連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし(調査編)。
「これ、どこのタンブラーですか?」と質問される気持ち良さって、たまらない。きっと。
土直漆器(鯖江市)の<URUSHI MOBILE TUMBLER>。
福井ロフトなどを見学していると、福井県の鯖江市にも人気のタンブラーを手掛ける会社があると、情報が入ってきました。
福井の鯖江と言えばメガネが有名ですが、鯖江には越前漆器11の産地もあります。その伝統技術をコーヒー・タンブラーづくりに生かした、土直漆器(鯖江市)の<URUSHI MOBILE TUMBLER>があると知りました。
最初、公式ホームページで見た時に、「まさに、こういうタンブラーを探していた」と思いました。編集部に情報をシェアしても、「これなら持ちたい」と気持ちの良いリアクションが返ってきます。
プロダクトとして持ちたいかどうかが大事だとすれば、URUSHI MOBILE TUMBLERは写真の段階で成功しています。
鯖江市の様子。
同製品を立ち上げた土直漆器の土田直東さんにも、会いに行ってきました。
取材当日、鯖江は曇っていました。近所の山からは水蒸気が立ち上っています。漆は湿度が高いほど固まりやすくなるため、産地として湿度の高さは大事なのだとか。
聞けば、越前漆器は産地として日本最古の1500年近い歴史があるそう。その産地の中でも土直漆器は歴史の若い会社だと、2代目社長の土田直東さんが教えてくれます。
土田直東さん。
URUSHI MOBILE TUMBLERをリリースする土田直東さんは、世界的な大手レコードショップの社員として東京で働いた後、父親の仕事を継ぐために、鯖江にUターンした人です。
「外の世界を知る私のような経営者が、どんどん面白いチャレンジをして、若い人に漆器の世界に対する憧れを持ってもらいたい」
との願いもあって、URUSHI MOBILE TUMBLERを始めたのだとか。
プロダクトの開発の経緯は、慶応義塾大学のメディアデザイン研究科から、伝統の技術を生かして海外に物を売っていきたいと、鯖江市に声が掛かったところから始まります。
産地としてさまざまな課題を抱えていた同市の越前漆器が手を挙げ、クラウドファンディングを経て、商品化に至りました。
飽和状態のタンブラー業界の中で「違い」を実現。
カメイ・プロアクト社(東京都)の<Thurmo mug>に、土直漆器が伝統の技術で漆塗りを行う。タンブラーの色彩は経年変化をして深みを増す。
URUSHI MOBILE TUMBLERは、北陸の、日本の風土に似合うタンブラーとして、1つの理想的な形を示した商品なのかもしれません。
飽和状態のタンブラー業界の中で、真空二重構造のタンブラーに漆塗りを用いた製品は、類似品との差別化を見事に実現しています。
現に、ユーザーが<スターバックスコーヒー>などに持ち込むと、店員から「これ、どこのタンブラーですか?」などと質問を受けるそう。この質問は、使っている本人としてはうれしい限りですよね。
そのやり取りがきっかけで店員との会話が弾み、使っている人のステイタスにもなって、満足度にも直結しているみたいです。
価格帯は1万円前後12と決して安くはありません。それでも月に500~600個、年間で7,000~8,000個のペースで売れているとも言います。
最初は海外の人に向けて売り出す予定だったそうですが、意外にも都市部に暮らす30~40代の日本人に売れているみたいです。
贈答用としても好まれていて、企業が自社のネームを入れてイベントでギフトにするといったニーズもあると土田さんは言います。
<KeepCup>も同じですが、デザインが人の手に取らせる原動力になっている、その見本となるような商品が、北陸3県にもすでにあると分かりました。
コーヒー専用の容器として用途を考えてみる。
土直漆器の外観。この中の一角でもURUSHI MOBILE TUMBLERは販売される。他、都内や関西のショップ、Thurmo mugのルートでも取り扱われる。
ただ、URUSHI MOBILE TUMBLERは、コーヒー専用のタンブラーとして用途が限定されているわけではありません。
