今日の〈日めくり格言〉はこの作品から引用しました

越前和紙の里

 

作品名:文庫版〈弥陀の舞〉
著者:水上勉
出版社:角川書店
出版:1972年(昭和47年)

 

関連:北陸がもっと好きになる。あの人の「本と映画と漫画」の話

 

〈日めくり格言〉は赤丸の部分にあります

 

写真:福井県観光連盟

 

2022/6/28
当時の地方寒村では、学校へゆかねばならない法律も、厄介なものだった
2022/6/29
紙すきを教えた女は、いまも、この奥山に眠っている。
2022/6/30
根拠は見ようによっては滑稽でさえある。
2022/7/1
なーんもかも時節じゃった
2022/7/2
むかしを捨てて、新しゅう生きてゆかんならん
2022/7/3
顔をみせんのにはわけがあんのや。
2022/7/4
生きておれば……いまに必ず会えるど。
2022/7/5
ほんまのことがわかる時がきっとくる。
2022/7/6
忠告するにしても、上手にいわねばならぬ。
2022/7/7
紙というもンは心が躍っておっては漉けん。
2022/7/8
死んだ紙も、生きた紙も、みな漉く人間の心のなりや
2022/7/9
晴れて一しょになる日まで、紙漉きだけに心をこめて……精を出せ。
2022/7/10
紙というもんは男と女がこねてつくる子ォみたいなもんや
2022/7/11
つよい紙、質のええ紙をつくっておれば、不景気もへったくれもありやせん。
2022/7/12
百貫の楮で八十貫の紙すいたら儲けもよかろ。けど、それは、堕落やぞ。
2022/7/13
紙というもんは、心でたたき、心ですかねば……上等のはでけん
2022/7/14
東京帰りの弥平だけが、歯を喰いしばって、古和紙の伝統を守ろうとした
2022/7/15
いってみれば、みな先方まかせの商いである。
2022/7/16
コウゾにキワダをまぜると虫が喰わん。
2022/7/17
むかしから、坊さんが写経なさる時に、紙が仰山いったで、越前和紙がつかわれた。
2022/7/18
東京へなんぞいったかて、なーんも勉強できせん。
2022/7/19
上と下とはかわりがあり、興るものと衰減するものとは、表裏をなしている
2022/7/20
ほんまのことをいうても、嘘にとるのが世間というもんや。
2022/7/21
芸ひと筋に生きる人の苦労というもんは、はたでは思いもつけんほどすさまじい
2022/7/22
苦労をしたからそれで一人前になれるというもんでもない。
2022/7/23
絵は才能やから。才能にさらに努力がいる。
2022/7/24
どん底から這いあがってこられた人やから会うておっても楽しいぞ。
2022/7/25
頭で教えてわかるもんやない。何枚も、何枚も、漉いとるうちに腕が覚える。
2022/7/26
立派な紙というもんはな、職人の手が、永年のカンで漉く。
2022/7/27
越前の子は、みーんな、はったい粉を喰うて大きゅうなった
2022/7/28
越前というところは、深いところですな。
2022/7/29
十四や十五で、世の中のからくりがわかるもんではない。
2022/7/30
秘法もなーんもありはせんが。紙はただ心ですくだけのこと。
2022/7/31
古い紙漉き法を、ただ、骨身惜しまず……心をこめ、ただ漉くだけでよい
2022/8/1
世間の噂などいいかげんなもの
2022/8/2
生きるだけ生きた方がええのんや、仏がくれたもんやでな
2022/8/3
だあれも、死んだ先から手紙をくれんがい。
2022/8/4
縁とは異なるものである。
2022/8/5
荒波に襲われるのも、温かい波につつまれるのも、すべて運である。
2022/8/6
コウゾを伐るには、南面にむいて伐るのや。
2022/8/7
無理な注文きいて、仕事をさばくから、無理がきよるんじゃ。
2022/8/8
五箇は日本一の紙すきどこ
2022/8/9
理屈どおりにゆかないのが、微妙な技術を要する紙すきである。
2022/8/10
紙は生きた人間が漉くもんや。
2022/8/11
道具はなんもかもそろうた。あとは腕や。
2022/8/12
練習に練習をつめば、不可能ということはない。
2022/8/13
昔の人は、自分で工夫して、日夜修練つんで、なしとげた。
2022/8/14
こんな……立派な絵を寄進できたことは、生涯の幸福です
2022/8/15
縁の下におる人がなくては……このような大作は出来ません
2022/8/16
なーんも教えてない。教えぬ方がよいのじゃ。
2022/8/17
上林弥平は越前五箇製紙中興の人なり。その技や神技
2022/8/18
越前和紙は、生きたコウゾの紙であった。
2022/8/19
寒中に女たちが手を凍らせて漉いた製法は今日も変わりはない。
2022/8/20
水上文学の有する抒情性のみずみずしさと物語性の豊かさを讃える