはあります。新型コロナウイルス感染症の影響が収まったら、場合によっては国境を越えて足を運んでみてくださいね。)

 

文:大坪史弥
写真:武井靖
編集:坂本正敬
編集協力:博多玲子

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