例えば、土田さんは毎日このタンブラーでお酒を飲んでいると言います。真空二重構造のため氷が溶けにくく、お酒が美味しく飲めるのだとか。
一般的にタンブラーは、コーヒーに限らずさまざまな飲み物に適している容器ですから、お酒も楽しめるとなれば、使い勝手の良さを裏付ける証拠になります。
しかし、今回の特集テーマに寄せて、コーヒー専用の容器として用途を限った時、真空二重構造の保温機能は裏目に出る可能性もあるはずです。
水筒にコーヒーを入れて持ち運んだ結果、酸味や雑味が増してしまった経験はありませんか? コーヒーは長時間、高い温度で保管すると、雑味や嫌な酸味が増すと知られています。
また、価格的に1万円前後という値段設定も、日常的な利用をイメージした場合、ちょっと高すぎるというハードルもあるはずです。
容器としての背の高さも、スクリュー式のふたについても、コーヒー専用という用途に限って見れば、商品選びの際に注意が必要かもしれません。
例えばKeepCupの場合は、現場に立つバリスタが開発した経緯もあって、カフェのカウンター内でストレスなく使えるように、エスプレッソ・マシンの抽出口に直接セットできるサイズ感を意識しています。
さらに混雑時のバリスタの手間を考え、容器のふたも、ねじ込み式ではなく、押してはめるタイプが選ばれています。
思わず手に取りたくなるデザインが大前提にあって、その上でバリスタにも使い勝手がいい機能を持っている、そんな容器の有無が、北陸3県でコーヒー・タンブラーのある暮らしを広める鍵を握っているのではないかと、分かった気がしました。
(編集部コメント:「調査編」は以上です。この先は、HOKUROKUオリジナルのドリンク容器づくりについて考えます。時期については未定ですが、続きを楽しみにしてくださいね。)
文:坂本正敬
写真:山本哲朗
編集:大坪史弥、坂本正敬記事数
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)
これが何だか分からないけれど、欲しい。
福井の海を目の当たりにすると、一度はデザインに不満を感じ始めた<KeepCup>への関心が、戻ってきました。とはいえKeepCupの見た目に関する関心ではなく、同商品が生まれた背景に対する関心です。
同社の創業者であるJamie ForsythさんとAbigail Forsythさんは、メルボルンで人気のカフェを営んでいたと、第1回の記事で書きました。
この2人は最初、紙のコーヒーカップの代替品として、既存のドリンク容器をお店で使って、コーヒーを提供しようと考えたと言います。
しかし、当時流行していた水筒はサイズが大きく、エスプレッソ・マシンの抽出口の下に直接セットできません。
デザイン的にも満足できる商品がなかったため、「それならば、つくってしまおう」と方向を切り替えます。
同社にも問い合わせると、最初のKeepCupの販売は、メルボルンで2009年に開催された小さなデザインフェアだったと言います。
当初は「時間の無駄」といった声もあったそうですが、6時間で1,000個も商品が売れたそう。中には「これが何だか分からないけれど、(プロダクトとして)欲しい」と買ってくれた顧客も、少なくなかったとか。
この印象的なエピソードは、福井の海に出掛ける前にも知っていました。しかし、福井から帰ると、この「何だか分からないけど、物として欲しいから買って帰らせる」大切さが、あらためて説得力を持つような気がしました。
KeepCupの創業者たちも、デザインフェアでの出来事を通じて、デザインの魅力で手に取ってもらう大事さを学んだと言います。
「環境にいいから使って」というメッセージを最初に伝えるのではなく、まず手に取ってもらう。そうすれば、使ってもらえるチャンスも増えます。使ってもらえるチャンスが増えれば、結果として環境問題にもささやかなインパクトを与えられます。
北陸でタンブラーのある暮らしを実現する際にも、この「物として欲しいから手に取ってしまう」商品の存在は不可欠のはずです。
タンブラー探しの方向性が、見えてきた気がしました。
「物としてほしいから手に取ってしまう」コーヒー・タンブラーはどこだ?
「物としてほしいから手に取ってしまう」コーヒー・タンブラーを探す手段として、北陸3県でセレクトショップを手掛ける経営者や、生活雑貨を扱うお店の店長、バイヤーなど、さまざまな情報通に声を掛けてみました。
一方で、水筒やタンブラーなどの品ぞろえが充実したお店にも足を運んでみます。例えば、福井ロフトです。
同店は、福井の「マイボトル運動」にも協力するお店で、県と連携して売り場の一角で水筒やタンブラーの品ぞろえを充実させています。
さらに売り場担当の六廣英典さんによれば、
「ロフトはセブン&アイ・ホールディングスの一員として、グループ全体でマイボトルやマイバッグに力を入れています」
との話。水筒やタンブラーのトレンドを知るためには、これ以上のないお店なのですね。
福井ロフトの六廣英典さん。
数ある選択肢の中から、現状で9どのような商品が売れているのか聞いてみると、一番に<ポケトル10>という水筒を教えてくれました。
名前の由来は、ポケットに入るリトルな水筒という意味で、その名前の通り、最も売れ筋のSサイズ(120ml)の場合は、ポケットにも入ります。
このサイズ感は、確かに他の大きな容器との並びで見ても異彩を放っていて、思わず手に取りたくなるような商品だと思いました。
ポケトルのSサイズ。スリムなデザインなので、ポケットはもちろん、かばんの中の小さなスペースにも入り込んでくれる。180mlタイプの場合、本体価格は1,500円。高さは19.6cm。
120mlと言えば、標準的な大きさのコーヒーカップ(レギュラーカップ)の容量と一緒です。
六廣さんによれば、Sサイズの大きさが女性に人気だとかで、特に色もピンクが2019/2020の冬には売れたと言います。
この愛らしいサイズ感とカラーバリエーションを持ったポケトルからも、手に取りたくなる、ワクワク感の大切さを、あらためて学びました。
(次は最終回。鯖江で見付けた<URUSHI MOBILE TUMBLER>を紹介します。)
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)
越前海岸に漂着する国内由来のごみは7割が九頭竜川の流域から。
越前の海岸に流れ込む九頭竜川の河口周辺。
<KeepCup>を譲り受け、その容器をローソンに持ち込んで、今までにない気分の高まりを体験した私です。
「これこそ、マンネリ化した日常に、ちょっとした工夫で豊かさをプラスできるツールだ」と意気込んで、その日常にさらなる彩りをプラスする北陸らしいタンブラーを探したいと思い始めました。
しかし一方で、ローソンのサービスを知るきっかけとなった福井の「マイボトル運動」の背景にも、関心が向き始めていました。
そもそも福井県が「マイボトル運動」を進める理由となった、漂着ごみの問題とは、何なのでしょうか。
三国港の三国港突堤。
福井の海岸線は、石川の能登半島を含め、「対岸」の朝鮮半島や中国と向き合うように、日本海に突き出しています。そのため、海外からのごみの漂着物が流れ付きやすい環境にあると言います。
調べてみると、例えば冬の福井県坂井市(越前海岸の一角)に漂着するごみは、1:1で海外:国内のごみに分類できると言います。その上、国内のごみの7割が、福井県を流れる九頭竜川の流域から漂着しているとも明らかにされています。
つまり、自分たちで自分たちの海岸を汚している現状があるのですね。
一度、しっかり県にも問い合わせてみようと思いました。県の公式ホームページから「マイボトル運動」への関心と漂着ごみ問題に関する質問を寄せると、すぐに連絡が来ます。
県の担当者によれば、上に挙げたような情報はまさにその通りで、
「県民がこうした海洋プラスチック問題に向け、自らプラスチックごみの削減に取り組んでいただくよう、意識啓発を行い、実際に身近で実践いただく方法として、今年度からマイボトル運動を推進しております」
と、教えてくれました。足元の環境問題に対する危機意識こそが、福井県が率先して「マイボトル運動」を立ち上げ、県民にマイボトルの利用を訴える理由だったのですね。
事態は想像を絶するレベルだった。
車窓から眺める越前海岸の様子。
KeepCupに替わる北陸らしいコーヒー・タンブラー探しと並行して、冬の福井の海にも出掛けてみました。県の担当者によれば、
「集中してごみが漂着している海岸について、県では把握しておりませんが、冬季波浪によって越前海岸にも漂着しているという状況は把握しております」
との話。この言葉を頼りに、富山から福井の越前岬を目指してみると、事態は想像を絶するレベルでした。
福井の海岸線に漂着したごみの様子。
移動中の車内から遠めに見ていた分には気付かなかったのですが、海岸線に実際に下りてみると、場所によっては足の踏み場もないくらい、ごみが漂着しています。
環境省の情報によれば、福井県の越前海岸のごみは、流木・低木が 31%、木材が 23%、プラスチック類が 37%になると言います。
37%のプラスチック類に注意深く目を向けてみると、海外製のペットボトルから、洗剤入れ、長靴、発泡スチロール、ブイなど、さまざまなごみが漂着していました。
流木、木材、プラスチック類以外の残り9%を言えば、冷蔵庫、タイヤのホイール、スプレー缶、海外製の車のナンバー、注射器、配船、漁業の網などが散乱しています。
県の担当者によれば、こうしたごみは夏の行楽シーズンを前に一斉に掃除を行うため、あまり人の目に留まらないと言います。しかし、冬には海岸でこのような現状が毎年続いているのですね。
ちょうど、近所で年配の方がお店を営んでいたので声を掛けてみました。毎年、冬は海岸線が同じくらい汚れる上に、その勢いはとどまるところを知らないと言います。
地元の人は昔、早朝に海岸線に出て、何か価値のある「ごみ」が漂着していないか、探し回った時期もあったと教えてくれました。しかし、最近は「喜べるような物」はなく、プラスチックごみばかりが目立つとの話もあります。
何と戦うべきなのか。
福井市の鷹巣海岸。
福井市の鷹巣海岸、坂井市の三国サンセットビーチ、石川県白山市の松任海浜公園も歩いてみました。残念ながら、冬の越前と加賀の海岸は、どこも似たような状況でした。
白山市の松任海浜公園。
海岸線だけではありません。国内由来のごみの出どころと言われる九頭竜川の河川敷きも、ごみの散乱がひどかったです。確かに、流域からのごみが流れ下って集まっているのですね。
九頭竜川の河川敷。
この問題は福井に限りません。同じ北陸の石川、富山でも似たような問題があります。海岸に漂着した国内由来のごみの中には、コーヒー用の紙コップやボトル容器もたくさん見られました。
コーヒー・タンブラーを使う人が1人でも北陸に増えれば、不必要な紙のカップやペットボトルの利用を減らせるかもしれません。
単なる個人的な趣味で始めたコーヒー・タンブラーの世界に、少し異なる深みが見え始めた瞬間でした。
(次は第4回。再びコーヒー・タンブラー探しの道へ。)
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)
身近な「コンビニ」でもコーヒーを割引きしてくれる。
<KeepCup>を譲り受けた私は、早速自分でも北陸でコーヒー・タンブラーのある生活をスタートさせてみました。しかし、早々にある課題にぶつかります。KeepCupを持ち込める場所の選択肢が、意外にも身の回りに限られていたのですね。
メルボルンのように、あるいは東京や大坂のように、カフェが身近に幾つも存在する都会とは違います。北陸3県で使える場所と言えば、<スターバックス コーヒー>や<タリーズコーヒー>くらいしか思い浮かびません。
個人のカフェでも使えるのかもしれませんが、タンブラーを受け付けてくれるお店が、すぐには思い付きませんでした。持っていって、お店に容器の利用を断られたら恥ずかしいですし。
そこで北陸3県のさまざまな地名と、「カフェ」「タンブラー」「マイボトル」といった言葉を組み合わせて、インターネットで身近に使える場所を探してみました。
そのサーチの最中、偶然にも意外な情報を発見します。身近なコンビニエンスストアのローソンでも、マイボトルが持ち込めると知ったのですね。
福井市の鷹巣海岸。
きっかけは、福井県の「マイボトル運動」を紹介する県の公式ホームページでした。
日本海に面して長い海岸線を持つ福井県では、海岸に漂着するごみが、問題視されているとの話。しかもそのごみは、海外からの漂着ごみもあれば、県内の九頭竜川流域から流れて漂着するごみもあると言います。
要するに、国外のみならず、県内から出たごみで、福井の海岸が汚れているという話です。その問題を県民に広く知ってもらうために、「マイボトル運動」が立ち上がったのだとか。
「マイボトル運動」では、運動の協力店にマイボトルを持ち込むと、コーヒーの値段が何十円か安くなる仕掛けが用意されています。その経済的メリットを1つのフックに、ごみの問題を考えるきっかけづくりを行っているのですね。
福井県には現状で協力店が150店舗ほどあり(令和2年1月10日時点)、そのうちの7店は<スターバックス コーヒー6>、3店は<タリーズコーヒー7>、その他、個人のカフェが名を連ねていました。この辺りは想定内の情報です。
しかし、意外な情報として、「マイボトル運動」には114店のローソン<MACHIcafe>が名を連ねています。その時点で、福井に何店舗のローソンがあるのか分かりませんでしたが、114店と言えば、ほとんど全てのはず。
見方を変えれば、ローソンの「コンビニコーヒー」はどこでも、テークアウト用の容器の持ち込みで割引が可能になるのかもしれません。
しかし、そんな話は一度も聞いた覚えがありませんし、身の回りの人に聞いてみても、誰も知りません。そこで、このドリンク割引について、思い切って本社に問い合わせてみました。
ローソンなら10円引き。
朝からゴクゴク飲める「アイスコーヒー」♪気分をシャキッとさせたい時にもぴったりです(^^)#ローソン #おうち時間を楽しく #おうちカフェ #マチカフェ https://t.co/Z8rJznqWY2 pic.twitter.com/2C10jXRocs
— ローソン (@akiko_lawson) July 1, 2020
その時点で、『HOKUROKU』は開発の途中でした。しかし、まだ存在しないメディアでありながら、取材として本社に連絡を入れてみます。
担当の方に取り次いでもらい、テークアウト用の容器を持ち込めば割引になるかどうかを確かめると、やはり全国津々浦々のローソン8で、割引のサービスがやっていると分かりました。
いつごろから始まっているサービスなのかと聞くと、
「カウンターコーヒー<MACHIcafe(マチカフェ)>を販売開始した当初(2011年)から、割引を行っています」
との回答があります。失礼を承知で、認知度が低いのではないかと率直に質問すると、
「店頭でのメニュー表、ホームページでの商品情報では、タンブラーご持参での割引について表示しております」
と、答えがありました。確かに実際の店舗で確かめてみると、店頭のメニュー表には小さな文字で、割引に関する記述があります。
朝からでもすっきり飲める「アイスカフェラテ」♪ほんのり甘いミルクがおいしいです(^^)#ローソン #おうち時間を楽しく #おうちカフェ #マチカフェ https://t.co/hWmdbDOo7N pic.twitter.com/5oNPpctwED
— ローソン (@akiko_lawson) June 28, 2020
執筆時点で、マイボトルの持ち込み割引を実施しているコンビニエンスストアはローソンだけ。どうして他のコンビニエンスストアに先駆けて、このようなサービスを始めたのでしょうか。聞くと、
「使い捨てのカップを使用しなければ、環境に配慮できる上に、カップのコストが不要になるからです」
との話です。その上、環境面に配慮している姿勢も伝えられますから、企業としても一挙両得の話なのですね。
「この人は何をしているのだろう」
<KeepCup>に入れたMACHIcafeのカフェラテ。
本社に確認を終えるとすぐ、KeepCupを持って、ローソンでコーヒーのテークアウトに挑戦してみました。
本社の担当者によれば、持ち込む容器は、ドリンクが入りきるサイズである限り、どのようなタイプでも構わないとの話。
「(タンブラーがコーヒーマシンに)適合しない場合、専用のステンレス製のメジャーカップにドリンクを抽出し、その後タンブラーに移します。従って、タンブラーの大きさ・形状によるNGは、小さ過ぎる場合を除き、ございません」
さらに、アイスのドリンクについても、持参した容器に移し替えてくれると言います。
こうした本社からの言葉があってもなお、最初は正直に言って半信半疑でした。自分の周りの人にあらためて聞いても、ローソンでタンブラーが使えるとは、誰も知りません。誰かが持ち込んでいる姿を見た覚えも一切ありません。
本社では把握をしているけれど、現場の店員は割引サービスの存在を知らない恐れもあるわけです。
それでも北陸でのコーヒー・タンブラーのある暮らしを夢見て、KeepCupを富山県内のローソンに持ち込みました。
「ホットのカフェオレをください。Sサイズで」
とレジカウンターで伝え、
「これに入れてください」
と、KeepCupを差し出します。女性の店員は一瞬、間を置きました。その上で容器を眺めると、
「これ、耐熱ですか?」
と聞いてきます。最初の間が、気になりました。それでも「そうだ」と自信を持って伝えると、店員は手慣れた手付きでタンブラーにマシンから直接コーヒーを入れ、通常よりも10円引きで会計を済ませてくれました。
レジの周りに居たお客も、こちらを見ていました。「この人は何をしているのだろう」という感じです。
お店を出て、KeepCupの容器でコーヒーを口にした時、とても豊かな気持ちになれました。
失礼を承知で言えば、ローソンのコーヒーは見慣れた・飲み慣れた、ただの「コンビニコーヒー」に過ぎません。
しかし、容器が変わるだけで口当たりが変わり、手触りや重みも変わるため、値段以上のリッチな気分を満喫できたのです。
この何気ない、マンネリ化してしまった日常に新鮮な感動を与える取り組みは、HOKUROKUがクラウドファンディングで掲げた公約でもあります。
この感動は、持ち運ぶコーヒー・タンブラー選びでも違いが出てくるはず。そう思って、今度は北陸らしいタンブラー探しもスタートさせました。
実はKeepCupを譲り受けた時から、このカラフルなプロダクトがオーストラリアやイギリスのまち並みで見る時と比べて、その輝きを失っているように感じていたからです。
恐らく、空やまちの色、人々のファッションが異なるため、現地とは違う見え方がするのかもしれません。
気持ちは自然と、北陸に似合うコーヒー・タンブラー探しへと、向き始めていきました。
(次は第3回。福井の直面する漂着ごみの問題って何だ?)
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)
始まりのメルボルン。
写真タイトル:ST. ALi Cafe、提供:Visit Victoria、撮影:Josie Withers
事の始まりは、メルボルンです。オーストラリア南部のビクトリア州にある州都のメルボルン、ご存じでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の影響で予定が吹っ飛んでしまいましたが、この5月にも「Australian Tourism Exchange (ATE)20201」にライターとして招待され、メルボルンを旅する予定でした。
地理的にも縁遠い北陸ではなかなか知られていないと思いますが、メルボルンは実は世界有数のカフェ先進地として、コーヒー業界でも高く評価されています。
先ほどのトレードショーを主催するオーストラリア政府観光局の広報の方によると、メルボルンのコーヒー文化は第2次世界大戦後に、イタリア人とギリシア人の移民によってつくられたと言います。
期間にすれば100年に満たない歴史ですが、現在は世界トップクラスのバリスタ2を次々と輩出するカフェ文化の「先進国」で、あのスターバックスが、撤退せざるを得なかった土地3でもあります。
市民に地元のカフェがきちんと愛されているため、世界的な巨大企業でも割って入る余地がなかったのですね。
メルボルンは<KeepCup>の生誕地でもある。
上から2段目のカラフルな容器が、メルボルンで生まれた人気のテークアウト容器<KeepCup>。写真タイトル: The League of Honest Coffee、提供:Visit Victoria、撮影:Paul Philipson
このメルボルン、有名なカフェがたくさんあり、世界的なバリスタを次々と輩出するだけの土地ではありません。
オーストラリア、イギリス、アメリカの西海岸でも広く使われるテークアウト用のコーヒー容器<KeepCup>が誕生した土地でもあります。
KeepCupは現在、日本を含む65カ国以上で販売されています。もしかすると、どこかで目にした覚えがあるかもしれませんね。
One for you, one for me. Each and every KeepCup is assembled by hand in either London, Melbourne or downtown Los Angeles. pic.twitter.com/KpW9VRzK5r
— KeepCup (@KeepCup) September 25, 2019
同社の創業者はJamie ForsythさんとAbigail Forsythさんのきょうだい(兄と妹)です。もともと2人はメルボルンで人気のカフェを営みながら、自分たちの提供する紙のコーヒーカップの消費量を毎日、目の当たりにしていました。
一部の報道だと、オーストラリアでは、30分ごとに5万個のコーヒーカップが捨てられていると言います。イギリスでは1日に約700万個、年間で約25億個のコーヒーカップが消費されているという情報もあります。
オーストラリアの公共放送局4が、メルボルンを走る路面電車5に5万個のコーヒーカップを満載し、まち中を走らせるキャンペーンの様子。
この問題に一石を投じようと生まれた商品が、先ほどのKeepCupです。メルボルンにはこれ以外にも幾つかのブランドからテークアウト用のコーヒー容器がリリースされていて、市民は出社前などに、ひいきのバリスタが居るお店に自前の容器を持ち込み、コーヒーを愛飲します。
その姿に私は、かねて素朴な憧れを抱いていました。
その思いを観光局の方に伝えると、「Tourism Australia」のロゴが入っているKeepCupがあるため、譲ってくれるとの話になりました。
石川県白山市の松任海浜公園にてKeepCupと。(撮影は2020年3月)
思わず憧れのメルボルン発の容器が手に入ってしまった私。せっかくならこのKeepCupを使って、北陸でコーヒー・タンブラーのある暮らしを自分なりにスタートしてみようと思いました。
(次は第2回。実は「コンビニコーヒー」でもKeepCupが使える「大発見」に続きます。)
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連載「HOKUROKUのコーヒー・タンブラーづくり」北陸3県で考える。コーヒー・タンブラーのある暮らし。(調査編)
この特集は、『HOKUROKU』が北陸3県で「コーヒー・タンブラーのある暮らし」を実現するまでの道のりを、長期的に記録していくプログラムになります。
そもそもの話として、この企画は編集長である私の極めて個人的な憧れが発端となっています。
海外でコーヒーを自前の容器に入れてテークアウトする人たちを知り、まねしたいと思ったところから始まる、完全なる趣味の追求モード。いわば職権を乱用した誌面の独占です(笑)
しかし、「北陸にはどこにタンブラーを使えるお店があるのか」、「どんなコーヒー・タンブラーが売っているのか」と調べを進めるうちに、北陸の環境問題を考えるきっかけにもなりました。
個人的な憧れの実現プロジェクトだけれど、もしかすると社会問題にも貢献できるかもしれない。そんな気付きまでの道のりを、今回は5回の記事にまとめました。
HOKUROKU編集長・坂本正敬
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泊まる楽しみはもっと深い。新・北陸の宿。
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泊まる楽しみはもっと深い。新・北陸の宿。
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泊まる楽しみはもっと深い。新・北陸の宿。
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特集の予告。その1。
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特集の予告。その1。
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特集の予告。その1。
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特集の予告。その1。
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特集の予告。その1。